ジョージタウンの街歩きで考えたこと
日本人が比較的レアな世界遺産の街、ペナンのジョージタウン
ペナン在住の日本人からペナン旅行中にいろいろ話しを聞いた中に、日本人旅行者はあまりジョージタウンのホテルに泊まりたがらないというのがあった。多くの日本人は海辺のリゾートホテル、それもお値段高っかいのに泊まるらしい。
ジョージタウンはペナンの繁華街で、神奈川県で言えば横浜という感じの場所なのだが、街中を歩き回ってみると予想外に日本人は多く見かけないのがふつう。7年間も通っていても、たまーに会うかな、ぐらいしか見かけない。理由はどうもジョージタウンの街の、語弊はあるけど「汚さ」と雑なところが原因らしい。
しかし反論しておくと、汚さはそう極端なものではなく、雑な感じは「味」というか、もし整然と整備された街並みだったら、こんなにも外国人に人気が出なかったのではなかろうか。
確かにジョージタウン界隈を歩くと、温泉のようなニオイが鼻を通過することがある。ドブが原因なのだ。ペナンの下水道は昭和30年代の日本がそうであったように、道横の溝に生活排水が直接流れる構造になっているから、ここがニオイの原因になるし、そういうところに路上から汚水を捨てたりするみたいで、特に屋台の周辺では地面に黒く臭う水たまりができていることがある。これがジョージタウン周辺の海に流れ着くので、海はそれなりに汚れているのだが・・・考えてみれば海の生態系は、そういう有機物を微生物が食べ、それより大きな生物がそれを食べ、さらに魚がその生物を食べ、最後に人間が魚を捕って食べるという食物連鎖でできているのだから、汚れも栄養素のひとつで、温泉みたいな硫黄のニオイが街中で鼻をかすめたとしても目くじらたてることは無いと思う。
街の雑なところは、歩きにくいとか不便さもあるが
商店街は店前の道に自前で店先だけ歩道を作っているようなのだが、この自前の店先歩道は、規格が統一されていなくて高さもマチマチ。だから段差がいたるところにあって、まさに老人にキビシイ非バリアフリーになっている。車道の横断も信号がアテにならないというか、信号は目安でしかなくて、ただ反面、おまわりさんの目前で車が来ない赤信号を渡ってもお咎めなし。ただし自己責任だから、渡れると思っても車が期待に反してスピード緩めずに突っ込んで来ることも珍しくない。路線バスでさえ突っ込んで来て「あ!このバスは信号無視するんじゃないかな?」と思った私の直感は当たっていたために、今回の旅行では路線バスに轢かれずに済んだ。
だけど、そういう雑でどこか日本と違った次元で、自分達の作りたい店先歩道を作れたり、車が一切来なくても規則だからと青信号で待ち続けなくてもいい融通がこの街にはあるんだなぁ、とつくづく感心したりする。
多民族の国の、仲良く暮らし方
今回の旅行で気づいたことではないけれど、マレーシアではいろいろな民族が混じり合って暮らしているが、それはどうも混じり合っているのであって、交じり合っているのではなさそうだ、というのも路上観察していると見えてくる。
街で見かけるカップルをたくさん見て気づいたのは、中国系のカップルは中国系どうし、インド系はインド系どうし、マレー系はマレー系どうしと思えるような、そういう同じ民族どうしのカップルばかりがよく目につく。
その気で探すと欧米人とアジア人ぽいカップルもいるにはいるのだけど、現地人と思えるカップルは大概同じ民族どうしっぽい。
これを以前に現地中国系の観光ガイドの方に「どうして?」って聞いたきとがある。彼の応えは「やっぱりねぇ、民族違うと宗教もさまざまで違ったりすると面倒じゃない。だからね、先に意識しちゃうんだよね。それで結局同じ民族のカップルが多くできちゃうのさ。まあたまに例外もあるけどね」
以前もこのnoteマガジンに書いたけど、多民族のこの国で仲良く暮らす方策は「住み分けする」ということのようだ。宗教の他に言葉も習慣も違うのに、ホテルの授業員を眺めていても、異なる民族間でも同じホテルに4年も通った間に入れ替わる従業員は少なくて、どうやらみんな仲良く?仕事を続けられる環境になっているみたいだ。
暑さを除いたら、街歩きと路上観察に適したジョージタウン
こんな街歩きはたぶんペナンではジョージタウンが最適だと思うんだが、あまり日本人はそこに出て来ていないみたい。
理由は現地人によると上述のような街そのものにあるようなのだけど、その他に暑さも理由にあるのだろう。なにしろ赤道ほぼ直下だから、午後あたりからやたら直射日光がキツくなるので、冷房のある室内にときどき逃げ込む必要性が日本人にはある。確かにマレーシアにも冷房完備の店は多くあるのだが、一般的な店は、道からそのまんま敷居も壁もドアも無くテーブル席に直行する、屋根だけの店がいっぱいあるところ。
炎天下でこういう店を見つけるたびに、ここに入ってナシゴレン(チャーハンのこと)食いてえけど、妻が絶対それを許さない!「なに言ってんの!あたしがこんな暑いお店で食事できるわけが無いこと、結婚30年以上経ってもまだ分からないほどあなたはバカなの!」と一言言われて、それで真新しいショッピングモールに連れてかれて、キレイなレストランでお食事になってしまう。
だから、私はまだマレーシアのエコノミーライス(経済飯)というのを食ったことがない。いったいどういうシステムでおかずを選ぶのか?会計はどうするのか?味はどんなもんなのか?どんな人々がこの食堂に来て、どんな表情でメシ食っているのか?
また行くことがあったら、この次は経済飯を食いたいと思う。