もへもへ氏、知ったかぶりしてデマを流す
ここ最近、政治家と宗教団体との関係性が話題です。
フォロワーさんの中には「政治の話がだぁいすきなお前は当然このネタでnoteに記事を書くんだろ?」と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、自分は伝統・新興・カルト問わず宗教の知識が圧倒的に不足しているので、今のところ言及するつもりはありません。
理由は単純で、こういった話題に浅学無知なド素人が安易に言及すると、その道を極めた専門家から総ツッコミを喰らって恥をかく、というのがインターネットのお約束だからです。
今更改めて書くようなことでもありませんが、野生の専門家がうじゃうじゃ生息しているインターネットにおいて「知ったかぶり」は自殺行為であり、一時的に識者を演じることが出来てもバレた後に一気に信用を失ってしまうリスクもあります。
今回は、そんな恥ずべき「知ったかぶり」で大失敗をしてしまった一例を見ていきましょう。
事の始まりは、2022年8月6日に広島市内で行われた、とあるデモを報じるニュースでした。
拡声器デモで安倍氏罵倒 静かな鎮魂、今年もかなわず - 産経新聞
記事は「原爆の日」の広島市で反戦・反核を叫ぶ団体がデモ及び集会を開催した際の言動を批判する内容です。
デモの主催団体が平和や慰霊というメッセージを盾に平和公園内で拡声器を使ったり、銃撃事件で亡くなった安倍前首相への中傷まがいのシュプレヒコールを上げたりしたこと、それに対するカウンターとして別の市民団体が抗議活動を行ったことなどが書かれています。
極めて簡潔に説明すると「慰霊の日に騒ぐデモ隊vs抗議の市民団体」という構図なのですが、この騒動に対して自称「政治思想とかあんまりない」ネット論客がTwitter上で言及を行いました。
「政治思想とかあんまりない」はずなのに持ち上げたい政治家とバッシングしたい政党が見え見えだなぁ〜、という感想は一旦置いておくとして、このツイートの内容には大きな誤りがあります。
というか、誤りしかありません。
あまりにもツッコミどころ満載で恐らく一部の方には説明するまでもないほどでしょうが、記事にしたからにはしっかり一つずつ訂正していきます。
誤り①「労組の種類」
もへもへ氏は記事に掲載された写真に写るデモ隊が「立憲(民主党)や共産の支持団体だからだよ」と述べていますが、これは大きな誤りです。
問題の「労組」の写真を拡大してみると「動労千葉」と書かれたのぼり旗が目に入りますが、これは新左翼系セクトの中核派と深い関わりがある団体です。
中核派などの新左翼系セクトは1960年代に既存の左翼政党と意見が合わない人々が結成した団体が元となっており、とりわけ共産党とは長年不倶戴天の敵として激しく対立してきました。
詳しくはWikipedia「日本の新左翼」を参照。
共産党は新左翼系セクトを「ニセ左翼暴力集団」と呼んで非難し、下部組織の民青同盟も各地の大学で新左翼系全学連と実力行使を伴う対立、いわゆる内ゲバを繰り広げてきた歴史があります。
こんな両者の関係性をどう解釈すれば「中核派系の動労千葉は共産党の支持団体だ」などというトンチンカンな結論に至るのでしょうか。
また、同じ写真にのぼり旗が写り込んでいる「動労水戸」や「日教組奈良市」も同様に中核派系の労組です。
認知度が低く、別の団体と名前が紛らわしい日教組奈良市はともかく、動労千葉が中核派であることは労組や新左翼の知識があれば絶対に間違えない基本的のキとも言える内容です。
つまるところ、動労千葉の文字を見て「立憲や共産の支持団体」などと述べたもへもへ氏は
動労千葉が中核派系の団体であることすら知らずに知ったかぶりして労組全体や立憲民主党、共産党をバッシングしてしまった
労組が全て立憲民主党や共産党の支持団体であると勘違いしている。もしくは労組の区別すらついていないのに知ったかぶりをしてしまった
実は動労千葉が立憲民主党や共産党の支持団体ではないことを知っていたが、左派に対する印象を悪化させる目的で敢えて嘘を書いた
この中のどれか……ということになりますよね。
1つ目は2つ目の理由ならば知ったかぶりで無知を晒して恥をかく典型例ですし、3つ目ならば単なる悪質なデマ屋です。
いずれにせよ誤った情報を広めた事実は消えないので、素直に非を認めて謝罪・訂正すべきでしょう。
まあ、「警視庁=東京都警察」だということすら知らない方に労組の区別をつけろ、とか言っても難しいかもしれませんけど……。
誤り②「国民民主党と労組の関係」
改めてツイート本文の話に戻ります。
もへもへ氏の問題のツイートは「玉木さんがこの事について苦言を呈していたけれど」から始まっていますが、個人的にはここにも強烈な違和感があります。
「玉木さん」とはもちろん、国民民主党の党首である玉木雄一郎氏のこと。
過去ツイを確認する限りもへもへ氏はこの玉木氏と国民民主党にずいぶんと肩入れしているようです。
プロフィールにも書かれている共産党支持の設定はどこへ行ってしまったのでしょうか?
まあ、もへもへ氏が本音では共産党をバッシングしたくて仕方がない層に属していることは今更説明するまでもないので、この話は一旦置いておきましょう。
さて、ご覧の通りもへもへ氏は自称支持政党の共産党とは比較にならないほど国民民主党を好意的に扱っているにもかかわらず、同党の支持団体については全くの無知であるようです。
件のツイートは「国民民主党の玉木さんは労組の迷惑行為に苦言を呈しているのに立憲や共産は労組から支持されているから何も言わない」といった内容で構成されており、要は玉木氏(国民民主党)フォローと立憲共産労組バッシングがセットになっているわけですが
実際は国民民主党も労組からガッツリ支持されてますよ?
って話なんですよね……。
そもそも、国民民主党は旧・民主党の分裂によって誕生した政党ですし、旧・民主党といえば日本最大の労組である「連合」と深い関係を持つことで有名です。
もちろん分裂後の国民民主党も例外ではなく、候補者の多くが連合系労組からの支持を得て当選しています。
最近では2022年7月の参院選で愛知県内から出馬した国民民主党の候補者がトヨタ系の労組によるバックアップを得て当選していますし、その他の地域でも国民民主党にとって労組の力は非常に重要なものとなっています。
もへもへ氏は「労組に支持されている立憲や共産は悪」とでも言わんばかりの論調でしたが、彼本人が大好きな玉木氏率いる国民民主党も労組からの支持や集票力に頼る政党であるということは知らないのでしょうか?
まあ、原発再稼働に賛成の立場なのに「泊(とまり)原発」を「柏(かしわ)原発」と書き間違えて千葉県に原発を作ってしまうような方にご自身の支持政党の支持団体くらい把握しろ、などと要求するのは酷かもしれませんが……。
兎にも角にも、知ったかぶりをする論客もそんな人物の滅茶苦茶な主張をありがたがっている数万人のフォロワーも少しは冷静になって最低限の勉強くらいはしたほうがいいんじゃないかなぁ、と思う一件でした。
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