おしゃべりなきのぼうし
「おしゃべりな木のぼうし」
あらすじ:
ある森の奥に、小さな帽子の形をした木が一本生えていました。その木の名前は「ぼうしの木」。でもこの木、ちょっと変わっていて、いつもおしゃべりをしています。
ある日、小さなリスの「チッチ」がぼうしの木の下でくるみをかじっていました。
すると、木が突然しゃべりだしました。
「おやおや、ぼくの葉っぱの陰でおやつを食べるなんて、ずいぶん気持ちよさそうだね!」
チッチはびっくりして木を見上げました。
「き、木がしゃべった!」
「そうさ!ぼくは特別なおしゃべりの木なんだよ。でも誰もぼくの話を聞いてくれなくて退屈してたんだ。」
チッチとぼうしの木の冒険
チッチは少し驚きながらも、「じゃあ、どんなお話ができるの?」と聞きました。
ぼうしの木はニヤリと笑うと、葉っぱを揺らして言いました。
「ぼくのてっぺんに登ったら、すごい秘密を教えてあげるよ!」
チッチは好奇心いっぱいで木に登り始めました。枝をつたっててっぺんに着くと、遠くの景色が一望できました。そこにはキラキラ光る湖が見えます。
「わあ!あの湖、なんで光ってるの?」とチッチが聞くと、ぼうしの木は得意げに言いました。
「ふふふ、あれは『星のしずく』が落ちた湖なんだよ。夜になるともっとピカピカ光るんだ。」
夜の星のしずく
チッチはすぐにその湖へ行ってみたいと言いました。ぼうしの木は「いいとも!でも暗くなるまで待つんだよ」と答えます。
日が沈むと、チッチは湖へ向かいました。そこでは、小さな星のしずくたちが水面で踊るように輝いていました。
「わあ、本当だ!星が落ちてきたみたい!」
すると、ぼうしの木の声が遠くから聞こえました。
「ね?ぼくとおしゃべりしたから、こんなすてきな場所を見つけられたでしょ?」
それからというもの、チッチは毎日ぼうしの木とおしゃべりをして、森のいろんな秘密を教えてもらうようになりました。そして、森の中でたくさんの冒険をすることができたのです。