うみべのくいしんぼうぺんぎん「ピポ」
海辺のくいしんぼうペンギン「ピポ」
南極の広い氷の世界に、小さなペンギンが住んでいました。その名前は「ピポ」。ピポはとにかく食べることが大好き。朝は雪のかき氷に海藻トッピング、お昼には新鮮なお魚をモリモリ食べ、夜はお友だちと一緒に「お魚スープパーティー」を楽しむのが日課です。
でも、ある朝のこと。
ピポが「今日のお魚を探しに行こう!」と海に飛び込んでみると、どこを探してもお魚がいません。
「おかしいなぁ…どこに行っちゃったんだろう?」
お腹がペコペコになったピポは、仲良しのアザラシ「スー」とカモメの「カモカモ」に相談しました。
「南極にはもうおいしいものがないのかも!もっと遠くに行けば、きっと何か見つかるよ!」
「じゃあ、ぼくたちも一緒に行くよ!」とスーとカモカモ。こうして3匹の冒険が始まりました。
カニたちのダンスパーティー
まず3匹がたどり着いたのは、氷が溶けた海辺の砂浜。そこでは赤いカニたちがたくさん集まり、楽しそうにダンスを踊っています。
「ねえ、カニさんたち。ここにおいしいものはある?」
「フフフ、あるよ。でも、このダンスが踊れたら教えてあげる!」
ピポは不器用ながらも、一生懸命カニたちのマネをして踊りました。スーはヒレを振り、カモカモは翼をひらひら動かします。みんなの動きはへたくそでカニたちの間に笑い声が響きますが、「こんなにがんばったから!」とカニのリーダーが教えてくれました。
「すぐそこに『海藻ピザの木』があるよ!」
ピポたちはお礼を言い、青い海藻がピザのように枝に広がった木を見つけて、満足そうに頬張りました。
迷子のクジラの赤ちゃん
次にピポたちは、泣いている小さなクジラの赤ちゃんに出会いました。
「どうしたの?」
「ママとはぐれちゃったの…」
ピポたちは、「それなら手伝うよ!」と言ってクジラの赤ちゃんを連れて、広い海を進みます。途中、暗い海底の洞窟に迷い込みましたが、カモカモが「こっちに光る魚がいるよ!」と明るい道を見つけ、無事に抜け出しました。
そして、夕日の差す海で、ついに赤ちゃんクジラのお母さんを見つけました。
「ありがとう!お礼にこれをどうぞ!」と、お母さんクジラがくれたのは、冷たくて甘い「海のミルクアイス」。ピポたちはそのおいしさに大喜びです。
虹色のリーフと守り神
冒険の最後、ピポたちは「虹色のリーフ」と呼ばれる場所にたどり着きました。そこには、キラキラ光る魚たちや、カラフルなサンゴがいっぱい!
「わあ、おいしそう!」と夢中で食べ始めるピポ。ところが、突然大きなタコが現れました。
「私はこのリーフの守り神、タコロ。このリーフはみんなで分け合う場所だよ。欲張ると、ここに住む生き物たちが困ってしまうんだ。」
ピポはハッとして、そっと食べる手を止めました。
「ぼくたち、気づかずにごめんなさい。でも、とってもきれいでおいしい場所だね!」
「そうだね。少しずつ大事に食べれば、この場所はずっと美しいまま残るんだよ。」
ピポたちはタコロにお礼を言って、少しだけ分けてもらったごちそうを味わい、元気いっぱい南極へ帰りました。
おいしい冒険の思い出
南極に帰ったピポたちは、旅の思い出をみんなに話しました。そして、虹色のリーフで見つけた貝殻を仲間たちにプレゼント。
ピポは笑顔で言いました。
「おいしいものを探すのって楽しいね。でも、分け合うのももっと楽しいんだ!」
その夜、氷の上ではみんなで「お魚スープパーティー」が開かれ、ピポは満足そうに新しい冒険の夢を見ながら眠りにつきました。