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ほしふるもりのひみつ

星降る森のひみつ

昔々、星が夜空に輝く森の中に、小さな村がありました。その村は「星降る村」と呼ばれていて、毎晩たくさんの星が空から降ってくる不思議な場所でした。村の子どもたちは夜になると外に出て、星が森の中に降りていく様子を見るのが大好きでした。

村の近くには大きな森がありましたが、大人たちは「森には絶対に入ってはいけない」と言いました。理由は教えてくれませんが、「そこは星たちの秘密の場所だから」というのが唯一の答えでした。

主人公のリナは10歳の女の子で、星降る村で一番の冒険好きでした。好奇心が強く、いつも「なぜ?」「どうして?」と大人たちに質問するのですが、満足のいく答えをもらったことはありません。特に気になるのは、森の秘密でした。

「星が森に降りる理由を知りたい!」

ある晩、リナは森の秘密を知るため、一人で森に入る決心をしました。夜遅く、家族が寝静まったころ、リナはそっと家を抜け出し、小さなランタンを持って森の中へ向かいました。

森の奥で

森の中はとても静かで、虫の鳴き声や葉っぱのざわめきだけが聞こえました。リナは少し怖くなりましたが、「星の秘密を知りたい」という気持ちが恐怖を押しのけてくれました。

森を歩いていると、急に空から光が降り注ぎました。それは星が地上に降りてきている瞬間でした。リナは息をのみながらその光を追いかけました。すると、小さな湖のほとりに出ました。

湖の中には、無数の星がゆっくりと降りていき、水面で輝いていました。その光景はまるで夢の中にいるようでした。

「すごい……!」

リナが感動していると、突然、湖の中央から青白い光が現れました。その光の中から、小さな星のような生き物が現れました。

「こんにちは、リナ。」

驚いたリナは後ずさりました。「ど、どうして私の名前を知っているの?」

その生き物は優しく微笑みました。「僕は星の精、ルミ。星降る村の子どもたちのことはみんな知っているよ。」

リナは少しだけ安心して、ルミに質問をぶつけました。「星はどうして森に降りるの?大人たちは教えてくれなかったけど、何か秘密があるんでしょう?」

ルミは少し考えてから言いました。「いいよ、教えてあげる。でも、これはみんなには話しちゃいけない約束だよ。」

リナは大きくうなずきました。

星たちの使命

ルミは湖のそばに座るように促しました。そして話し始めました。

「星はね、夜空に輝くだけじゃないんだ。実は、地上の世界を守る大切な役割があるんだよ。この森は、地球中の星たちがエネルギーを補充する場所なんだ。」

リナは不思議そうに聞きました。「エネルギーって?」

ルミは湖の水を指さしました。「この湖には特別な力があるんだ。その力は星たちを輝かせるエネルギーになる。だから星たちは夜になるとここに降りて、湖の力をもらうんだよ。」

「でも、それだけじゃないんだ。」ルミの声が少し深刻になりました。「星たちが輝きを失うと、地上の人々に希望の光が届かなくなる。だから、僕たちは一生懸命働いているんだ。」

リナはその話を聞いて、心が温かくなるのを感じました。「じゃあ、この森は星たちにとってすごく大事な場所なんだね。」

ルミはうなずきました。「その通り。だから、この森の秘密を守るために、君たち人間にはあまり近づいてほしくないんだ。でも、リナは特別だよ。君には星たちの思いを知ってほしかったんだ。」


新しい約束

ルミと話しているうちに、夜が明け始めました。星たちは次々と湖から飛び立ち、空へと帰っていきます。

「もう帰る時間だね。」ルミが言いました。「でも、約束してほしい。今日見たこと、聞いたことは他の人には言わないで。」

リナは真剣な顔でうなずきました。「わかった。星たちの秘密は絶対に守るよ。」

ルミは安心したように微笑みました。「ありがとう、リナ。君は僕たちにとって大切な友達だよ。」

そして、ルミも星たちと一緒に空へと帰っていきました。


星降る村の守り手

それからリナは森の中には入らず、遠くから星が降る様子を眺めるようになりました。そして星たちの努力や使命を思い出しながら、毎晩空に向かって「ありがとう」と心の中でつぶやきました。

リナが大人になったとき、星降る村の伝統や自然を守る活動を始めました。村の子どもたちには、星を大切にする心を教え続けました。

リナの心にはいつも、あの夜に出会ったルミの笑顔が輝いていました。


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