『とんがりボウシと魔法の町』をやる
はじめに
確かに飽きて売ってしまったのに、ずっと記憶の片隅に残っていたゲームがある。『とんがりボウシと魔法のお店』だ。
どうぶつの森ライクな絵面で、どうぶつの森ライクな釣りや虫捕り、住民(クラスメイト)とのコミュニケーションに加え、魔法学校に通う学園シミュレーションの要素と、自分の店舗を経営し商品を売る経営シミュレーションの要素が合体したとんだ欲張りゲームである。
ソフトの内容が欲張りすぎるがゆえに、当時自分の家庭にあった「ゲームは1日30分!」のルール下ではすべての要素を遊びきれず、飽きてしまったのである。
しかし、自分は十数年の時を経てこのシリーズに再び触れることになった。きっかけは大きく2つ。
1つ目は、何かの拍子にtwitterで「for nintendo switch」というワードがトレンド入りしたことである。
トレンドの内容を覗いてみると、皆が思い思いにswitchで続編を出してほしいタイトルを列挙する中に、「とんがりボウシ」の続編を望む声がいくらか見受けられた。その時は「あー、そういえば昔やったな。でも結局飽きて売ったんだよな……」としか思わなかった。しかし、タイトルと内容を思い出す程度には自分の印象の中に残っていた作品ではあったと思う。
2つ目は、中古屋にゲームを漁りに行ったとき。
何故か実況者界隈で『たまごっちのプチプチおみせっち』を中古屋で買って遊ぶのがブームになっているらしい。そのうわさを聞き、実況者ではないが久々にやってみたいな~と思い立ったのだが、このソフトもはるか昔に売ってしまっていた。そこで中古屋を覗きに行ったのである。説明書・箱無しのものが250円で箱に入っていた。箱の中を漁る中で、たまたま目についたのが『とんがりボウシとおしゃれな魔法使い』である。同じく250円。これが出たのは『おみせっち』よりずいぶん後なのになぜ……?とは思ったが、しばらく悩んだあげく買った。
『おみせっち』には早々に飽きてしまった。何故かと言えば、最近の実況者界隈でプレイされているのを見て楽しんでいる大半の人は「えー、最近(※2004年製なので最近ではない)のたまごっちにはこんなキャラがいるんだー」「えっえっ、チュートリアル無い!!」「ちょっと待って客に逃げられた!」という「たまごっちに詳しくない/説明書を読まないがゆえのハプニング」を楽しむことを主目的としていたからである。
自分は根っからのたまごっちオタクだし、説明書はじっくり読みこむ派だ。そもそもこの作品は一度最後までプレイしたことがある。だから、全然失敗しないし、ハプニングも起こらない。すべての店を解禁したあたりで早々に飽きた。バンダイナムコゲームスは早いところスマホ向けのリマスター版でも作ってあげた方が良いと思いますよ。タピオカミルクティーやさんとか、からあげやさんとか、TamaEats(デリバリーやさん)でもつくりましょう。
……話が逸れた。早速ここから『とんがりボウシ』のほうに話を戻そう。
『とんがりボウシとおしゃれな魔法使い』を買ってはいけない
プレイからほどなくして、本作が250円でたたき売りされていたわけが分かった。
画面内に3人NPCが歩いているだけで、まるで低スペックパソコンでFF14を起動し、混雑している町を歩いているかのようにクソ重い。
そのうえ、約1時間プレイするとフリーズするのだ。
自分が遊んだことがあった『魔法のお店』に『ファッション』の要素を九龍城のごとく付け足した作品である。
ファッションというのは、季節のお題に合わせて服を選んで、雑誌に載ったりファッションショーに出たりすることでファッションリーダーを目指す着せ替えシミュレーション要素のことである。PROデザイン(服の前と後ろをデザインできる)、上の服、下にはくもの、靴、帽子を組み合わせて着替える、そしてそのうえNPCもこの形式で着せ替えすることができる……
要するにその後3DSで発売される『とびだせ どうぶつの森』並みかそれ以上の内容をDSのスペックで動かそうとしているのだ。そりゃ重くもなるわ。
んでもって、DSのゲームはアップデートによるパッチ当てができないので、「フリーズのリスクを軽減したROMと交換する」という物理的な手段しか解決策がない。――結論、とても遊べたものじゃないのでこちらもマッハで飽きた。
しかし、このゲームには続編が出ている。それが3DSから発売された『とんがりボウシと魔法の町』。
『とんがりボウシと魔法の町』はこんなゲーム
『魔法の町』は、
初代『魔法の365にち』でスローライフに学園シミュレーション、
そこに『魔法のお店』で経営シミュレーション、
そして『おしゃれな魔法使い』で着せ替えシミュレーション
……と九龍城のようにDSのスペック度外視で前作の機能を削除することなくひたすら前作に継ぎ足すように詰め込んできたこの作品の集大成となる作品である。『おしゃれな魔法使い』から追加される大きな要素はなく、リソースのほとんどは3DSの高画質に対応するためのポリゴンとテクスチャのリマスター、機能の削減・最適化に割かれている。
『おしゃれな~』のように画面内で複数キャラクターが動くことによって端末が重くなることは一切なく3作品分の要素を快適に楽しめる。
ここからは、本作を遊ぶにあたってのお気に入りポイントを紹介していこう。もし暇すぎて死にそうな時、遊ぶきっかけになれば幸いである。
創作言語で呪文を唱えることで魔法を発動する
このゲームには「魔法語」という創作言語がある。チャットメニューから日本語とは別に打つことができる。
この言語の特色として、「呪文を唱えるのに使う」「NPCに話しかけられる」というものがある。
一般的なコマンドRPGのように魔法をコマンドで選択して打つのではなく、創作言語で呪文を唱え、杖を振ったり呪物――特定のアイテムを使用することで魔法が発動する。また、クッキーに魔法をかけて食べた相手を惚れさせたり、パイに魔法をかけて爆発させたり、運気が変化するお守りを作ったりもできる。
これらの呪文は、魔法学校の授業で学ぶことで知ることができる。逆に言えば、先生から直接学んでいなくても攻略本などでカンニングすれば魔法を使える。雰囲気だけでない、このシステムの利点である。
商品を作って店舗経営シミュレーション
本格的というか楽しい。材料を選択して、品物はミニゲームで作る。
具材はかなり自由自在で、アップルパイからチョコバナナアイスといったまともなものから、ストロベリーの天ぷら、果てはサメラーメンまで作ることができる。
料理の仕方については結構シビアで、上手に作るにはかなりコツがいる。プレイしている人向けのメモは後日別のnoteで紹介する。一応チュートリアルはあるものの、肝心のところが説明不足なミニゲームのシビアさは、最近流行の『たまごっちのプチプチおみせっち』をより自由度を高く仕立てたような触感である。
ちなみに、花束、服、宝飾品についてはさほどシビアではない。宝飾品については、何を材料にしようがもれなくファンシーなセボンスターになることには目を瞑ろう。心を女児にするのだ。
個性豊かなクラスメイト
こちらは筆者が現状お気に入りのキャラクターである。
他にどんなキャラがいるのかはひとまずこちらのページを見よう。
さて、キャラクターを見ればわかる通り、確かにどうぶつの森と比較されがちなのは分かるのだが、違うベクトルのかわいいキャラが揃っていることがわかるだろう。あざとかわいい系から素朴系、ブサかわ系までいろいろなキャラクターが揃っている。また、より人間に近いフォルムのキャラクターが多いのも特徴である。さらに、プレイヤーと異性のキャラクター全員が恋愛対象である。先述の魔法のアイテムを駆使してアピールしたり、一緒に散歩したり、あげくの果てに同居までできる。ここはさすが『ラブプラス』のコナミと言ったところだろうか。
おわりに
以上が『とんがりボウシと魔法の町』のオススメポイントである。ダウンロード版なら約3000円、また中古屋にある可能性もあるので是非。
毎日のタスクが多いところがちょっと玉に瑕だが、ユニークな体験ができることは間違いないだろう。