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1つの仕事の周りにあるもの
私たちは日々、多種多様な仕事に取り組んでいます。しかし、仕事において目の前のタスクだけに集中してしまうと、全体の流れや本来の目的を見失い、効率や成果が低下することがあります。また、目の前にある問題だけを解決しても、なかなか前には進むことができません。大きくても、小さくても、一つの仕事を成功させるためには、その1つのタスクの周囲にある背景や影響、つながりを深く考えることが不可欠だと思います。仕事を進める際にどのように「周り」を考慮すべきでしょうか。
モグラたたき厳禁
指示された業務だけにしか気が回らない人や、目の前に現れる問題を次々と片付けていくように仕事をする人を見かけませんか? その業務を指示したら、関連するこっちも一緒に検討しないのかな? 指摘した部分は確かに直っているんだけど… 全体としてのバランスが崩れてしまっているなぁ。。。 などなど、なんとも複雑な気持ちになることがあります。まさに、仕事を「モグラたたき」のように『見えていること』『言われたこと』しか考えられないのは、仕事への向き合い方として適切だとは思えません。仕事を単なる「点」として捉えるのではなく、全体の「線」や「面」、「立体」の中で考えることが重要です。指示されたことに関連した業務や課題まで気に掛けることによって、何か質問をされた時やさらに追加の指示が来た時でもすぐに対応することができますので、業務のスピードは各段に早くなります。モグラたたきではなく、投網のように周りまで考えを巡らせることにより、戦略的に仕事を進めることができます。
想像力のすゝめ
では、どうするとよいのでしょうか?
仕事を始める前に、その「周り」をしっかりと想像することが重要です。ここでいう「周り」とは、その仕事がどのような『目的』を果たすのか、どのような『影響』を及ぼすのか、そして誰にどのように『関わる』のかといった要素のことです。たとえば、プレゼン資料を作成する仕事があるとします。その場合、「資料を読む相手が何を求めているのか」「その資料がどのような判断に影響を与えるのか」を考えることで、より効果的で実用的な資料を作成することができます。このように、仕事に取り組む前にその全体像を想像することで、無駄を省き、目標に直結する成果を生み出すことができます。
仕事の流れを理解する
仕事は単独で存在するものではありません。単独と感じるならば、それは作業であり、仕事ではありません。仕事は必ず何らかの流れの中に位置しています。自分の仕事が全体のどの部分にあるのか、その流れを理解することが、周りを把握するための重要な鍵となります。たとえば、商品を出荷する業務を担当している場合、その業務が物流全体のどの段階にあたるのかを理解することで、自分がミスをした際にどのような影響が出るのか、逆に効率を上げることでどのようなメリットが生まれるのかをイメージすることができます。流れを理解することで、単なる「自分の仕事」という視点を超え、全体を見渡す視野を持つことができるようになります。
視点を変える
仕事の周りを考えるためには「鳥の目」「虫の目」「魚の目」という3つの視点を持つことも重要です。
鳥の目:全体を俯瞰して見る視点です。この視点を持つことで、自分の仕事が全体のプロジェクトや組織においてどのような位置づけにあるのかを把握できます。たとえば、新製品の開発において、自分が担当している設計作業が、全体のスケジュールや市場戦略にどのように影響を与えるのかを考えることができます。
虫の目:細部に目を向ける視点です。仕事の細部を丁寧に確認し、ミスを防ぐための注意深さが求められます。特にデータの入力や分析、契約書の確認など、細かな作業が求められるタスクでは、この視点が欠かせません。
魚の目:流れを読む視点です。この視点を活用することで、変化する状況やプロセスの動きを敏感に察知し、柔軟に対応することができます。たとえば、顧客のニーズが変化している場合、その動きを早期に察知し、対応策を講じることが可能になります。
これら3つの視点をバランスよく持つことで、仕事を多面的に捉え、周りを想像することができるようになり、より的確な判断や行動に繋がります。
まとめ:仕事の周りを意識することで生まれる価値
一つの仕事には、その周りに多くの要素が存在しています。それを見逃さずに捉えることが、仕事の質を高める鍵となります。目の前のタスクだけに集中するのではなく、その背景や目的、全体の流れを理解し、さらに多角的な視点を持って取り組むことで、より価値のある成果を生み出すことができます。仕事は「孤立した作業」ではなく、「つながりの中で成り立つプロセス」であることを忘れず、広い視野と深い洞察力を持って向き合うことが大切です。その結果、効率的な進行だけでなく、自分自身の成長や他者との信頼関係の構築にもつながるでしょう。