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ノット
太陽からいくつものガラス片がわたしに降り注いできて、目を瞑る
震災のことを思い出すあれは社会の授業のときで若い教師がぽけっとした顔で事態を静観していた記憶がある、わたしのクラスは4階で一番揺れが酷かった、あの時ばかりは死ぬのが怖くなった、懐かしいなあ、でもわたしはあのとき死んでも別によかったのでは、とおもう
煙をあげる白い箱、阿鼻叫喚の地獄絵図、その食べ物は腐り落ちていると主張する獣、溶けるガラスみたいにわたしのからだは拠り所をなくしていく胸になにかが重しをしている気がして耐えきれなくなってどうにもならなくて、でも学校にいくと普通で形状が安定する気がしてなにもかんがえなくなったの
なにか大いなるちからがわたしを動かして、生に向かわせているというなら、その反対の働きをするちからでわたしを死に向かわせてほしい、たくさんの花束や菓子の箱が投げられた、ワカメが全てを飲み込んだ、のたくるヘビが全てを絞め殺した、その光景を眺めているのにこんなことを思うなんて背教者じゃない?
全てが錆びて輪郭を失っていく夕方、わたしは終わってしまった世界に思いを馳せる、人間同士が殺し合う図式は最終的には起きない、それは漫画だけなのよと電子の文字が頭に飛来する、UFOもいいな、いつか見たSF映画のようにある日巨大な円盤がやってきて黒雲のような影が落ち、二つの気持ちが行方不明になりました。その名前はいきること、幸せになりたいということ。
でも幸せになりたい気持ちはしばらくして取り戻せた、ひょっこり戻ってきて研究を始めました、でも生きたい気持ちは戻ってきませんでした。
極限まで冷たい胸のうち、なにかを拾おうと一生懸命になっている、中の空洞が盛り上がってきた飲み会みたいにうすぺたい膨らませ熱気を孕んだ言葉と紫煙しかないから、わたしは手を伸ばしても何も掴めなくて、このような言葉の羅列を書いたところで何も起きない、魔法使いではなかったのよ自分、誰かの空間に存在できる許可、今はそれが欲しい