もはや米とかそうゆう次元ではない
「まだ気持ちの整理がつかないんだ」
僕はテーブルの上にあるミネラルウォーターを飲み干し、反射的に手の甲で口を拭いた。
「君はこれからどうするつもりだい?」
君は心配するような目で言った。
「まぁ私には関係ないことかもしれないけれど、一応、ね」
「知恵袋で誰が言ってた、少しずつ洗い落として、いっぱい熱湯注げ、そしていっぱい日に当てろ」
と僕は言った。
もう2週間も前のことになる。最後に炊飯器を使ってから。あらゆるものが通り過ぎ、色褪せ、古い夢へと形を変えていった。
米を炊きすぎたことや、残った米を放置し続けたことに後悔しているわけでもないし、反省するつもりもない。
ただ、生き急いでいたのかもしれない。命の限りに鳴き続ける蝉のように。
やれやれ、そう心の中で呟いて釜に熱湯を注ぐ。そしていったいどれだけ日光に当てれば足りるのか、と思う。
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