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[全3回]介護業界の実情②

どうも、Ao木です。今回は人材派遣業で働く友人から介護業界を取り巻く実情について、
まとめて欲しいと依頼があったため私なりにリサーチし投稿していこうと思います。
全3回を予定しており、それぞれ「採用」「お金の動き」「現場の実情」についてお話ししていこうと思います。

第1回からずいぶん、時間が経ってしまい申し訳ございません。
というのもプライベートで色々とございまして、、、
それに関してはまた別で記事にしようかなと思っております。

今回は「お金の動き」についてお話させていただきますね。

前回の振り返り

https://note.com/onikiniigata/n/nf016b5e0d540

前回は「採用」についてお話ししました。簡潔にいうと、賃金や制度、業界の実情について、雇用する側もされる側も正しい知識を身につけないと早期退職などの悲劇に繋がるというお話しでした。詳しくは上記のリンク先を読んでいただけると幸いです。

お金周りの制度について

お金周りの制度、特に「介護職加算員処遇改善」について知ることのメリットは以下、2点になります。
・自分が勤めている事務所が行政からどのような扱いを受けているのか
 また、その扱いが雇用されている自分に対してどのような影響(主に給
 与面)
があるのかを知ることができる。
・これから介護職に勤めようとする際の事務所選びの判断基準のひとつが身
 に着く。


それでは早速、前回のお話にも出てきた「介護職加算員処遇改善」からいきましょう。

「介護職加算員処遇改善」

なにやら漢字ばかりで難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと国が介護職の給与を改善しよう!という目的の元、つくられた制度になります。
ただし、これは介護職に携わる人たちに直接、お金が配られるわけではありません。対象は事業所になります。ここは注意しなければいけません。

それでは、一つずつ紐解いていってみましょう。

この制度がつくられた背景には、高齢社会における介護職の人手不足が挙げられます。2025年度には約38万人の介護職が不足するという予測データもあり、このままではいけないと国が介護業界の待遇改善のためにつくりました。

事業所が対象になるこの制度、実際に働いている人たちにはどのように還元されるのでしょうか。
詳しくお話いたします。

「介護職加算員処遇改善」が現場職員に還元されるまで

・Step1:事業所が、職員のキャリアアップの仕組みや、職場環境の改善の
     計画をたてる。

→これは行政(国)に対して、うちの事業所では介護に携わる人たちに対し
 てこんな改善計画をたてているよと示す必要があるためです。
 これがなければ始まりません。いわゆるトリガーになるものです。

・Step2:その計画を、都道府県や市町村などの自治体に報告。
→各自治体は提出された計画が制度対象になるか否か精査します。
 ポンポン認可していては、介護業界全体の待遇改善に繋がらなくなって
 しまいますので重要な工程になりますね。

・Step3:提出された報告を元に自治体が介護報酬に「給料の上乗せ費用」
     を追加して支給。

→無事に認可が降りた場合、提出した事業所には「給料の上乗せ費用」が支
 給されます。

・Step4:支給されたお金を、介護職員に給料として支給。
→ここにきてようやく現場の職員のお給料として還元されます。

制度の流れは理解したけれど、事業所が中抜きするんじゃないの?と不安に思うあなた。ご安心ください。「介護職員処遇改善加算」で事業所に支給されたお金は、職員に給与として還元することが義務付けられています。
方法としては、職員の基本給をアップしたり、「処遇改善手当」として支給するなど、事業所によって異なります。
また、事業所は自治体に対して「実績報告書」を提出が義務付けられており、不正できない仕組みになっています。

「介護職員処遇改善加算」の普及率は?

こちらの制度、行政から認可を得ている事業所は現在90%を超えており、ほとんどの事業所で働く人たちが恩恵を受けています。
また、正社員のみならず、パートタイマーや非正規雇用の方も対象になります。
一方で、注意しなければならないことがいくつかありますので、これからご紹介します。

「介護職員処遇改善加算」を取得するための4つの改善項目

見出しで気づく方もいらっしゃるかもしれませんね。そうです、この制度、実は4つの項目からなっており、その項目をクリアした数に応じて事業所が受け取れる金額が変わってくるのです。つまり、90%以上の事業所に認可が降りているものの、その中で給与として還元される金額は変わってくるということになります。

では、一つずつみていきましょう。

その1:【キャリアパス要件】役職や職務内容に応じた賃金体系の整備
これは現場で働く職員にキャリアアップへの道を明確に提示することです。
具体的には、就業規則に役職ごとの給与や業務内容を明記します。
こうすることで、職員のモチベーションアップや将来への不安を取り除いて上げることができます。

その2:【キャリアパス要件】スキルアップのための研修や資格取得支援の実施
ひとことで言えば、業務に必要な研修や資格取得の補助になります。
第1回でお話したように、未経験の方も多く採用する実態があるため、その方達も自信を持って業務を遂行できるようになるためです。これはつまり、職場の環境整備の一環に該当します。

その3:【キャリアパス要件】経験や資格に応じた昇給制度の整備
その1、2で昇給、昇格に向けた制度は整いましたね。その3は、昇給や昇格へ実際の条件を明確にすることになります。
例えば、介護福祉士を取得したら昇給や勤続年数に応じた昇給です。

この3つの要素があれば、自分のキャリアアップへの道がより明確になり、日々の業務にも目標をもって取り組むことができるという仕掛けになります。

その4:【職場環境等要件】賃金以外の職場改善に対する取り組み
こちらの項目は現場で働く環境を整えることになります。
例えば、業務中に腰を曲げる動作が多いとします。それが要因で発生する腰痛を防ぐためにリフトを導入し、作業効率を改善することなどがこれに該当します。

これらの4項目を達成することで、最大37,000円が支給されます。
取り組みが少ない事業所であれば支給されるのは13,500円であり、その差は20,000円以上となりかなり大きな金額になってきます。


事業所の方針には注意すべし

上記の通り、支給された金額をどのように職員に還元するかは事業所に委ねられています。
基本給に上乗せするのか、一時金や賞与として還元するのか以外にも勤続年数が基準なのか、資格を重視するのか、これらは事業所の方針によって決定されます。
つまり、どれだけ自分の給与に反映されるのかが最重要になってきます。
自分の働く事業所では、どのような方針になっているか上司に相談したり、
入社前に聞いておくことを強くおすすめします。

最後に

いかがだったでしょうか。介護職を取り巻く制度について知っていることが増えるだけで今後のキャリアプランや日常生活の計画も見通しがつきやすくなるのではないでしょうか。
また、政府の方針としても今後、介護職全体の待遇改善が見込まれますので注意深く情報を集めていく必要がありますね。
では、今回はこのあたりで失礼します。