ゴリゴリ関西系仲介編#11
切っても切り離せない、テマキの核心に迫る!
テマキと言っても寿司酢香る方ではなく、手から(物理的に)血を流しながら撒くあちらのテマキになります。
不動産屋以外の方ですとチラシと言ったほうがわかりやすいでしょうか。
夕方になるとガシャン!ガシャン!ガシャン!と輪転機の呻き声が聞こえてくるのが常。
事務所を出たらひとテマキしてから退勤。それが不動産売買の仲介です。今は知りません。
当時はまだ働き方改革なんて言葉はできていませんでしたが、ES向上に向けて会社は奮闘していたように思います。
定時なんていう概念がなかった営業職、いつの日か「20時にパソコンはシャットダウン、完全撤退」という規則ができました。
20時までしか会社に滞在できない。裏を返せば「20時からは社外で仕事」です。
我々事務職は寒い日も暑い日もぬくぬくと社内でパソコンと対面していればお給料がいただける仕事です。営業職はそうではありません。成果を挙げてこその営業職なのです。
不動産業界といえばまだまだ体質としては古いです。インターネット、パソコンに頼るな!なんて罵声も正当なものとして扱われます。
「俺が現役の頃は重説も手書きやったぞ!」
ポストに不動産屋のチラシが入っていませんか?天下のすみふ様はポスティング業者雇っていましたが、根性系の会社では営業職社員が自ら撒いています。
ケータイ世代のわたし。仲の良い他店舗の店長に「てかテマキとか費用対効果悪くないですか?時代はネットですよ」と物申す。(若かったので許してください)
この会社はカンサイから進出してきた会社です。曰く「関西と東京ではやり方が違う、だけどうちの会社の上層部は結局東京を知らないから、関西のやり方でやるしかない」
「目黒区住んでてこんなデザイン性皆無なダッサイチラシ入ってて誰が問い合わせます?」
「だったらその時間、ポータルサイトのブラシュアップしてた方がまだ有意義なのでは」
この店長とは個人的に連絡を取り合っていたため、水曜日にもよく仕事の話をしていました。
テマキは5000枚撒いて1件鳴ったらいい方です。1万枚撒いて0も珍しくありません。
ですがこの店長が言うに、テマキは刷り込みだと。
「お前の言うことは正しい、費用対効果は薄いよ。ただ、テマキは刷り込みなんだよ。その物件で鳴らしたいわけじゃない。その物件で鳴らなくていい。いざ売りたい、買いたいってなったときに思い出してくれることが目的なんだよ。"あああそこの会社のチラシよく入ってるな、問い合わせてみようかな"そう思ってもらえるように、刷り込ませることがテマキの醍醐味だと俺は思ってる。」
所詮トリカゴの中で悠々自適に事務作業してるわたしには理解できないことだったんだなと恥ずかしくなりました。
「まーけど城南エリアでこんなキャラクターの入ったダサイチラシ入ってても引かれるだけだけどね!アハハ」
今日も郵便受けには不動産屋のチラシ。ですが疎ましく思うに思えないのは、きっとここで働いたことの果実。