%俺とホストクラブ#2
続きます。
何事もきっかけなんて単純なもの。わたしだって御多分に洩れず単純だった。
14歳、当時はインターネットの創世記で、auのパケホで海を泳ぐ。子供ながらに母の職場でバイトして携帯代を稼ぐ。
元ホストで当時ボーイズバーの店員だったアキという男に一目惚れする。だが田舎に住む芋臭いガキ、一目惚れといっても芸能人みたいなもので、画面越しに思いを馳せる内にアキは飛んだ。
城咲仁がいまはなきブラウン管の向こうでわたしを嘲笑う。
時はすぎはたちになり、友達と初回に行った。
20年も生きていれば自分の性格なんて嫌というほど理解はしているわけだし、どう考えてもホストなんてはまるタイプだし。わかってて門を叩くわたしを、飛んで火に入る、なんて呼ばないで。
初回のシステムはわかりやすくて、500円とか1000円とかを払って飲み放題。
だいたい4〜10人くらいのホストが10分程度かわるがわるつき、この世で最もくだらない会話をする。
最後に送り指名といって、気に入ったホストを1人選ぶ。わたしが選んだのは、なんの因果かあきという名前のホストだった。
(期待させて悪いが先に言っとく、あきには結局1円も使ってないし店にも行ってない)
ホストの営業はすごくて、初回の夜から延々に営業メールが届く。
「今日はこれ食べたよ」
「明日制服イベなんだ〜」
「ヘアメ終わったよ(写メ付き)」
ホスト=自分は絶対はまる
ホスト=お金かかる
ホスト=怖い
25歳の時分よりはるかに賢かったはたちの私。
返信したらダメだ、と思い届く薄い言の葉に目をやり携帯を閉じる。だけど受信拒否の一つできなかったのは少しだけ闇を覗きたかったから。
あきのいる店のブログは毎日読んだ。
ホ/スラブなるものも知った。
明らかに使わない客だし返事もしなかったから、3ヶ月もすればお便りはなくなった。安心した。