鬼切日記ver5.0 小説の書き方なんて存在しない

小説を書き始めて思ったのは、世の中の「初心者向け・小説の書き方」情報はあてにならないし、人によって言ってることがバラバラすぎるということ。

なので適当なことが言い放題だ。自分もそれに習うことにする。

例えば一人称視点か三人称視点か。どちらが向いてるかなんて人それぞれのはずだが「初心者は三人称視点」というのが多数派のようだ。

最初に書き、今も書き続けている長編は一人称視点だが、後に三人称の短編も書いてみて分かった両方の利点を残しておく。

まず一人称視点は難しい。「俺の名前は〇〇。どこにでもいる普通の高校生」とか「ここが冒険者ギルドか」みたいなのは小説としてありえない。

……なんてことはない。そんなことを気にしたところで作品が面白くなるのかという話だ。

ぶっちゃけweb小説の人気作でこの手のはいくらでもある。そもそも漫画では不自然な状況説明セリフも多いだろう。今どきツッコミを入れることに意味を見いだせない。

情報の出し方はテンポよく無駄なければ、形式に拘る必要がないと思う。

とはいえ主人公の視点でしか情報が出せなくなるという制約はある。だが、これはむしろ初心者にこそありがたい。

実際に自分も味わった初心者あるあるとして、世界観設定などの「作者として書きたい情報」を「本筋に関係ないタイミングで」長々と書いてしまうというミスがある。

一人称視点で語り手がキャラクターのみになれば、そういった作者本人のエゴが多少なりとも抑制され、いま作中で起こっていることに情報をフォーカスしやすくなる。

物語はキャラクターが主役、作者は裏方というスタンスの自分にとって、一人称視点は最適なスタイルだと思う。

難しいと感じるのは、たまに主人公以外のサブキャラ視点で話が進む場面。主人公を通して見た人物像と、当人の内面はズレがあるので、理解をすり合わせるのに時間がかかる。

逆説で「~だが」とか言わないキャラなのに、普段の癖で書いちゃうとかもあるあるだ。地の文がセリフに近づくからこそ、スイッチを切り替えて書く必要が出てくる。良いキャラが良い語り手になるとは限らない。

結局のところ一人称視点を難しく感じるのは、キャラクターへの理解が足りないからという話に尽きる。

物語の展開や文章表現に重きを置くタイプの人に向いていないのは確かだろう。小説というメディアはそういった人が多いようにも思える。

三人称視点はまさにその逆で、キャラクターの行動原理を理解していなくともセリフさえ書けていれば形にはなる。

とにかく作者の書きたいことを、書きたいタイミングで書きたいだけ書けるという気軽さがある。文字数も自然と増えていく。

小説をある程度の量書き上げたという成功体験を積みやすい点では、三人称視点は初心者向きだと思う。

しかしweb小説を地の底から天の果てまで色々読んでいると、面白い面白くない以前に、ひたすら読みにくい作品が多い。そして、その手のほとんどが三人称視点という印象がある。

初心者でも一定の文量を書きやすいのは三人称視点。初心者でも読みやすい形にまとめやすいのは一人称視点。どちらも「初心者向け」ではある。








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