カノン進行(ドシラソ…)

この駄文も終わりが近づいてきている。いくつかよく使われている進行を紹介し、転調についてちょっと考えておしまいにしようと思っている。

進行のひとつ目はカノン進行である。これはベースラインがド、シ、ラ、ソ、ファ、ミ、と下がってくる進行で、パッヘルベルさんのカノンという曲に使われている進行である。主題を聞けば「あぁ、これかぁ」とすぐ分かる曲のはずである。

オリジナルは

I(ドミソ)
V(ソシレ)
VIm(ラドミ)
IIIm(ミソシ)
IV(ファラド)
I(ドミソ)
IV(ファラド)
V(ソシレ)

である。だから、最後はファードーファーソー、と鳴って最初に戻って延々とループである。

余談だが、この曲は静かな感じから始まって、延々とこの進行を繰り返しながら楽器が増えていく、という構成になっている。だから、有名な主題の部分を聞けばすぐ分かる曲なのだが、動画で最初の方を聞いてもさっぱり分からない人の方が多いだろう。

吹奏楽でこの曲を練習した時に、曲の半ばでその日の練習が終わってしまったため、チューニングのあと、練習終了までまったく音を出さなかったパートがあったとかなかったとか…

このまま使われることももちろん多いのだが、実際には各種のバリエーションがある。たとえば最後の方のIVの和音をIIm系(レファラ)の和音に置き換えた(IIm7とIV6は構成音が同じなのであった)ものがあり、こうするとファーミーレーソー、とベースラインがレまで降りてくるようになる。おそらくこちらの方が聴き慣れているのではないだろうか。

そしてまたまた「翼をください」の出番である。この曲はカノン進行で3小節(ドシラソファミ)進んだ後、レが鳴ることは鳴るのだが、IImではなくVII♭(シ♭レファ)の和音が鳴る。これは赤い鳥のオリジナルでも、ピアノ伴奏の合唱版でもたいていそうなっている。この進行はあまり見ないのだが、翼をくださいが大変有名なので、聞き覚えがある人が多いだろう。

他にも、ベースラインが全音階下降というだけなら I IIIm VIm I という進行なども考えられ、たくさんのバリエーションがある。もっとも、これはもうカノン進行とは言わないとは思うけど。


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