シレファの和音とその仲間たち

全音階上の5度はだいたい完全5度なのだが、ひとつだけ違う5度がある。それはシファ間の5度で、減5度になっている。

減三和音

減五度を使って作った三和音のことを減三和音という。全音階上ではシレファ、ドを根音にすればドミ♭ソ♭、コードネームではm♭5やm-5と書いたり、dimを付けたりする。海外の楽譜ではo(丸)が書かれていることがある。

m♭5は構成音に着目した書き方で、マイナーフラットファイブと読む。Bmならばシレファ#になるが、シレファはBmに比べて第5音が半音下がっているのでBm♭5である。m-5は♭をマイナスと書いただけである(ASCII文字しか使えない場合に重宝する<だから普通の人は(ry

dimはdiminishedのことで「減」に相当する。減5度は「diminished fifth」と呼ぶわけだ。ただし、減三和音は減7度も合わせて減五減七の和音として使うことも多く、その場合は一応dim7と書くことになっているが、dimだけで減五減七を意味する流儀の人もいるので注意が必要である。

今書いたように、この和音にももうひとつ音を付け加えた仲間たちがいる。短6度を加えたものはシレファソで、これは属和音の転回形のことなので除外。

減五減七の和音(ディミニッシュセブンス)

短6度の次の音は長6度だが、三度堆積の四和音の第7音として捉えるために減7度と考える。これが先ほど書いた減五減七の和音で、シレファラ♭である。根音がドならドミ♭ソ♭シ♭♭とダブルフラットが炸裂するが、まぁ面倒なのでみんな「ラ」だと思って演奏してるだろう。コードネームではdim7と書かれることが多い。海外の楽譜ではo7(丸7)と書かれていることもある。

この和音は第5音と第7音の間も短3度である。それどころか、第7音が減7度ということは、第7音から上に向かって根音を見ると増2度ということであり、異名同音で読み替えればこれも短3度である。つまり、全部の構成音が1音半の間隔で並んでおり、転回しても基本的な響きは同じである。

短3度を四つ積み重ねると減9度になってしまうので、どれかひとつは必ず増2度で記譜する必要がある。Cdim7をドミ♭ソ♭ラと記譜すると、それは正確にはAdim7のことであるが、あながち間違ってもいない、ということである。

異名同音を考慮するとCdim7・E♭dim7・G♭dim7・Adim7の構成音はすべて同じになるので、実質三つしか存在しないことになる。増三和音も似たような性質を持っていたのだった。

減五短七の和音(マイナーセブンスフラットファイブ)

第7音をもう半音上げると短7度になり、普通のセブンスの仲間に近くなる。シレファラ、と全音階上で構成できる。根音をドにするとドミ♭ソ♭シ♭である。コードネームではm7♭5やm7-5と書かれる。海外の楽譜ではφやφ7と書かれていることがある。第7音がなければ斜線のないただのoなので、斜線が入っていたら7がなくても減五短七である。

全音階上の四和音では根音が導音の和音だけがこのタイプなので、属七と同様、導七の和音と呼ばれることもある。また、半分だけ短3度で残りは長3度・長2度だからなのか、ハーフディミニッシュとも呼ばれる。ハーフだからoに斜線なのかな。

また、音を並び替えるとレファラシになるから、マイナーシックススの転回和音でもあり、実際、m6と書いてある楽譜もある。


dim7とm7♭5は響きが似ているので私には区別が難しい。あとはM7♭5というのも考えられるが、あまり見たことがない。響きも想像できない。9度を付け加えて五和音にすることも可能なのだと思うが、五和音にするなら上より下に伸ばす方が多いのではないだろうか。

下に伸ばしたらどうなるか、次回にちょっと書こうと思う(まぁ、ちょっと構成音を書いてみればすぐ分かる話なんだが)。

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