あの日から一年経った話~東京事変「2〇2〇.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ」~

 おじゃまたくしです。久々の酒気帯び。ほろよいの新作がアセロラサワーで、アセロラジュースが好きすぎて一時狂ったように飲んでいた身としてはとても嬉しいです!

 2020年9月5日。私はちょっと遠いけれど歩いて行ける距離の映画館にいた。身に纏っているのは背中に日の丸と「INSIDENTS TOKYO2020」の文字、そして正面にはおなじみの5色のマークと赤い事変孔雀、それから「nippon」の文字がそれぞれ刺繍されている青ベースに黄色ラインのニッポニアジャージクラスタ。手にはやはり事変孔雀があしらわれたグッズのバッグと黄色地が麗しい手旗。それからタオル。もう一目で「あ、こいつ東京事変のワンフーだな、愛好家何だな」とわかる見た目をしてその時を待っていた。

 去年の元旦、日付が変わっていろんな人と閏年を祝うべくTwitterを開こうとしたその時、とんでもない報せが世の中を駆け巡った。「東京事変 再生」「新曲配信開始」「閏日から、ツアー・ニュースフラッシュ開催決定」いやいや、急に色々ぶち込み過ぎでしょ。此方人等まだあのキュンキュンしちゃうような衣装での「ジユーダム」と「人生は夢だらけ」、それから「おげんさんといっしょ」と「Same Thing」の紅白でのパフォーマンスをかみしめてるっちゅーの。Do you understand?スペルアッテル?しかも新曲「選ばれざる国民」かっけーーーーーーーあーーーーーしかも同刻に公開されたティザーがほんと多分あの日動画投稿サイトで公開されたりテレビで流れたものすべてかき集めて見比べてもあのティザーが一番かっこよかったと思う。

 月が替わって全然チケット外れまくって死んでたけどさあもうすぐツアーだぞ、みたいなタイミングでイベントの自粛が求められた。それでも閏日とその次の日のライブはもう一曲「永遠の不在証明」という新曲も携えて開演した。最早存在する事すら許されないかのような勢いで叩かれていた。それまで亀田師匠は毎朝「大丈夫、大笑福」と毎朝呟いていたのに呟かなくなった。当事者じゃないのに物凄く落ち込んだ。

 そのあと、以降のツアー日程が全て中止になった。バイトの日以外は家にいて、借りて来たDVDを観たり本を読んで退屈を凌いだ。

 本来ツアー会場で販売されるはずだったグッズを通販で買い求め、ツアーが中止になったことで仕事が無くなって収入が減ってしまったであろう裏方にいるひとたちのために少しでもお金が回ればいいなと思ってライブのDVDを買ったりした。そうして買ったグッズたちを家で身に着けてライブの映像を観たりするその時間が退屈から解放してくれた。

 そうしてしばらく過ぎてある日のバイト終わり、ファンクラブからのメールが入っていた。「ツアーと同じセットリストでライブビューイング開催決定」。

 ああ、画面ごしだけれどハイセンスな彼らが私たちの前に現れてくれるんだ。本当は画面なんか隔てないで、「再生フラグ」と名付けられたこの黄色い手旗を振りたかった。でもその姿を見せてくれるだけでとても嬉しい。

 そうして一年前の今日。私は映画館に居た。ワクワクしながら席を取り、当日はニッポニアで行こう、中はディープフェイク(Tシャツ)を着ていこう、ピンバッチで作ったイヤリングもしていこう。暫くしてなかったけれどお化粧もしていこう。どうせ出かけるしお昼は外で食べよう。手旗も忘れずに。そうして当日までワクワクし通しで迎えたその日は快晴で、とても気持ちのいい日だった。

 開演してからはそれはもうあっという間で、正に夢見心地。次の日六時起きなのに大丈夫かなあなんて思いながらツアーが中止になった時に作ったセットリストのプレイリストを再生して、興奮で足元が覚束ない状態のまま帰宅した。

 それから秋には衣裳展示もあったし映画の主題歌やドラマの主題歌、紅白だってあったし年明けには新しいティザーとアルバム発売の報せがあって、そしてもう一つ。映画館で「この映像はもしかしたらもう観れないかもしれないな、配信ライブの円盤化なんて聞いたことないしな」なんて思っていたあの映像が円盤化されるという。すぐ予約した。そして受け取った円盤はもう何回も観たし、特典のポスターも壁に貼ってある。映画館で感動して興奮して足元が覚束なくなったあの日から一年経った今日も見返した。細部までかっこいいのが東京事変だしそれを支える職人たちだ。「あ、ここよくみたら」とかそういう細かいアイデアがたくさん詰まっている。ああ、この人たちはなんてクリエイティブで真摯で、最高なんだろう。そう思った。気が付いたらめちゃめちゃ全力で「OSCA!」と叫んでいたしブンブン手旗も振っていた。1年前そうできなかったから。最後の「空が鳴っている」まで、やっぱりかっこよかった。

 今の状況のような生活は明日の朝起きたら終わる、みたいなことはないだろう。それでも私は、明日も変わらず東京事変の曲を聴くだろう。それが私にとっての財布だけじゃ足りない贅沢で、「贅沢は味方」なのだから。そして画面を隔てずに会えるようになったら、これまでずっと励ましてくれて有難うの意を込めて喉潰れてもいいから全力で叫ぶし腕が疲れて上がらなくなってもいいから全力で手旗を振るのだ。本編の再生が終わってDVDのメニューが映し出されたテレビ画面を見つめながら、去年の私と未だわからない未来の私と、それから東京事変に心の奥でそっと誓った。

 

知識をつけたり心を豊かにするために使います。家族に美味しいもの買って帰省するためにも使います。