星野源の「Cube」を聴いた。

 おじゃまたくしです。あちこちで初冠雪とかそういう冬将軍到来!?もう!?まだ心の準備が…みたいな便りが聞こえてきて家の中で震えています。

 午前零時。テレビアニメ鬼滅の刃無限列車編の第二話で早速うるうるさせられつつ、ほんの少しだけ酒気帯び状態で解禁された楽曲を聴いた。思わず笑みがこぼれる。今年もうすでに5曲新しい曲を世に出していて、この曲は6曲目なのだ。なのに毎度毎度更新してくる。映画の予告で一部分は解禁されていたけれどそれじゃ歌詞はあんまり聞き取れないし。そうして蓋を開けてにやにやしてしまうのだ。

 解禁された楽曲の名は「Cube」。作詞作曲歌・星野源。菅田将暉主演・10月22日公開の映画「CUBE 一度入ったら、最後」の主題歌。この人は映画「ドラえもん のび太の新宝島」の主題歌に「ドラえもん」と名付けていた人だ。その斜め上から「え、マジ?」って思うようなタイトルに今更驚くまい。極度の星野源オタクの私はそんなことで驚くようなメンタルは持ち合わせていない。「またやりおった(笑)好き(笑)」くらいには軽く流せる。

 とりあえず曲を歌詞を見ながら一回聴いた。クレジットを見るのは二回目を聴く前と決めているので誰が演奏しているのかを予想しながら。

わーきゃー叫べど                                        待つだけじゃ 助けは来ないさ                                  考えろ ここでは                                             誰も彼も出られない                                       昔観た カナダの映画であった                                  いかれた箱で殺されてゆくだけ

 一回目を聴きながら、「このドラムは生…?だとしたら豊夢くんか…?打ち込みの可能性もあるな…ギターは長岡さんだろうな」なんて思いながら(実際は打ち込みだったので玉田豊夢は参加しておらず、mabanua、櫻田泰啓、長岡亮介が演奏メンバーだった。mabanuaさんベースもできるのか。すげえな。)聴いていたのだけれど、引用した歌詞が引っ掛かった。今度公開するのは日本版リメイクで元の映画が在るのだ。インスタの彼の投稿をその時はまだ見ていなかったのでとりあえず「CUBE」とググったら元の映画はカナダの映画だとわかった。ならばそれを観なければ感想は書けまい。

 ということで色々書きたいことはあるけれど一旦寝て朝からご飯も食べずにネットフリックスを開き、「CUBE」を観た。主題歌を星野源がやると知った時から観ようと思ってマイリスト登録してそのままほったらかしていたのだ。いいタイミングで観れた。

 謎の箱に閉じ込められた男女6人がそこから脱出を試みようとする話。SFホラー。一時間半ドキドキしっぱなしだった。結構やばめな罠は仕掛けられているわ映画が終わる直前まで犠牲者は出るわで一時間過ぎたあたりで「これ収集つくの?」ってちょっと思ってしまった。人間の愚かさとか絶望とか何としてでも生きようとするところとか、そういうのを一時間半にギュッと詰め込んでいてとても面白かった。

 映画を観終わって今一度歌詞と彼のインスタの投稿を見てみると「やっぱ星野さんすげえや」となった。あと投稿に添えられたハッシュタグの謎も解けた(カナダ版のネタバレになってしまうので言及は避ける)。

  賑やかで複雑なメロディーのイントロなので歌詞も明るいのでは、でもホラーだし…と思ってたら最初の歌詞が

未来 閉ざした                                      もう終わりさ すべてに希望が見えない

だったので最初からいい意味で裏切られた気分だ。そして彼が書いた歌詞がそこで終わるわけがないのだ。いきなりこんな希望を捨てた歌詞で途中「虫けら」とか出てくるしなのにメロディーは明るいからほんの少し不安になったりするのだが、曲が進むにつれてちゃんと出口に繋がるような歌詞はある。

運命 飲み込まれ すべて呪う                                ことにも飽き飽きだな                                      バカが強いる 理不尽を解け                                   出口が光りだす。                                        運命の河流れ いま抗え                                       気付かず生き惚けた                                       過去をみな 紡ぎ縄に変えて                                  出口に繋ぐまで

 人間はそう簡単には変われない。「聖人君子などほんの一握りで残りは阿呆か腐れ外道か阿呆かつ腐れ外道」と『夜は短し歩けよ乙女』に出てくる黒髪の乙女のお母さんが「おともだちパンチ」を伝授する際に言ったように、人間は愚かで汚くて、『蜘蛛の糸』に出てきた犍陀多のように時には他人をそうしてでもただ生きようとする種族の生き物なのだ。だから引用した歌詞も出口に繋がるような歌詞なのだけれど出口ではない。ほんの少し希望があるのみ。それでも前半に感じたちょっとした不安は和らいだ。

 人間死ぬまでそんなもんなのだ。だから「悲しみに座りくつろげる」方法を模索して過去を紡ぎながら生きていくのかもしれない。そしてこれが「死の淵から帰った」彼が今出せる一つの出口に繋がるヒントなのだろう。


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おじゃまたくし
知識をつけたり心を豊かにするために使います。家族に美味しいもの買って帰省するためにも使います。