この花は2度咲く~キンモクセイ「都市と光の相対性」~
おじゃまたくしです。2冊の素敵な本を買いました。勢いでオンライントークイベントも予約しました。読んだ感想はいずれ。読書の秋ですね。今年はそんな余裕ないのに、年がら年中本を捲る手が止まらないのが目下最大の悩み事です。
1つ、叶えたい夢というか小さな目標みたいなものがある。それは「金木犀が咲く時期に木の下でキンモクセイの曲を聴く」こと。私の住んでいる場所には金木犀は自生しない。寒すぎるのだ。この時期メルティーキッスが解禁になるころには雪虫が飛びはじめて冬の始まりを告げてくる。秋どうした。もっと頑張れ。そしてボージョレ・ヌーヴォーが解禁になるころにはとっくに初雪が降っていて、天気予報の降水確率の数字が白いことの方が多くなっている。だから金木犀の花を生まれてこの方22年、写真でしか見たことがない。
そんな私にとっては半分幻みたいな花と同じ名前を持つバンド・キンモクセイが10月24日にデビュー20周年を迎える。私は今年、キンモクセイのファンになった。きっかけは「名盤全曲やりたい楽団」のライブ。ある日HOSONO HOUSEを全部曲順通りにやるという内容のライブがあるとTwitterで知った。私はこのアルバムが大好きである。そしてこのライブの中心メンバーがキンモクセイっていう名前のバンドのメンバーだったのだ。そのバンドの名前、どこかで聞いたことあるようなないような。ググる。「さらば」の文字。ああ、あたしンちの主題歌。知ってる。でもそれだけ知って自分の知らない界隈に突っ込んでいくにはあまりにも無防備が過ぎる。ただ運が良すぎるのでTwitterの相互さんにたまたまキンモクセイのファンが居た。これはラッキーとその人をとっ捕まえてというか頑張って話しかけてキンモクセイについて色々教えていただいた。その時最初に聴いたのが「都市と光の相対性」のライブセットである。
ハマった。ものすごく簡単に、過去星野源や椎名林檎にハマった時と同じように一瞬で。あの時は一瞬だったけれど、今思い返してみたら、好みの声と好みのメロディーでハマらないわけがないのだ。そして歌詞の言葉の使われ方まで好みなのだ。一寸先は沼。
「都市と光の相対性」を初めて聴いた時、私は「夜、雨に濡れて街灯で光っている道路」を思った。想像力が豊か過ぎる。しかし、特に2番なんかは
星はいつも暦通り 雨はいつも予報通り
という歌詞がその豊かな想像に拍車をかけてしまう。その勢いで2019年に出たアルバム「ジャパニーズ・ポップス」を聴いた。最高だった。かくして私はキンモクセイのファンになり、その日のうちにTwitterアカウントまで開設してしまった。毎月ラジオも聴くし今月は配信ライブだったりYouTubeでのラジオだったり何時ものラジオがちょっと豪華になったり盛りだくさんである。まだまだ新参者の私にはありがたい。
そしてそんなキンモクセイ20周年の今年、界隈のTwitterがちょっと盛り上がった。9月中頃にシーズンがやって来た金木犀がついこの間、もう一度咲いたというのだ。まるで彼らの節目を祝うかのようなタイミングで。一度活動休止したバンドが復活して節目の年を祝う。彼らは2度目の咲きどきが来たのかもしれない。こんな素晴らしいことがあるか。それを祝えることがとても幸せである。できれば永遠に咲いていて欲しいと思うのである。