おばけはいる、だったら、おどる。

 暦の上ではもうあと3週間ほどで立秋を迎えるらしい。だのにテレビの天気予報では予報士が「まだ夏になりきれていない」などと言っている。どうやら夏はまだまだ続くらしい。アイスクリームとアルコールで乗り切るしかない。

 私が愛してやまない星野源の新曲がリリースされた。「異世界混合大舞踏会feat.おばけ」。

 ちょっとまて。feat.おばけ......?今度はおばけと友達になったらしい。っていうのは冗談で、この曲は7月22日公開の映画、「GHOST BOOK おばけずかん」の主題歌で、コーラスにはこの映画に出てくるおばけに声をあてている、声優の釘宮理恵氏、下野紘氏、そして杉田智和氏が参加している。

 と、配信リリースを待っていた夜22:50、あまりに眠すぎて1時間の仮眠。やっとの思いで目をこじ開けて、0時。今回はMVも同時にプレミア公開だったので課金は後回しにしてYouTubeのアプリを開く。カウントダウンが始まっていた。二分間のカウントダウンの間、幾度となく寝落ちそうになる。MV観終わったら寝よう…...

 そんな感じで必死に目をこじ開けつつ、可愛いおばけダンスと久々のアニメーションMVに心を満たされて就寝。気になっていて、かつMIKIKO先生じゃないとすればこれはNONさんのお仕事なのではないかと思っていた振り付けは、NONさんとShingo Okamotoさんによるものだった。NONさんはELEVENPLAYのメンバーである。

 で、寝て起きてすっきりした頭で楽曲のみを再生。寝起きで大好きな声を聴くのは健康にいい。その内あらゆる悪いものに効果があるという研究結果が凄い人から発表されると思うし誰もやらないなら私がやるまである。

 聴きながら歌詞もチェック。Twitterにアップされた歌詞には可愛らしい(笑)画伯直筆のおばけたちがちりばめられていた。ニセさん、その後楽しく生きていますか?

 そういえば世の中にはこんな歌がある。「おばけなんてないさ」というタイトルの童謡。

おばけなんてないさ おばけなんてうそさ                             ねぼけたひとが みまちがえたのさ                              だけどちょっと だけどちょっと ぼくだってこわいな                       おばけなんてないさ おばけなんてうそさ

  保育園のお泊り会、これを歌ってから肝試しをやった。先生方が本気出し過ぎて号泣で、それだけじゃなくて年中さんをめちゃめちゃ脅したらしい。いくら何でも怖がりすぎだ。

 あれから17年。おばけと一緒に踊ろうとしているのだから人生わからない。

おばけが でるぞ                                        耳のうしろ あの世が踊る                                    おばけが でるぞ                                       だけど わりとそこまでは悪くない                                 おばけが きみを                                        連れて 視えぬ世界を遊ぶ                                          おばけは いるぞ                                            だけど 生きた人よりは 怖くないよ

 一番のサビ、最後の一文が凄く沁みる。このご時世、人が怖いと思うようなことが明らかに増えている。日々の自分を消耗するのも、世間の雰囲気をマイナスにしてしまうのも、結局は自分を含めた生きている人だ。ポップの中にほんの少しの絶望も混ぜる。それがたとえ、児童書が原作の映画でも変わらない。

おばけが でるぞ                                           川の向こう あの子が踊る                                   おばけが でるぞ                                        胸の闇を 食べながら歌い出す                           おばけが きみを                                        大人 聴けぬ言葉で笑う                                            おばけは いるぞ                                      側で いつも見てるから 覚えていてね

  彼はライブで「自由に踊って」と言う。ある時は「生活を踊れ」と言ったこともある。彼が生み出す楽曲たちはそんな言葉を表したようなものが多い。今、ワクワクして踊り出せるような世の中は過去のものになりつつある。しかし、踊り続けていたらいつか向こう側の視えない世界から仲間が遊びに来て一緒に踊ってくれるのではないかと思う。だとしたら、おばけは嘘でも何でもないし、怖くもない。そう考えたら何だか憂鬱な明日も楽しく迎えられそうだ。

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おじゃまたくし
知識をつけたり心を豊かにするために使います。家族に美味しいもの買って帰省するためにも使います。