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黄金の三日間。大事なのは先生だけじゃない。学校事務職員だって

教員免許を持っていて、元・先生という珍しい学校事務職員の自分だからこそ、同じ学校で働く互いの職種をつなぐ役割ができる……と大それたことは思いませんが、それぞれの仕事に学ぶべきところをこれまでもちょいちょい書いてきました。今回はモロそれです。

「黄金の三日間」という先生業界の常識

知らない人はいない。というか、先生は初任のときから「これは大事やで」と教わる、「黄金の三日間」という言葉。

「教師にとって、最初の三日間ほど大切な日はない。この三日間は、黄金の日々である。この三日間だけは、子どもたちは天使の如く素直であり、教師の言うことを何でも受け入れようとする。この三日間のうちに、クラスの目標を決め、しくみをつくり、ルールをつくることが重要だ」

向山洋一official web site

この言葉をつくったのは向山洋一さんという有名な先生で、TOSSという教育団体の創設者です。で、そのTOSSは「4月8日の始業式から始まる黄金の三日間マジ大事」と多くの実践を重ね、今では黄金の三日間。は先生業界一般の常識となりました。
具体的に何するの?というのは、noteでも多くの先生が発信されていますのでそちらをご覧ください。
とりあえず、経験者としては「確かにその通り」と言えます。

引用文中の、「目標を決め、しくみをつくり、ルールをつくることが重要だ」というのがキモです。
これには裏があって、もちろん、三日間のうちにきちんとそれらをやりきる。という意味なんですが、それを可能にするには
一年を通じてぶれることのない目標を用意しておく」
一年を通じて機能するしくみを考えておく」
一年を通じて基準になるルールを準備しておく」 
……ことが必要になってきます。

とにかく、子ども、そして学級集団は「ひんぱんな変更」を嫌います。
都合で言うことがコロコロ変わる先生、まあそりゃ大人でもイヤですよね。
最初につまづいて、やっぱりこうしよう。と迷走し出すとあとの祭り。
子どもからの信頼はいつまで経っても得られません。

逆に言うと、一年間通用する目標・しくみ・ルールを三日間で浸透させればそれだけで勝ち。みたいなものです。

なので私もそれを意識して、先行実践も参考にしながら目ェギンギンにして黄金の三日間に臨んだものでした。

学校事務職員の黄金の三日間って?

「黄金の三日間」の考え方は学校事務をやってる今でも大事にしています。
え?事務職員に始業式ないよね、と思われるでしょうが、
私は4月1日からの三日間がそれだと認識しています。
なぜなら、学校事務職員にとって、この三日間に一年間を左右する大事な仕事がぎゅうっと詰まっているからです。

たとえば4月1日。新転任者を迎えます。
前任校から持ってこられた書類を受け取り、
こちらからは給与関係の書類を渡して書いてもらう。
ただそれだけですが、ミスると後々まで禍根を残す超重要な仕事です。

受け取った書類の中身はすぐに確認しましたか?
あるべきものは全部入っていましたか?
足りないもの・余計なものはありませんか?
ごくまれに、他人のものが混じっていたりします(経験者)。
不備はありませんでしたか?
紛失しないようにファイリングしましたか?
……普段なら一日かけてじっくりやるべきことを、きわめて短時間で処理せざるを得ないのが4月。

もちろん、あとでじっくりやるから。といったんしまいこむ事務職員も多いと思いますが、仮に書類の不足があったとして、前任校に問い合わせるのが遅くなるとそれだけ解決にも時間がかかってしまいます。

一方、こちらからは給与関係の書類を渡して書いてもらいます。
中には4月の給料にかかわるために当日中になんとしても書いてもらわないといけない書類もあります。
それを新転任者全員分、忘れずに説明して、書いて、回収できるか。

これらをミスってしまうと、そのリカバリーのために数か月要することも珍しくありません。……逆に言うと、うまくいけば5月以降は通常の業務に集中できるということ。

だから黄金の三日間を学校事務にも

4月1日。
新転任者から決まって寄せられる質問は
「どうやって通勤したらいいですか?」

一見、冗談のようにも聞こえますが、
この学校に赴任ね。と今朝告げられたばかりの初任者や、
元からいる先生の話を聞いてから決めよう。と考えているベテランも。

学校事務職員は通勤届を書いてもらう必要があるので、
自ずと質問を寄せられる立場になります。

実際の通勤認定自体は4月中にじっくりやると思いますが、
先生たちは明日から通勤が始まる(=定期券を購入する)ので、
「じゃあ今度また調べてお返事しますね」というわけにはいきません。

あとで、「やっぱりこの通勤経路は認められません」なんてことにならないように(=言うことがコロコロ変わらないように)、
「先生の自宅は〇〇町なので、最寄駅は△△駅ですね。
××鉄道で□□駅で乗り換えしてもらって、SS駅からAA小学校までは
LLバスで来てください。定期券は??の方が安いのでそちらの買い方で」
とその場で即答する必要があります。
事務の人にはっきり答えてもらったら先生も安心して通勤届を書くことができますね。

それを可能にするには、3月までに通勤手当認定のきまりと事例について十分に承知しておくことです。

……おや、なんだか先生の「黄金の三日間」と似ていますね。
ぶれない目標(=法令やマニュアル)
機能するしくみ(=業務のプロセス)
基準になるルール(=法令やマニュアルの適用のしかた)

それらを4月最初の三日間で
先生たちに、そして
学校事務職員自身でも実行することで
一年間が平和に過ごせるんじゃないかなーと思っています。



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