「できないヨガのポーズ」はありません〜だからインストラクターは完成形を見せないで下さい
ヨガの生徒さんからよく聞かれるのが
「ちゃんとポーズができてるか不安」
「まだまだポーズができない」と言った感想です。
生徒さんがポーズができる、できないにこだわってしまうのはまだしも、
びっくりしたのは「このポーズは男性はできませんってインストラクターから言われた」という体験談。
断言します。
ヨガのポーズに「できないポーズ」は存在しません。
なぜならヨガのポーズは”ジャーニー”(旅)だから。
今日できることが既に旅の始まり、
マットに足の裏をしっかり付けて立ったその瞬間、
あるいは両手の指をいっぱいに広げて手のひらでマットを掴んだその瞬間に
もうポーズへの旅は始まっているのです。
その旅が何ヶ月続くのか、何年続くのか、あるいは来世まで持ち越すのか
それは誰にも分からないし、そんなことはどうでも良いこと。
今日、自分の身体が気持ちの良い状態を見つけ出して
その状態の中で呼吸を感じて
そのポーズの中で心と身体と呼吸がひとつに感じられれば
それが「できてるポーズ」なのです。
それではなぜ「ポーズができない」と感じる生徒さんが多いのでしょう。
(あるいはインストラクター自ら「男性はできない」などと言っちゃうのでしょう)
それはヨガはポーズを完成させる修行だと世間一般で誤解されているからです。その誤解が広まっているのはヨガを教えている人たちの責任だと私は思います。
私が香港でカナダ人の先生に全米ヨガアライアンス200時間のティーチャートレーニングを受けた時に徹底的に教え込まれたのは「自分がポーズを取りながら教えるな」ということ。つまり口頭のインストラクションでリードして自分はポーズをしないということが基本中の基本でした。
なぜか?
理由は3つあります。
一つ目はインストラクターがポーズを取ったら生徒の状態を見ることが出来ない。生徒の状態を見ながら適切なインストラクションを与える、怪我をしそうな状態ではないか?苦しそうな生徒はいないか?具合の悪そうな生徒はいないか?そういった観察なしに安全で良いレッスンは出来ません。
二つ目は自分を守る為。インストラクションを喋りながらヨガのポーズを取ることは全くマインドフルではないので怪我をします。
「自分の呼吸をよーく聞きながら〜」なんて言いながら自分が一番集中できていないなんて全くの矛盾ですよね。
そして三つ目の理由が今日のテーマ。
生徒さんが「ポーズができない」という誤解に悩まされるのは
インストラクターがみんなの前で完成形を見せるからです。
いつもいつも練習を重ねているインストラクターが完成形ポーズが出来るのは当たり前。仕事や家庭で忙しく身体がこわばっている生徒さんがやっと1週間ぶりにヨガのレッスンに来てインストラクターの完成形を真似ようとするのは大変危険なことです。
それに他人の姿を見ながら動いて「自分の身体を観察し呼吸を聞きマインドフルに動く」なんてことは無理です。首をひねって視覚に飛び込んだ完成形に自分の身体を無理矢理近づけることはヨガの目的とは全く反対方向に向かってしまいます。
おまけに「先生はあんなに出来るのにどうして私は出来ないんだろう」と言う劣等感まで引き起こし、セルフケアやセルフラブどころではなくなります。
美しい完成形ポーズを見せながら(これまたなぜかモデルみたいな人ばかりなのよね笑)「自分の身体の声を聞いて、決して無理をしないで下さい」などと言われたらまるで「あなたには出来ないんだから真似はしないでね〜」と言ってるようなもんでしょ。
それにしても世の中はそんなヨガレッスンが一般的です。
8年前に日本に帰国して、インストラクターが当たり前のように前でずっとポーズを取っているレッスンばかりなのを知って驚きました。
でももしあなたがいつまで経ってもポーズができない、先生みたいなポーズが出来るように練習してるけど、ここだけの話ちょっと肩や股関節や腰が痛い、ヨガに通っても自己肯定感上がらんと思っているなら、そのヨガレッスンに問題があるのかも??
だから私はレッスンではポーズを取りません。
(あまりにポーズを取らないので、実はできないのではないかと思われている笑)
生徒さん一人ひとりの状態を観察しながら
次のポーズやインストラクションを考えながら喋ります。
そしてそれぞれが今日、一番気持ちの良い状態になることを目指します。
一人ひとりの身体は違うからそれぞれの旅も違う。
自分だけの旅を好きになり自分の事を好きになる。
それさえ出来ればポーズの形なんてどーでもいい。
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