ランニングと暑さ対策【その3】熱射病の救急処置:あわてるな、されど急ごう救急処置
こんばんは!
ONE TOKYOスタッフのまゆゆです(^^)
9月に入り少しずつ暑さもやわらいでくる時期ですが、
走るとまだ蒸し暑く感じる時もありますよね。
ということで今回の理事長noteは
ランニングと暑さ対策その3!
いざという時に知っておくと良い
熱射病の応急処置についてご紹介いたします。
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みなさんこんばんは、
東京マラソン財団理事長の伊藤静夫です。
前回のNoteでは、
熱中症の予防方法を取り上げました。
とりわけ、もっとも重篤な熱射病を
避けるべきことを強調しました。
一方、いったん熱射病になった場合には、
的確で迅速な救急処置が必須であることも
忘れてはなりません。
今回は、その熱射病の救急処置を考えてみます。
なお今回も、
日本スポーツ協会のガイドブックを参考にしました。
詳しくは同協会のホームページをご覧ください。
(日本スポーツ協会;https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid523.html)
熱射病にならないために
熱射病は、熱中症の中でも特に重篤なもので、
体温が異常に上昇し、重度の意識障害が起こります。
死の危険性が高い緊急事態であることを
十分に認識しなければなりません。
他方、意識障害を起こした本人自身は、
もはやその危険性すら認識することが
できなくなっています。
したがって、とくに一人でトレーニングをしている
ランナーにとっては、
熱射病は是非とも避けなければなりません。
しかし現実には、
不幸にして熱射病になってしまうこともあり得ることです。
いったん熱射病になった場合、
本人以外のランニングの仲間や
指導者など周りの人たちが
救急処置にあたらなければなりません。
あわてず的確に、しかも迅速な救急処置が必要です。
的確に意識障害の判断を
暑い中で走っていて、
フラフラと虚脱症状が見られたら、
軽いようでもまず熱射病を疑ってみます。
熱射病は、ごくまれに起こる事故ではありますが、
ともかく、熱射病の徴候がないかどうかを確認します。
スポーツ現場で熱射病を判断する基準は次の2点です。
(1) 深部体温(直腸温)が異常(40℃以上)に上昇
(2) 意識障害がある
現場での直腸温の測定は、現実にはむずかしく、
まずは意識障害の有無を手がかりにします。
熱射病とそれ以外の軽症の熱中症では、
対処方法が全く異なるので、熱射病の判断はとても重要です。
ランナーの意識がはっきりしていて、
特に意識障害が認められなければ、
より軽い熱中症と判断し、涼しい日陰に移し、
靴を脱がせ、衣服を緩め、足の位置を15cmほどあげて
横に寝かせます。
そして、適時経過を観察し回復を待ちます。
ただしこの処置はあくまでも
ランナーの意識がはっきりしているときに限られます。
ランナーに何らかの意識障害が認められれば、
熱射病と判断して全く別の救急処置を
行わなければなりません。
呼んでも返事がない、応答がおかしい、
鈍い、変なことを言い出す、
見当識障害(時間や居場所がわからなくなる)、
などの症状があれば意識障害と判断します。
意識障害は、当初は軽いものが
急速に進行する場合もあり、
本来なら、医師の診断を待ちたいところですが、
トレーニングの現場では事実上不可能です。
そこで、上記のような意識障害が少しでも疑われれば、
過剰反応を恐れず、
熱射病と判断して直ちに救急処置に移ります。
一刻もはやく身体冷却を
熱射病の救急処置で重要なのは、次の2点です。
1.すみやかに身体を冷却する
2.迷わず、救急車を要請する
熱射病の救急処置では、
異常に上昇した体温を一刻もはやく下げることが肝要です。
具体的には、直腸温の測定が可能であれば、
30〜60分で直腸温が39℃以下になるように冷却します。
現場ではなかなか直腸温の測定が
できない場合が多いでしょう。
しかしその場合でも、
少しでも熱射病を疑う意識障害があれば、
迷わず、現場でできる最善の身体冷却を間断なく続け
救急隊の到着を待ちます。
現場で、浴槽やポータブルバスタブが利用できるでしょうか?
もし可能なら、首から下の全身を氷水か冷水に入れます(イラスト1)。
熱射病の救急処置では、この方法がもっとも効果的な冷却方法です。
ただし、スポーツ現場ではこうした設備は限られるでしょう。
そこで次に推奨される方法は、
イラスト2のように、水道水をかけ続けることです。
可能であれば扇風機も利用して、
さらに熱放散を促進させます。
また、冷たいもので体を冷やす方法もあります。
氷やアイスパックなどを腋の下、
脚の付け根など太い血管に当てて冷やします。
イラスト3では、保健室など冷房のきいた部屋に移し、
多くのタオルを用意し、
タオルを氷水で濡らしたうえで全身にあてて、
それらを次々に交換しながら冷やしているところです。
誤った熱射病の初期対応
熱射病は死の危険のある緊急事態です。
救命できるかどうかは、
いかにはやく体温を下げられるかにかかっています。
ここで間違えやすく、また危険なのは、
意識障害がみられるのに、
しばらく安静にして「様子を見る」という
ありがちな処置です。
また、救急車を要請したので安心してしまい、
救急車が到着するまで「様子を見る」という処置も誤りです。
この「様子を見ている」間に、
当人には際だった異変が見られなくても、
体温はさらに上昇を続け、病状は悪化し、
より深刻な状態に陥ることになるからです。
こうした誤った初期対応によって救命できなかった例は、
少なくありません。
命に関わる熱射病の救急処置では、
一刻を争う冷却の重要性を再度強調しておきたいと思います。
それと同時に、こうした熱射病に陥らない心構えが、
夏のトレーニングでは欠かせません。
それはひとえに、
無理なトレーニングをしないことにつきます。
そこで次回は、
トレーニングにおける「無理」について改めて考えてみます。
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最後までご覧いただきありがとうございました!
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次回は9月12日(月)投稿予定です!
「マラソンの日」にちなんで、
みなさんよりお送りいただいた初マラソンのエピソードを
ご紹介いたします!
お楽しみに♪
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