【練習場のマーケティング】シニア層を増やせ
練習場の売上の安定基盤を作る。
シニア層、いわゆる定年退職後にゴルフを楽しむ60歳以上は、ゴルフ人口の3割を占めています。
練習場の朝はシニア層が日課として練習を楽しんでいる風景があります。そのシニア層は安定的な売上を見込んで運営費のほとんどがそこから拠出されるような仕組みを作っていくほどのパワーがあります。
ここでは、シニア層の来場を増やし安定的な売上にするためのデータ分析手法をお伝えしていきます。
ミッションはあえて高めにしましょう。「シニア層の売上を2倍にするんだ!」とオーナーミッションが来ました。さぁ、今までの章で出てきたことを利用してデータ分析とは何か、どのように利用できるのかを理解してください。
1.ミッション シニア層の売上を2倍にする
売上を2倍のため、売上に紐づく項目を階層型で細分化していきます。細分化した結果、抜け漏れがないことが分かり、因果関係も理解しやすくなります。
2.今を知る
売上は、来場者数×ボール単価×打球数で計算されますので、ボール単価・打席数といった固定値は深堀しません。流動値となる項目について検証を進めます。
来場者数は4項目(男女比・年齢層・地域層・来場客数・打席回転数)からなります。
ここで検証の順位を考えるとしたら、来場者数を増やすか、打球数を増やすか、のどちらから検証を進めるか?という議論になります。
シニア層に対して打球数を増やすことは現実的に難しい選択肢です。なぜなら、シニア層は毎日通うことが日課となる場合が多く、打球数を増やすと毎月利用できる金額がなくなり、来場数が減りやすくなるためです。
そうすると、来場者数を増やす、という議論が優先順位上位となります。
来場者数についてみていきます。
シニア層の男女比・年齢層・地域層、この3項目はあなたの練習場のシニア層の具体的な顧客像を割り出し、具体的な施策を展開するために必要となってきます。
来場客数は3つの項目(既存顧客数・新規顧客数・流出顧客数)に細分化されます。
細分化することで、何人のお客様に何を提案するかが見えてきます。打席回転数は、シニア層が利用する時間帯にどのくらいの回転があり、その回転をどこまで上げられるか、稼働していない打席を稼働させるためにはどんな手が打てるかを検討するために利用します。
3.壁を見つける
現時点で見えていない来場客数の数値をシステムから抜き取ってきます。
この来場客数の数値を基に、売上を2倍にするための検証を始めます。来場客数を検証すると、大まかに3パターンの活動が見えてきます。
Aパターン 既存顧客数を今よりも2倍にする。
Bパターン 新規顧客数を2倍にする。
Cパターン 流出顧客数を1/2にする。
基本方針は、既存顧客、いわゆるリピーターとして毎日の日課として練習場に来場されるシニア層を今よりも2倍に増やすことです。
そのために、流出顧客を半分に減らし、新規顧客を2倍にする計算をとります。3パターンの組み合わせとなります。
4.壁を乗り越える
流出顧客を半分にする
目標値に対して、施策を考える前段階で必要となるのが、顧客分析になります。どのようなお客様が来場し、何を目的に楽しんでいらっしゃるのかを検証します。
今回は、あなたの練習場のファンを探すために使います。ファンは。あなたの練習場のいい点や悪い点を知っています。
インタビューでいい点を教えていただき、流出顧客にダイレクトメールや広告として利用していきます。これは新規顧客にも利用できる方法です。
インタビューする顧客を探す方法
ファンを探すための方法もデータを活用します。来場回数が15回/月以上のお客様です。いわゆるスターです。
ここでファンとなる顧客の具体的な情報が見えてきます。練習場のスタッフと顔見知りになって、世間話もするようなお客様。
しかしながら、そのお客様は実はごくわずかで、会話もない方も多くいらっしゃいます。データはそのような実はスターだったお客様を浮き上がらせることができます。
インタビューで出た結果を反映させる
インタビューをした結果、シニア層のファンの皆さんでコンペをしたいという声が多く上がっていることが分かりました。
コンペというよりも、安く多く、ラウンドしたい。しかし、シニア層は車を手放しているケースが多く、インタビュー中も車がないから行かなくなったというケースがあるそうです。
であれば、貸し切りバスの検討が必要となるでしょう。だからといって、そのまま施策に盛り込めません。私たちがやりたいことは、シニア層を250にすることです。
ラウンドしてもらうことが250に辿り着くための施策とはなりません。少し加工が必要になってきます。
5.目標値にするための施策案
顧客ニーズ ラウンドしたい
練習場ミッション シニア層の売上を2.5倍にする
そのために シニアコミュニティーを作り、お客様がお客様を呼び込む展開をする
なぜなら 練習場のファンからラウンドしたいという声に応え、練習場として応援できることをする。運営はファンの皆さんが中心。ファンは私たちの練習場が好きだから、知り合いにはどんどん声をかけるはず、そのための販促チケットは提供し練習場の営業マンとなってもらう。
数値目標 ファンは現在20名。コミュニティ発足は20名だが、登録数200名を目標に進めていく。
数値期日 1年後
この施策は、既にゴルフを日課としているシニア層だからこそ出来るものです。20年以上ゴルフで人に出会い、友達を作り、ゴルフの交流を理解されているからこそできるものです。
コミュニティを運営するためにはキーとなるメンバーが必要ですが20名いるのであれば最低3名(運営切り盛り1名、ラウンド調整1名、声掛け上手な女性1名)は調整次第で工面できます。
6.まとめ
ミッションに対し、「今を知る⇒壁を見つける⇒壁を乗り越える⇒目標値にする施策をする」という順番を繰り返し行っていくことで、当て感ではない、効果的な施策が打ち出せます。