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障がい者の相続税控除:知っておきたい制度と利用条件
障がい者の相続税控除について
障がい者控除は、障がい者の税負担を軽減するための税制措置です。 相続においても、障がい者自身が相続財産を引き継ぐことが重要であり、使い切れない相続財産については、扶養義務者の相続税から差し引くことが可能です。 今回は、障がい者本人だけでなく、扶養義務者にもメリットのある、相続税の障害者控除についてご紹介します。
障害者控除を受ける条件
障がい者手帳を申請していない場合でも、「障害者控除対象者認定書」を受け取っていれば、相続税の障害者控除を受けることができます。 「障害者控除対象者認定書」は、お住まいの市町村で申請し、交付を受けることができます。
相続税は誰に掛かる?
人が亡くなった場合、その人の財産や権利、負債は親族が受け継ぐことになります。 しかし、相続税は相続人すべてに掛かるのではなく、すべての財産から負債や葬儀費用などを差し引いた金額が、一定額(基礎控除額)を上回る場合に発生します。
基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算されます。 例えば、法定相続人が配偶者と子ども1人であれば、基礎控除額は4,200万円となります。 相続税は、この4,200万円を超える相続財産に対して発生します。
令和4年時点で、相続税が発生したのはおよそ9.6%と言われており、大きな割合ではありません。 しかし、障害者控除は他の人にもメリットをもたらす可能性があるため、知っておくことが重要です。
相続税の障害者控除
障がい者の相続税控除は、85歳未満の障がい者本人が相続や遺贈によって財産を受け継ぐ際に適用される制度です。 通常の障がい者であれば10万円、特別障害者であれば20万円に、85歳になるまでの年数をかけた金額が相続税から差し引かれます。
相続税の障害者控除を受ける要件
障害者控除を受けるためには、以下の5つの要件をすべて満たしている必要があります。
相続または遺贈によって財産を受け継いだこと
相続開始時に障がい者であること
居住無制限納税義務者であること(日本で生まれ、相続時点も日本に住んでいる人)
法定相続人であること
85歳未満であること
相続の障害者控除を受けられる障がい者の範囲
精神障害者保健福祉手帳の2級〜3級(一般障害者)、1級(特別障害者)
身体障害者手帳の3級〜6級(一般障害者)、1級〜2級(特別障害者)
療育手帳 B〜C(一般障害者)、A(特別障害者)
控除額が大きい場合
相続税の障害者控除額が大きくなる場合、扶養義務者の相続税額から控除することができます。 扶養義務者とは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、家庭裁判所が認めた3親等以内の親族、同生計の3親等以内の人を指します。 扶養義務者には順位はなく、実際に扶養していなくても、その権利があれば該当します。
まとめ
今回は、障がい者が相続人になった場合の「相続税障害者控除」について解説しました。 この記事が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。