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ストーリーとシナリオの違い


今回は記事のタイトルはビジネス思考を意識してあざとくなっているが、映画、ドラマのクリエイター(監督、シナリオライター、俳優プロデューサー)に向けたストーリー開発の重要性を認知してもらいたいと願っている。僕のメンターでもあるストーリーコンサルタントの岡田先生が監訳した『神話の法則』でも書いてあるが、あくまでもメソッドはガイドラインとしてのためのものであり、ルールではないと宣言している。

しかし、理論と実践をどのように分けるかを考えなくてはならない。

一人一人、同じものはない。ジェームズ・W・ヤングの「アイデアのつくり方」でも、一般知識と特殊知識があり、新しいアイデアは既存の要素の組み合わせであるという。クエンティン・タランティーノ監督もすでにあるアイデアを彼なりの独創性とストーリーを組み合わせて新しい作品を生み出している。

ストーリーとシナリオを開発する上での明確な違いを示しておきたい。

ストーリーはディベロップメントするもの。
シナリオはリライティングするもの。

ストーリー開発はプロデューサーの仕事である。作品のテーマ、ジャンル、キャラクターをどのように生み出し、観客へアプローチできるか、作品のヒットの鍵はプロデューサーのストーリー開発に大きく関わってくる。

シナリオはストーリーをブレイクダウンしていく作業で、ここは脚本家(ライター)の領域となる。ストーリーは作品をマーケットに近い形で開発していかなければならない。シナリオに口を出す、プロデューサーがいるわけだが、よくあるパターンは口を出しすぎ自分たちが何をしているかわからなくことがある。もちろんライターはリライティングする技術が必要だ。商業映画、つまりビジネスとして作品をプロダクトアウトする以上は、制作費を回収して利益を出す義務がある。

ハリウッドではSPEC SCRIPTスペック・スクリプト)と呼んでいるが、ライターがいきなり脚本を書いて、プロデューサーやスタジオがピックアップするシステムがある。アメリカの映画やテレビドラマの業界でもストーリーに流行みたいなものがあり、売れたライターにはエージェントがついて、作品の影響力を持って売れる場合もある。

日本では原作を映画化する場合、多くは映画のためのストーリー開発をする間も無く、脚本家にプロットを書かせ(箱書き)、そのまま映像化していくが、ハリウッドはそのまま映像化することに対しては、やらない。また監督に脚本を書かせる場合も必ず脚本家を立てる。日本は原作がヒットしたものでければ集客できないマーケットなので、オリジナルは昨今ほとんど作りにくくなってきている、ヨーロッパ向けのアートフィルムは作家性によって、作品が売れる場合もあるが、ビジネス面ではリクープすることは難しくなってきている。

日本の原作がハリウッドでリメイクされるのは稀なことで、しばらく前に遡るが、1996年に公開された周防正行監督の映画『Shall we ダンス?』はなぜ、ハリウッドでリメイクされたのだろうか。国内で大ヒットした結果も理由の一つではあるが、この作品にはハリウッドも受け入れた要素が作品のストーリー分析をすると見えてくる。あまり聞き慣れた言葉でないかもしれないが、作品の持っているプレミスが素晴らしかった。

プレミスとは
ハリウッドのシナリオ教本でたまに目にする「プレミス」とは、ログラインによく例えられる。

僕もこの言葉を初めて聞いたのはストーリーコンサルタントの岡田先生の講義だった。ここでは、ストーリー開発する上で共通言語として使う前提で例えるならば、ビジネスのマーケティング業界でよく使われるUSP(ユニークセールスポイント)に近いと言える。作品(商品)を一言で説明できなければお客さん(顧客)には認知されない、響かないので、この一言で作品を観たい!手に取りたい!と思わせることができるかがポイント。もっと追求した説明をすると、表現者として人に作品を伝えるためのコミュニケーションツールでもある。




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