徳武 秀明(one's)

映画やドラマの企画開発専門のストーリーコンサルタント。たまに映像監督、配給宣伝ディレクター。一般社団法人映像文化革新機構(one's)代表理事。

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はじめに:優れたストーリーには共通の定義がある。

エンターテインメントとしての映像やドラマを創る上で、面白いと思える作品にはストーリーの共通定義がある。プロデューサーや監督のインタビュー取材やメイキング、シナリオ創作術や分析本には、ほとんどこのストーリーの定義について語られることはない。 このnoteでは、ストーリー開発の共通言語の一端を知る入り口になることを目的とする。 多くの方がストーリーという言葉を聞いてイメージされるのは起承転結という言葉が思い浮かぶはずだ。これはある意味では正解でもあるけれど、正解ではない。僕自

    • 【物語の基本要素とは】ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで

      ストーリー開発や研究に活用できそうな本の紹介とレビューを掲載する Story Book Laboratory(略してSBL)をスタートします。 2018年に出版された「ヒットの設計図」(早川書房)には物語を語るための重要な基本的要素が記されているので紹介したいと思う。 著者はデレク・トンプソン。 アメリカの経済・メディア関連の雑誌の記事を執筆している。タイトル通り、ヒットについての本ではあるが、これまで多数のヒットに関する本は出版されているが、ヒットがどのように生み出さ

      • 映画『風の谷のナウシカ』に隠されたテーマとメタファー

        ジブリ作品が劇場でリバイバル上映されてヒットしているが、中でも宮崎駿監督作品として『風の谷のナウシカ』には今後作り続けられる作品のテーマがある。このテーマはチャップリンの作品とも共通したテーマが設定されている。 ユパが小さな人形を拾い上げると子どもの形をした人形は崩れ散る。ここでは子どもが犠牲になっていることが伺える。 しかし、腐海を作ったのは人間の欲や業である。 風の谷に吹いている「風」と「大地」は何の象徴か? 腐海に汚染されてしまった地上では植物が育たないが、ナウシ

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        • 普遍性のあるテーマのつくり方:映画『Shall we ダンス?』から読み解くプレミスの重要性

          前回の原稿の繰り返しになるが、ストーリーはテーマを伝える(語る)ためにある。しかし、このテーマとはどのうようにしてつくり出されているものなのか、ほとんど分析されることは少ない。 日本の映画マーケットは原作がヒットしたものでければ集客できないマーケットなので、オリジナル作品はほとんど作りにくくなってきている。ヨーロッパ向けのアートフィルムは作家性によって、作品が売れる場合もあるが、ビジネス面ではリクープすることは難しくなってきている。 日本の原作がハリウッドでリメイクされる

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        • ストーリーの普遍性とは
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        記事

          プロローグとエピローグの役割

          僕のメンターでもありストーリーコンサルタントの岡田先生から学んだ「ストーリー=物語」についての本質をお伝えしたい。 繰り返しになるが、ストーリーは人間の営みとしての三幕構成(はじめ・なか・おわり)から成り立っている。 ストーリー=人生 自分で物語のバランスを崩して、どうやって修復するか。 日々の生活や社会の中には秩序があることによって、葛藤(コンフリクト)が生まれていく。 葛藤はキャラクターの中にあるものであり、プロットは「世界・社会」に分けることができる。 フィク

          プロローグとエピローグの役割

          ジャンル映画はキャラクター主導?プロット主導?ストーリーの再現性を劇的に変化させる方法とは

          ストーリーはキャラクターとプロットで成り立っている。 映画やドラマのストーリーを創作する上でよく使われている「キャラクター」と「プロット」。この2つの要素からストーリーは成り立っている。 簡単に2つに分けるとキャラクターは登場人物の「性格」、プロットは「出来事」や「環境」となるが、この二つの要素は現実世界での我々(人間)の営みとしてほとんど説明ができる。創作された世界も人間社会もこの2つの要素の組み合わせとバランスで成り立っている。舞台やドラマの中では、観客にキャラクター

          ジャンル映画はキャラクター主導?プロット主導?ストーリーの再現性を劇的に変化させる方法とは

          ストーリーはテーマを語るためにある

          多くの人はテーマとは「自分が伝えたいこと」と思うかもしれないが、クリエイターであるならば、ストーリーを通して何を語るのか? 以前アップした原稿でも書いているが、ストーリーの定義とは「はじめ・なか・おわり=Beginning・Middle・End」となる。映画の中に登場する人物もストーリーの中で達成しようとするゴールを持っている。ストーリーテリングは嘘をつくことから、その嘘を積み上げながらリアリティーを作り上げていく。 ストーリーはゴール(テーマ)を明示する必要がある。 明

          ストーリーはテーマを語るためにある

          ストーリーとシナリオの違い

          今回は記事のタイトルはビジネス思考を意識してあざとくなっているが、映画、ドラマのクリエイター(監督、シナリオライター、俳優プロデューサー)に向けたストーリー開発の重要性を認知してもらいたいと願っている。僕のメンターでもあるストーリーコンサルタントの岡田先生が監訳した『神話の法則』でも書いてあるが、あくまでもメソッドはガイドラインとしてのためのものであり、ルールではないと宣言している。 しかし、理論と実践をどのように分けるかを考えなくてはならない。 一人一人、同じものはない

          ストーリーとシナリオの違い

          なぜ、日本の映像産業は人材育成がうまくいかないのか?

          ストーリー開発のノウハウの共有の前に知っておいていただきたいことがある。エンターテインメント産業におけるコンテンツの産業を二つに分けることがあるのだが、その二つには以下に分けることができる。 ハード産業 ソフト産業 例えば、テレビが扱うコンテンツはどちらに基づいた産業だろう? 映画産業はどちらだろう?ゲーム産業はどちらだろう? 80年代後半から90年代前半、日本の家電メーカー(SONY、パイオニア、東芝、パナソニック)がハリウッドの映画メジャースタジオを買収した際に何を

          なぜ、日本の映像産業は人材育成がうまくいかないのか?

          三幕構成

          三幕構成は「単なるパターンでしょ」と聞くことが、この単なるパータンについて本当に知っていますか、と聞き返すしたくなることがある。 三幕構成についての定義や詳しい説明はアリストテレスの「詩学」と「神話の法則」に書いてあるのでぜひ、興味ある方は読んでほしい。 アリストテレスの詩作術・詩学の中で出てきた三幕構成を発展させたのはドイツ人の戯曲を研究していたグスタフ・フライターク。図のピラミッドでは5幕になっている。(wiki参照) 三幕構成に当てはめると以下になる。 はじめ(

          ストーリーの普遍性とは?

          僕は小説家でもなければ、シナリオライターでもない。 けれども、ストーリーを創造するために学んできたことがある。 このnoteは映像でストーリーを語ろうとしている人、もしくはすでに映像制作をしている人たちへ、僕が学んできた「ストーリー」の定義、「ストーリー」を開発・創作するための共通言語を体系化することである。 ストーリーを戦略的に活用するための理解として、3つのテーマを分解して説明していきたいと思う。※主に映画作品の分析も交えていくつもりなので、作品を観ていない方は、事前の

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          ストーリーの普遍性とは?

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