【Nadia×ワン・パブリッシング『Nadia magazine 』発売!】株式会社 OCEAN’S代表取締役社長CEO 葛城嘉紀さんインタビュー
2012年に開設したレシピサイト「Nadia(ナディア)」は、いまや月間2,000万人が利用している巨大メディアです。コロナ禍でおうち時間が増えた昨年以降、料理に挑戦したい意向のユーザー増加にともない、これまで料理をしなかった人たちにも「Nadia」の魅力が広がってきています。
そんな強力メディア「Nadia」とワン・パブリッシングがタッグを組んだ、『Nadia magazine』が誕生しました。
今回は『Nadia magazine』の発売を記念して、Nadiaの運営会社・株式会社OCEAN’S代表取締役社長CEOの葛城嘉紀さんを直撃取材! 『Nadia magazine』にかける想いや起業した背景、今後目指す理想の形まで、じっくりとお話を伺いました。
【プロフィール】
葛城 嘉紀(かつらぎ よしき)
大阪府藤井寺市出身。 同志社大学卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社し、L'Arc~en~Cielやゴスペラーズなどの音楽プロモーターとして音楽業界に従事。その後、株式会社リクルートにて新規事業開発およびSUUMO事業の営業や事業企画に携わる。2011年に独立。株式会社OCEAN'Sを創業し、「食」と「料理」の分野で活動している。アマチュアキックボクサーとして試合にも出場している。
Nadiaに携わるすべての人の熱い想いが「Nadia」の原動力
―まずは、レシピサイト「Nadia」のサービスの特徴と、サイトを立ち上げた背景についてお聞かせいただけますか?
「Nadia」は、厳しい審査を通過した約600名の「Nadia Artist」と呼ばれる料理家、料理研究家、フードコーディネーターの方だけが投稿できるレシピサイトです。誰でも投稿できるわけではないので、質の高いレシピや写真だけが必然的に集まっており、その結果、ユーザーの方々からご好評いただいています。
僕は以前、ソニー・ミュージックエンタテインメントでアーティストのマネジメントやプロモーションを担当していました。その後リクルートに転職し、SUUMOというインターネットメディア運営を手掛けていたんです。この2つの事業、「マネジメント」と「メディア運営」を"料理"という事業領域で合体させたのがNadiaです。
Nadiaのテーマであり目標は、「食で誰かのために貢献していく」であり、やはり「人」を幸せにしたいんですね。Nadiaのレシピがひとつでも多くの家庭の団らんに貢献できたら……食を通して人々が幸せになることこそ、僕らが目指している理想の形です。
サイトに掲載されたレシピひとつとってみても、Nadia Artistが写真を多いときで100枚くらい撮影し、レシピ文を推敲して、心を込めて投稿してくれています。
僕たちスタッフは、そんなNadia Artistの方々の想いに寄り添い、レシピをより輝かせるための表現方法、マーケティングをもとにした展開方法をアドバイスしています。投稿や提案されたレシピに対するフィードバックも、丁寧で細やかにおこなうことを意識しています。Nadia Artistの方と伴走 している感じですね。
Nadiaに関わるすべての人の熱い想いが、いまのNadiaの魅力となっているのではと自負しています。
―Nadiaのレシピのクオリティを維持するために、どのようなことを意識されていますか?
第一に、Nadia Artistになるための厳しい審査ですね。通過率は8%くらいなので、かなり狭き門です。写真が綺麗かどうか、わかりやすいレシピが書けているか、そして何よりおいしいか。この3点が審査基準です。
審査を通過してNadia Artistになった後は、プロのカメラマンによる写真講座を開催したり、食品メーカーとの開発の場に参加してもらったりと、さらなる技術の研鑽に向けて、さまざまな訓練を行っています。
『Nadia magazine』を通じて、新しい層へ「Nadia」の魅力を伝えていきたい
―今回、Nadiaとワン・パブリッシングがタッグを組み、満を持して発売されたのが『Nadia magazine』です。webメディアと紙のメディアがコラボするということで大きな可能性を感じますが、葛城さんがこのムック本に期待されていることは何でしょうか?
「食で誰かのために貢献していきたい」というテーマは変わりませんが、これまでNadiaというサイトでは届かなかった方々へ『Nadia magazine』を通じてレシピを届けられるのが一番の喜びです。インターネットが使えない環境の人や紙ベースの方が料理しやすいという人など、たくさんいらっしゃると思うので。
―『Nadia magazine』の編集担当・横山も、「レシピ本を買う人の中には年齢層が高い方も多く、また地方ではスマホ普及率もまだまだという現実があり、せっかくの素敵なNadiaのレシピが届かないという状況を打破したい!」という強い想いを持って、今回のムック本の企画を立案したようです。
ありがたいですね。紙の本を通じてレシピが広がっていくということは、Nadia Artistたちの活躍の場、露出の場が増えることにもなりますので。
じつは去年から今年にかけて、Nadiaのブランディング強化をはかっています。今年3月に、株式会社OCEAN’SからNadia株式会社へと社名も変わるんですよ。
今回お話をいただいたのがグッドタイミングであったこと、そして何より編集担当の横山さんの熱意に心を動かされました。ほかの会社の方からもいろいろなご提案をいただいていましたが、僕たちは”なにをやるか”はもちろん、それ以上に”誰とやるか”を大切にしています。『Nadia magazine』を通じて、より多くの方にNadiaの魅力が届くといいなと思っています。
レシピ検索結果=時代そのものをリアルタイムで反映している
―もう少しNadiaについてお聞きします。コロナ禍によってアクセス数がぐっと上がったとお聞きしていますが、具体的に人気が高かったレシピの傾向などはありますか?
お菓子作りをする人が増えましたね。ホットケーキミックスを使ったレシピも人気でした。あとは、炭水化物系のレシピ……チャーハンやパスタなどのレシピがかなりアクセス数増でしたね。家にいる時間が長く、食費もかかるため、大量調理で乗り切りたい! という方が多かったからでしょうか。
―検索レシピ結果を紐解くと、その時々の時代背景がわかりますね!
本当にそのとおりです。昨年8月は野菜の値段が高騰しましたが、すぐさま野菜をたくさん使ったレシピのお気に入りが減りました。それが12月に入って値段が落ち着いてきたら、再び増えだしましたからね。あとは、「クリスマス」でレシピを検索する人が例年より多いのも特徴的でした。外でイベントができないから、おうちクリスマスをやろうという人が増えたからでしょうね。
熱い想いの根底にあるのは、少年時代の食卓の原風景
―お話を伺っていると、社風からサイト運営に至るまで、すべては「食で人と人をつなぐ」「食で誰かのために貢献していく」という熱い想いが根底にあることが伝わってきます。そしてその想いは、Nadiaの新しいロゴに映し出されていると感じました。ロゴに込めた想いを教えていただけますか。
下に薄くかかっている茶色が、テーブルをあらわしています。つまり食卓です。そのうえに、カトラリーと花がのっています。
カトラリーは、お箸や包丁、おたまなど候補がいろいろありましたが、料理を作る人よりも「食べる人」のことをより強くあらわしたいと考えました。スプーンとフォークにしたのは、赤ちゃんからお年寄りまでが全員使えるからです。
そして花は……自分の話で恐縮なのですが、僕の家庭に一輪挿しがいつもあったんですよ。少しでも食卓を明るくしよう、幸せにしようという母親の想い、真心ですね。食卓を作る人の努力や食べる人を思いやる気持ちを象徴しています。
テーブルの上にみんなが使うカトラリーと、真心の象徴である花――。そんなあたたかな食卓がもっと世の中に広がればいいなという想いから、新しいロゴが誕生しました。ちなみに、この話をブログやSNSでも発信したのですが、母親から「いいね!」がつきました(笑)。
お互いの夢を叶えようと努力すれば、必ずうまくいく
―最後に、葛城さんが抱く今後の目標やビジョンを教えてください。
料理サイトはいろいろありますし、それぞれに違った魅力がありますが、やはり唯一無二のメディアになりたいですね。もっとも食卓に貢献できているブランドでありたいです。具体的な事業展開としては……今後はNadia以外のメディアをやるかもしれません。いずれにしても、やはり「人」を大切にしていきたいです。
たとえば、僕は料理ができないので、Nadiaに掲載する料理に関しては一切口出しをしません。Nadia Artistと専門のスタッフに任せています。その分、経営的なことはすべて請け負います。そのように補い合うことによって、一人ですべてはできないけれど、Nadiaに関わっている人全員がお互いの夢を叶えようとしたら、絶対にうまくいくと思うんです。
Nadia Artistは、Nadiaの夢を叶えようとしている。うちのスタッフは、Nadia Artistの夢を叶えようとしている。今回の『Nadia magazine』も、僕らは横山さんの夢を叶えようとしているし、横山さんはNadiaの夢を叶えようとしてくださっています。全員がそんな想いを強く持っていたら、成功するじゃないですか。このことをすごく意識しています。
葛城さんのお話すべてに一貫した熱い想いが込められていて、OCEAN’Sという会社、そして「Nadia」というサイトの底しれぬパワーを感じました。たくさんの人の想いを乗せた『Nadia magazine』、ぜひご期待ください!
【Nadia magazine vol.01】
2021年1月14日発売
判型・ページ数:A4・96ページ
定価:本体680円+税
https://www.amazon.co.jp/dp/4651200672
(取材:水谷映美/撮影:我妻慶一)