一部漫画ファンのコメントが酷い。スッキリ、スカッとしない終わり方について

はじめに

先日、『はじめの一歩』のストーリー展開について、プチ炎上していました。
長年連載を続けている人気漫画ですので、反響が多いのはわかります。
しかし、私はSNSでのコメントを眺めていて違和感がありました。

少し前に遡ると、『推しの子』でも、最終回が気に入らないと批判を通り越して中傷が散見されました。

彼らの辛辣な言葉に、いや、それはどうだろと思い、今回の記事を書いています。
あくまで個人の感想なので、「そんな意見もあるんだな」程度に思ってください。

ここでは、作家や制作者をあえてクリエイターと呼称していますので、ご了承ください。

増えてきたコンテンツの楽しみ方

昔は週間少年ジャンプやマガジンなどの連載漫画は、紙媒体でしか読めませんでした。
しかし、インターネットによる電子書籍が普及し、紙以外でも読めるようになりました。

また、SNSで活発にコンテンツの感想や議論、分析や考察がなされるようになりました。昔は2ちゃんねるや個人ブログの一部でしか、そういった動きはなかったのですが、現在は集団で楽しみやすくなったといってよいでしょう。

反面、炎上しやすくなっております。そんなことで炎上するのかと、首を傾げたくなる事例もいくつかありました。
コンテンツは盛り上がりやすくなりましたが、クリエイターやコンテンツが潰されやすいという諸刃の剣だと思っています。

厳しいコメントについて

ユーザー側について

批判はコンテンツを育てると思っておりますので、実直な批判は、賛同できるかどうかは別として、なるべく行うべきです。もちろん、良い点があれば積極的に褒めるべきです。

誹謗中傷はもってのほかです。コンテンツを潰す行為です。人格攻撃しないで、作品の好ましくない点を指摘するだけがベストです。

クリエイター側について

へこたれずに、自分の吸収できるものはどんどんと吸収して、合うもの合わないものを取捨選択すればよいでしょう。
芳しくないのは、まともな批判をした人間をブロックする行為です。アンチが増えるだけですので、できれば、そういう反対意見の人間も虜にしてしまうくらいの気概がよいでしょう。

本題。スカッと、スッキリを求める読者について

さきほど挙げた作品などで、話の終わり方が「スカッとしない」「スッキリしない」というコメントを散見します。
有名無名問わず、様々な作品で、そういったコメントが発生します。

そんな時、私は、大抵こう呟いています。
「『スカッと』系作品だけ読んでいれば?」です。
知らない人に簡単に解説しますと、『スカッと』系は、いじめや浮気などへの復讐を描いた作品です。水戸黄門のお約束のように、必ず『スカッと』する展開が待っています。

作品というのは、どういう終わり方(ストーリー展開)をしようが、それは読み手側の受け取り方次第だと思っています。
読解力というより、感受性です。自分に合う合わない、ただ、それだけの事です。
それをあたかも、クリエイターとして悪手だと批判するのは違うかなと思います。

私はさっぱりしない終わり方でも、全然大丈夫な人間です。
むしろ、その方が、色々と推測や妄想が捗り、コンテンツを自分の中で膨らませて楽しむことができます。
コンテンツのファンは、そういった想像で、プラスアルファの愉悦に浸るものだと解釈していました。
クリエイターが一方的に突きつけた理路整然としたスッキリとした終わり方は、むしろ、蛇足に感じてしまう場合もあります。

クリエイターがもっともしてはいけない行為は、読者を納得させるために、キャラクターや筋の通らない展開をすることです。

このキャラクターがこんな事しないだろうと思わせてしまうと、途端に駄作になります。
逆にいえば、キャラクターやストーリーの筋が通っていれば、不完全燃焼な終わり方でも全然良い。

「飛影はそんなこと言わない(※1)」などと言わせてはいけないのです。

なぜ『スカッと』を求めるのか

あくまで、私の推測ですが、様々な層がスマートフォンやタブレットで手軽に(あるいは無料で)漫画や小説を読めるようになったのが大きいと思っています。

そのため、タイパ(※2)やコスパを求めるユーザーがわらわらと群がりました。じっくりコンテンツを楽しむのではなく、時間をかけた分の満足(スッキリやスカッ)が求め、欲しいものが違うと憤っているのではないでしょうか。

もし、クリエイターがサイン会や同人誌即売会を行った際、彼らは訪れるでしょうか。

答えは否です。
タイパの悪いことを彼らはしません。ただ、手軽に自分を満たすものを求めているだけです。

作品にある間や無言を読み取れませんし、作品上の伏線に気づくこともありません。
動画のように倍速で読んでいるのかもしれません。

クリエイターたちへ

タイパやコスパを求めるファンは無視してもよいです。

なぜなら、彼らはお金を費やさず、あなたのマニアにはならないからです。
無料の方法(あるいは割安の方法)であなたの作品に触れて、SNSで好き勝手に呟いているだけです。

真に注目しなければいけないのは、あなたの作品にたっぷりと時間とお金と愛情を注いでくれた人たちです。
彼らの批判を受け入れる器は用意しておきましょう。

注釈

※1 エッチなビデオに出演した女性が、幽遊白書のキャラになりきってエッチをしようとした際に放った言葉。

※2 タイムパフォーマンスのこと。費やした時間に対する効果や満足度を示す。動画を倍速するなどといった行為がある。


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