繋ぐゲームデザイン
この記事は、[Board Game Design Advent Calendar 2019] の第18日目の記事として書かれました。
最初に
SCOUT!のデザインノートを書こうと思っていたのですが、まとまりが無く、あんまり面白くなかったのでやめました。
じゃあ何を書くの?
これをオリジナリティと呼ぶのかわかりませんが、自身の中でBidders!とSCOUT!には共通するヒラメキがあり、それに絞って書いてみます。
Bidders!でのヒラメキ
なんというか、ボードゲームを遊んだりしていると、沢山の仕組みに出会い気づかされるもので、その仕組みに対して「面白い!」とか「好き!」とか思ってしまうのです。
で、いくつかの好きな仕組みを組み合わせて、面白いゲームにならないかな。とこね回します。
沢山こね回したのがこのゲームです。
複数の競りを同時に行うゲームを思いついたものの、なんだかぼんやりしたゲームでした。(4年も前なのであんまり思い出せませんが)複数の競りを同時に行う意味合いも薄かったと思います。
そんな中思いついたのが
「競り下げ額の移動先が、同時に行われている競り上げの収入になる」
という、二つの競りを繋げるアイデアでした。
これにより、ゲームは大きく引き締まり、一気に完成に向かいました。
振り返ると、最後のピースがはまる瞬間、だったのです。
SCOUT!でのヒラメキ
このゲームについては「オーレ!」を先に語ります。
「ランク"または"スートが強ければプレイできる」2軸の強弱判定ルールと
「スートの強さが中間のカードは最大ランクが高い」カード構成で、最強のカードと言う存在をゲームから除外することに成功しています。これにより、プレイが継続します。
このプレイの継続性が私を掴んで離しません。
このアイデアをベースに、ゴーアウト系のゲームを考えたい!
しかし思いつかないまま時間が経ち、2018年「支離滅裂(Krass Kariert)」に出会います。
「手札並び替え不可」「隣接するカードで連番か同数を組ませる」ルールにより、「カードを差しこむ」「カードをプレイする」の両方で、強い組合せを作りながらゲームを進行できる!
たったこれだけのルールで!数字だけのカードで!こんなにも強烈なハンドマネジメントが作れるなんて!
衝撃的でした。これ以上のゲームは創れないだろう。
しかし頭から離れません。
一度アウトプットしなければ、他のゲームを創ることすらできない。
そう思い、気持ちの整理のためにゲームを創り始めました。
それがSCOUT!です。
支離滅裂の強烈なハンドマネジメントに、プレイの継続性を持たせてゴーアウトゲームにできないか。そう考えたときに、あまりにあっさりとスカウトのアクションが思いつきました。
「場に出されたカードを引き抜いて、手札に加える。」
支離滅裂の組合せの強さは「枚数」「同数>連番」「数字」の順に判定します。枚数が減ることで場が弱体化して、プレイの継続性になるのです。
しかも引き抜いたカードを手札に加えることで強化できます。
プレイの継続性と強烈なハンドマネジメントを繋ぐアイデアの完成です。
繋ぐゲームデザイン
前述の2つは、ゲームの持つ仕組みを繋ぎ、進行をスムーズにすると共に、その仕組み自身に新規性があると判断してリリースしました。
ボードゲームの膨大な歴史の中で、ゲームの核となる新しいアイデアを思いつくのは容易ではありませんが、それらを「繋ぐ」仕組みもまたアイデアであり、新規性であると私は考えています。
人の思考は自由ですが、向き不向きがあります。
「ワンアイデアでゲームになるモノを思いつかない」のであれば、面白いゲームに近づく方法を考え、どうアプローチしていくのか。
そのひとつとして、繋ぐゲームデザインを今回書いてみました。
お付き合いいただきありがとうございました。