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地図とコンパス、風と星々で飛行した昔のパイロットたち〜航法あれこれ
今の時代はGPSなどで地球上のどこに自分がいるかがひと目で分かるような便利な時代になりましたが、第二次世界大戦中の時代は、自分の位置を測定するのに苦労をしました。
飛行中の搭乗員たちは、地図があっても「自分が今どこを飛んでいるか」を把握するにはかなりの技術を要していたのです。
■目印まで降下して確認〜地文航法
パイロットが海岸線や鉄道路線などの地上の目標物を見ながら飛行する方法で、もっとも初歩的な航法です。陸軍機などは、低高度まで下りて駅名まで見たといいますから目が良いですよね。この航法を行うには、専用の航空用地図が必要です。
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中島キ-8試作複座戦闘機
こちらのサイトでは、無料で世界の航空地図を見ることができます(地文航法用ではありません)→https://skyvector.com/
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■すべての航法の基本〜推測航法
地上の上を飛んでいる時は上記のように目印になるものがあるから良いのですが、海の上では大変です。どこを見渡しても海ばかり。昔の日本は通線無線は殆ど役に立ちませんでしたし、敵に傍受されると自分の位置を教えてしまうことにも。
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こういう場合は推測航法を使います。
すでに分かっている地点からの方位と距離を計算し,これに風向,風速を考慮して,正しいコースへの機首をどれだけ変えればよいか、どれだけ飛べば目的地に到達するかを推測して飛ぶ方法なのです。
原理ですが、航空機と気流(風)との相対運動の方向(機首方向,風向)と大きさ(機速,風速)を知ることによって位置を求めるのですが、地図とにらめっこしながら、これをしないといけないのでとても大変な作業になります。
推測航法は常に風に流される分の誤差の計算・補正をする必要があるのです。
専用の搭乗員がいれば良いのですが、零戦のパイロットとかですと、全部一人でこなさないといけないのでこれは重労働・・・・。操縦が得意なだけでは務まらない仕事なんですね。もし、計算を間違えたら燃料が尽きて海の藻屑。正に命がけの計算・・・。
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よく九七式艦攻などの三人乗りなどの軍用機の尾翼に細い線が描かれているのは、この推測航法のためのものです。これは「偏流測定線」といいます。
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偏流を測定するには、海上の浮遊物の動きを測定することで分かります。浮遊物が無い場合は目印になるものを落として、その真上を通過し、その後、どの線の延長線上に浮遊物が現れるかで流され具合を測るのです。
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航行操作を担当する人の席で交差するように描かれていますので模型工作の際には参考に。
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■ちょっとロマンチック〜天則航法
太陽、月、恒星、惑星などあらかじめ位置の知られている天体を六分儀なる測定器を使用して観測し、得られた高度と天体方位,観測時間を天測計算表にあてはめて現在位置を知る方法です。
以前は天測航法を専門に行うため航空士が乗務していましたが、最近はドップラー・レーダーやINSによる自蔵航法が発達してきたのでほとんどなくなっています。
星を見て自分の位置を知るなんて、夜間飛行の言葉にはちょっとロマンを感じますね。
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これ以外に、電波の方向を測定して自機の位置を把握する電波航法、レーダーを放射して周囲の地文を確認し自機の位置を測定するレーダー航法などがあります。