閑話 二条城、本当の北とズレていた!
偏西風が北に大きく蛇行
先週の鈍足台風に影響を受けた方も多いと思います。日本列島周辺で迷走することは、過去の気象情報としては記憶になく、30~40年前に屋久島周辺で迷走(北から南、停滞、再度北へ)した台風が一つありましたが。
多くの台風は鹿児島に近づくと北緯30度ラインを超えるので、偏西風に乗り北東方向へ。というのが、台風のお決まりパターン。しかし、今回は北に大きく蛇行した偏西風の影響をうけた模様。
北磁極の移動速度が5倍に加速
方位磁石が指す北が北磁極(北極点ではない)、いわゆる地球を取り巻いている磁力線が吸い込まれていく地点を北磁極といい、生物界と現代のツール(携帯電話など)はこれをもとに生命活動しているといえる。2000年以降の20年間では、北磁極の年間移動距離が平均55キロ(従来の5倍)に達しているので、急激な気候変動の要因の一つであるといわれている。
偏西風への潜在的影響
北磁極の移動が偏西風に直接影響を与えるという証拠は現時点では明確ではありませんが、影響する可能性を列挙すると。
・大気循環への影響: 磁場の変化が大気の電離層に影響を与え、それが大規模な大気循環パターンに影響する可能性
・極域の気候変動: 北磁極の移動に伴う磁場の変化が、極域の気候に影響を与え、それが中緯度地域の気候システムに波及する可能性
・海洋循環への影響: 磁場の変化が海洋循環に影響を与え、それが大気循環パターンに影響する可能性
このように、台風への影響はまだわからないが。
北磁極は
もともと、カナダ北方からシベリア北方を移動していたが、21世紀に入ってから急激にシベリアに近づいている。地球内部の「外核」を流れる液体の鉄に影響されているということだが、詳細がわかっていない。
「北磁極」は、方位磁石の北をずっと追いかけていくとたどりつく場所である。地球を取り巻く磁力線が真下を向いている場所とも言える(北磁極で方位磁石は逆立ちする)。
北磁極の位置は地下約3000キロより深い外核にある液体の鉄の影響を受けやすい。この流れが磁場を動かし、地上の北磁極が激しく移動する原因となっている。北磁極は1831年、ジェームズ・クラーク・ロスによってカナダで初めて実際に確認された。以来、北磁極は主に北極点の方向に移動した。その距離は、過去数十年間は数百キロだった、同じ時期に南磁極はほとんど移動していない。
方位磁石が指す北は、本当の北ではない!!
地球上で磁力線が鉛直になる場所を磁極といい、北側にあるものを「北磁極」という。「北磁極」は、方位磁石の北をずっと追いかけていくとたどりつく場所である。方位磁石が指すNは、本当の「真北」(北極点)より7.6°西にズレている(国土地理院 日本各地の偏角値より 東京)。
北磁極はじっとしていたためしがない
江戸時代の1600年から現代までで合計16°ずれている。伊能忠敬先生が日本を測量した1800年がちょうどプラスマイナス0。それより前は東に最大8°ズレ、現代は西に最大8°ズレていた。例えば、京都の二条城は以下のように、築城時、北と思っていたラインで綺麗に築城されていたが、本当の北とズレていた。
国土地理院 日本各地の偏角値
https://www.gsi.go.jp/common/000237398.pdf
これを見ると、南の沖縄は5.5°だから 北に行くほどズレが大きいということになる。
問題は、このズレ(偏角という)が年々少しづつ変わっていたが、北磁極の動きがあまりに急激なので、慣例の5年ごとという予定を繰り上げて、米国は世界磁気モデル(WMM)を2019年初めに更新した(定期更新の予定は2020年だったが)。
この世界磁気モデルは、携帯電話をはじめ、船舶、航空機などのナビゲーションに利用されている(航海コンパスは磁気偏角調整付きである) 。もちろん、グーグルマップのナビも。ちなみに、位置に基づいた磁気偏角のための内蔵アジャスター付きのコンパスは15000円ほどでアマゾンで売っている。
現在、世界磁気モデルはグーグルやアップルをはじめ、多くの地図システムが採用。地理的な東西南北が正しくなるように、磁気モデルで調整している。とはいえ、更新が遅れて影響があるのは、緯度が55度以上の地域に限られる(最北の宗谷岬で北緯45度)。つまり、北極圏でトレッキングでもしていない限り、通常の用途では、日本には大きな影響はない。
ただ、今後も日本列島で台風が停滞したり、蛇行すると大きな影響がでるだろう。
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