UX概説 3. ピーク・エンドの法則 ドラフト版
UX(=User Experience)とは、「ユーザーがプロダクトを利用した際に得られる体験・感情全て」のことです。
例えばメッセージアプリで友人に連絡する⇒スタンプを購入する⇒恋人からの返信がなかなか来なくてイライラする… これら全てがUXに含まれます。
3. ピーク・エンドの法則
ピーク・エンドの法則は、人間の心理や記憶に関する重要な概念です。
接待時に、相手がびっくりするような場所に連れて行って、帰り際にお土産を持たせるスタイルを実践していた営業(セールス)がこの法則を知っていたか解かりませんが、たしかに好印象になるでしょう。もし、会社や地域でイベントを実施するなら、ピーク・エンドの法則を盛り込むと喜ばれるでしょう。
ピーク・エンドの法則とは
ある経験や出来事に対する全体的な印象が、その経験の中で最も感情が高まった瞬間(ピーク)と最後の瞬間(エンド)によって大きく左右されるという心理学的法則です。この法則は、2002年にノーベル経済学賞を受賞した心理学者・行動経済学者のダニエル・カーネマン氏によって1999年に提唱されました。
主な特徴
・記憶の選択性: 人は経験全体を均等に評価するのではなく、ピークとエンドの印象を重視します。
・持続時間の無視: 経験の長さよりも、ピークとエンドの印象が重要視されます。
・ポジティブ・ネガティブ両面: この法則は、良い経験にも悪い経験にも適用されます。
カーネマン氏らは、以下のような実験でこの法則を実証しました:
・冷水実験: 被験者に冷水に手をつけてもらい、異なる条件下での体験を比較。
・大腸内視鏡検査: 患者の痛みの評価と実際の検査時間を比較。
これらの実験により、人々が経験の全体的な評価をする際に、ピークとエンドの印象に大きく影響されることが示されました。
ビジネスへの応用
・顧客満足度向上: サービスのピークとエンドを意識的に設計することで、全体的な満足度を高めることができます。
・マーケティング: 商品やサービスの印象的な部分と最後の印象を重視することで、顧客の記憶に残りやすくなります。
・プレゼンテーション: 最も重要なポイントをピークに持ってきて、強いエンディングで締めくくることで、より効果的なプレゼンテーションが可能になります。
・クレーム対応: 問題解決のプロセスよりも、最終的な解決策と対応の締めくくりを重視することで、顧客の印象を改善できます。
注意点
ピーク・エンドの法則は強力なツールですが、過度に単純化されたモデルであることも認識する必要があります。実際の経験評価はより複雑で、他の要因も影響を与える可能性があります。ピーク・エンドの法則を理解し適切に応用することで、ビジネスやコミュニケーションの場面で人々の印象や記憶に効果的に働きかけることができます。
具体例1
ディズニーランドは、以下の体験で、来場者が非常に良い思い出を持ち帰ることができます。
ピーク体験:
アトラクションやショーなど、思い出に残る感動的な体験を提供
エンド体験:
パレードやナイトショーなど、最後に印象的なフィナーレを用意
具体例2
アップル製品は、以下の開封時の体験を重視しています。これにより、製品に対する全体的な満足度が高まります。
ピーク体験: 高品質な梱包と洗練されたデザインで驚きを提供
エンド体験: 簡単な初期設定と使いやすさで良い印象を残す
失敗CM事例
CMでピーク・エンドの法則を活用する際の失敗事例としては、以下のようなものが考えられます:
1,ピークを作り過ぎる
CMの中で複数の印象的な場面(ピーク)を作ろうとし過ぎると、かえって視聴者の記憶に残りにくくなる可能性があります。ピーク・エンドの法則によれば、最も印象的な瞬間と終わりの印象が重要なので、ピークを1-2箇所に絞るのが効果的です。
2,エンディングの軽視
CMの最後を適当に終わらせてしまうと、せっかくのピークの効果が薄れてしまいます。エンディングは特に重要なので、ブランドメッセージやロゴを印象的に表示するなど、しっかりと設計する必要があります。
3,ネガティブなピークの作成
インパクトを狙い過ぎて、視聴者に不快感を与えるようなシーンを入れてしまうと、ブランドイメージを損なう可能性があります。ピークは肯定的な感情を喚起するものにすべきです。
4,ブランドとの不一致
ピークやエンディングが印象的であっても、ブランドの世界観や価値観と合致していないと、CMの効果が半減してしまいます。ブランドの一貫性を保ちつつ、印象的な場面を作る必要があります。
5,長過ぎるCM
CMが長過ぎると、視聴者の集中力が途切れ、ピークやエンディングの効果が薄れる可能性があります。適切な長さを保ちつつ、ピークとエンドを効果的に配置することが重要です。
6,ターゲット層の誤認
ピーク・エンドの法則を活用する際、ターゲット層の好みや価値観を誤認すると、意図した効果が得られない可能性があります。ターゲット層に合わせた適切なピークとエンディングを設計することが重要です。
最後に失敗例を載せたのは、この法則を安易に使用すると失敗するケースが多いためです。
これらの失敗を避けるためには、ターゲット層をしっかりと分析し、ブランドの一貫性を保ちつつ、適切なピークとエンディングを設計することが重要です。もちろん、テストマーケティングなどを通じて、CMの効果を事前に検証することも有効でしょう。
※ドラフト版のため、内容修正および削除の可能性があることをご承知おきください。
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