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原優二のコロナ奮闘記vol.3  14APR.

2020.04.14 14:00

4月10日、「新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大」がようやく実施された。発表は3月28日だったから2週間近くかかったことになる。私は、厚生労働省自らウェブサイトで予定とはいうものの文章にまでして発表したのだから、必ず実施されると判断し、4月6日から会社全体を休業させる臨時休業に入った。

もちろん、緊急事態宣言が出されることも分かっていたので、政府の要請に応え社員を感染リスクから守ることが狙いではあったが、少しでも多く雇用調整助成金をもらうためでもあった。

というのは、今回の特例措置の拡大には、年間100日までの休業に助成するという制限を拡大し、4~6月は別枠にするという拡大策が盛り込まれていたからだ。週休2日制で祝祭日、年末年始を休日にしている会社なら月の所定労働日数は20日前後である。よって4~6月が別枠になれば概算で100日+60日、合計160日になる。

8カ月間、臨時休業して全員が休める日数だ。リーマンショックでは3年300日まで延びた。今回はリーマンショックを超える政策を打つという安倍首相の言葉を信じるなら、3年300日は最低保証のはずだ。まだまだ拡大されると思っていい。それを前提に戦略を立てれば、余剰金などそれほどない会社でもかなりの長期戦が可能になる。

4月13日、雇用調整助成金の初回の助成金請求にハローワークに出向いた。3月2~15日の休業の請求だ。本来休業を始める前日までに出す休業計画書などの書類は比較的簡単だが、給料の締め日が過ぎて実施した休業を請求するための書類はなかなかややこしい。

一番難しいのは就業規則や賃金規定との整合性をとることだ。私も社会保険労務士の協力なくしては到底できなかったと思う。雇用調整助成金ガイドブックを丁寧に読み込めば可能だとはいうが、普段、事務系の仕事をしていない人には億劫で面倒だ。ハローワークも残業は当たり前、必死になって相談・申請を受けてくれている。

しかし、今回の特例措置拡大の最大の欠点は、助成率が上がっても助成金の上限8330円が増額されなかったことだ。助成率をいくら上げても会社全体の平均年収が300万円ほどでほとんどの企業がこの上限に達してしまう。とはいえ、それでも、短時間休業も全社一斉ではなく部門ごとにできるようになったし、教育訓練をした場合の加算も増額された。被保険者でなくても受けられるからアルバイトも対象になる。手続きも随分簡素化された。

vol.2でも書いたが、雇用調整助成金を単なる補填と考えないで会社存続の大きな武器と考えていただきたい。そのためには中小の経営者は人任せにしないことだ。自分でハローワークに出向こう。

(参考・厚生労働省HP)
雇用調整助成金の特例措置の拡大
特例措置の詳しい内容

原 優二
風の旅行社代表取締役社長。1956年生まれ。東京都職員、アクロス・トラベラーズ・ビューローなどを経て、91年に風の旅行社を設立し現職。2012年からJATA理事、16年から旅行産業経営塾塾長を務める。

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