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原優二のコロナ奮闘記vol.14 GoToトラベルキャンペーンが始まった

2020.07.27 17:10

ようやくGoToトラベルキャンペーンが始まった。実施までの事情を聞いてみた。地方行政の長やマスコミの中止を求める大合唱で中止寸前までいったが、国土交通省は感染防止対策を行った登録業者のみが参加することを条件に実施を主張。それでもなかなか了解が取れず、最後は東京を外すことでなんとか実施に漕ぎつけたという。現場の多少の混乱は時間が解決してくれるだろう。この4連休は、久々に全国各地の観光地は多くのお客さまを迎え明るい顔が見られた。

一方で感染者は東京のみならず全国各地で増えている。政府は緊急事態宣言を出す状況にはないといっているが、その理由は4月とは違い医療体制が逼迫していないという一点である。

ということは医療体制が逼迫したら再び緊急事態宣言を出すということになる。すでにじわじわと医療体制は厳しくなっている。非常に心配である。恐らく全国一律に緊急事態宣言が出されることはないだろうが、GoToトラベルキャンペーンはどうなるのか。販売しその果実を収穫する前にストップしたら最悪である。そうならないことを願うばかりだ。

さて、海外旅行に関してはどうなっているのだろうか。7月21日配信の朝日新聞デジタル「空港検疫の検査、9月中に4倍へ PCRセンターも設置」という記事によれば、厚生労働省は検査能力を9月中に1日1万件まで増強する。空港は無症状の感染者がほとんどなので、厚労省が17日に無症状の人の使用を認めた。採取が容易な唾液を検体とし、検査時間が短い抗原定量検査を活用することで、検査能力の拡大が可能になったという。現在の空港検疫での検査能力は1日2300件。8月1日までに検査能力を4300件にし、9月には成田、羽田、関西の3空港に「PCRセンター」を設置し1万件まで持っていく予定だそうだ。

19年の日本人の海外渡航者数は2000万人強。一日平均約5万7800人になる。訪日外国人はその1.5倍以上。それにもかかわらずたったの1万件。到底、足らない。短時間で検査結果が出る簡易キットを使った抗原検査が、無症状の感染者の検査方法として承認されない限り、飛躍的に検疫での件数が増えることはなさそうだ。

現状は残念かな、簡易キットを使った抗原検査は唾液を使って10分程度で結果が出るが、無症状者の検査には一切認められていない。症状がある場合で、鼻咽頭ぬぐい液を使う検査はこのキットを使った検査も認められているが、陽性になった場合は再度PCR検査が必要とされており利点がほとんどない。

しかし、技術的にはすでに可能になっている。例えば、6月9日に報じられたキヤノンメディカルシステムズが北海道大学病院の豊嶋崇徳教授らの協力を得て、LAMP法での「新型コロナウイルスRNA検出試薬 Genelyzer KIT」を用い唾液を使った検査は、従来の鼻咽頭ぬぐい液と遜色ない結果を得ることができる上に、検査に要する時間は10分程度と、まさに理想的な検査だが、現在は認められていない。

他にも、インフルエンザ検査キットの国内最大手のデンカは、新型コロナウイルス感染症簡易検査キットの体外診断薬としての国内薬事承認を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に7 月20 日に申請している。

まだまだ時間はかかりそうだが、必ずや、簡易キットを使った抗原検査が認められる日が来ると信じたい。それこそが、海外旅行の扉を開ける有力な武器になるからだ。

さて、ここで1つ紹介させていただきたい。私が塾長を務める旅行産業経営塾のOB会が8月1日に「海外旅行の扉を開く、その鍵は?」をテーマに無料のウエブセミナーを企画しました。OB会会長のブルーム・アンド・グロウ・橋本亮一代表取締役と私が対談します。ぜひ、ご参加いただき、大変厳しい状況の中、何ができるのか。一緒に考えていただければ幸いです。詳細はこちらから。(*こちらは既に終了しております)

原 優二
風の旅行社代表取締役社長。1956年生まれ。東京都職員、アクロス・トラベラーズ・ビューローなどを経て、91年に風の旅行社を設立し現職。2012年からJATA理事、16年から旅行産業経営塾塾長を務める。

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