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大日本名将鑑 上杉輝虎入道謙信

明治11年(1878年)の作品。武禘式の場面と思われる。

武禘式は上杉謙信が合戦の出陣前に行った儀式で、神仏に戦勝を祈り不義を討つ決意を固めるものだった。儀式では謙信が五壇護摩を行い、自我を払い精神を統一し、神仏の啓示を仰いだと言われている。

米沢上杉まつり(2024年)による再現では、武禘式に先立ち謙信と甲冑をまとった軍団は上杉家廟所を参拝し、市内を行進して会場へ向かう。儀式では軍神を招き迎える軍神勧請、神前の水を武将たちに授ける五沾水の儀、さらに大将に旗を授ける賜旗などが行われた。最後に謙信が出陣の号令をかけ、太鼓や螺貝の音が響く中、軍団が行進して武禘式は終わる(出典)。

篝火が焚かれる中で行われる武禘式は、戦が己の欲のためではなく正義のために行うものであるという謙信の精神を現代に伝える行事となっている。

火の色と左側の煙の変わり摺りがある

なお、現在も新潟県にはかちどき飯と言って、謙信の日常の食事は一汁一菜の質素なものだったが、出陣となると山のように飯を炊かせ、家臣や将兵に山海の幸をふんだんに振る舞った食事が伝えられる(出典)。

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