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弾正大弼 上杉謙信

明治26(1892)年、芳年の没年に出版された。

上杉輝虎入道謙信は、琵琶法師・石坂検校をたびたび酒席に招いていた。ある時、平家物語の鵺の段(妖怪鵺を源頼政が射落とす場面)で涙を流した。謙信は理由を聞かれ、日本の武徳の衰退を嘆き、時代とともに武士の力が弱くなっており、源義家の時代から源頼政の時代、そして自らの戦国の武将の時代へと武威が衰えてしまったことを嘆いたという(出典:常山紀談)。謙信の武士の理想への謙虚さや思慮深さとも読めるし、酒も入った涙の理由を照れ隠ししたようにも聞こえるが、どうだったのだろう。

芳年の描いた謙信は人間味あるものが多い。なお謙信は弾正大弼に上がったことはなく、次次代の上杉定勝から。芳年の没後に出された大判3枚続。


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