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東錦浮世稿談 神田伯龍 朝倉当五郎

幕末の江戸、圧政の領主に朝倉当五郎が立ち上がり民衆のために戦うが、妻子と別れて上野の桜のように散る、義侠の物語のようだ。

さくらに嵐の領主の苛政 乱邦にもまた
侠義の民あり 諸人に換ゆる玉の緒を たち
出る妻子の愛別離苦 めぐみをあほぐ
台山府君 立よらば大樹のかげと 貴犯の
罪もなんその 岩にたつ屋の霜ばしら
念力となす通天の 紅葉に比せし上野の
桜 入相待たで散るこそ惜しけれ

填詞 仮名垣魯文記

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桜を散らす嵐のような領主の苛酷な政治
乱れた世にも義侠心を持つ民がいるもの
人々の命運を変える縁を
立ち去っていく妻子との別れの苦しみ
恩恵を仰ぐ台山府君(神田伯龍)
寄りかかれば大樹の陰のように(頼れる存在)
身分高き者の罪も恐れることはない
岩屋に立つ霜柱のように
信念は天まで届く
紅葉にも比べられる上野の桜は
日暮れを待たずに散ってしまうことよ、なんと惜しいことか

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