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ありのままの感情を音楽に −自分と向き合うことで生まれる、 伝わる音楽−

 まっすぐ優しく届く歌声と心の奥底に触れるような歌詞に、聴くひとは何度も自分自身に立ち返るのではないのだろうか。その歌には年齢や性別、様々な垣根を超える力がある。

 秋田県出身の岡村翼さんは高校進学とともに新潟へ。大学在学中の20歳のとき本格的に音楽活動を開始し、現在はテレビ新潟 TeNY「夕方ワイド新潟一番」でテーマソン グを担当。そして2014年岩室で行われた音楽イベントをきっかけに、昨年から観光施設「いわむろや」で働きながら地域に根ざした音楽活動を行っている。

−岩室で働いてみて、どうですか?
「すごく面白いです。いわむろや館 長の小倉さんをはじめ、そこにいる人 たちがすごく元気で、『絶対楽しいこ としてみせるぞ』っていう熱量を持った方がたくさんいらっしゃる。岩室って新潟全体でいえば田舎なんだけど、そういう場所でキラキラを持っているのが素敵だなと思っています。
 そして岩室の良さに触れるのと同時に、新潟という場所がなぜ好きなのかというところまで見えてきました」

−新潟に対する思いとは?
「地方といいながら新潟の人は地元に誇りを持っているし、自分たちの街のいろんな魅力をその街の人たちがちゃんと持っていると思います。岩室の人たちにも地元の良いところを聞いたときにすごく具体的なことがたくさん出てきたんです。
 その街のストーリーを自分事として語れる人がいるってすごく面白いと思う。地元の秋田にいた時には、そんな風に感じたことはなかったですね」

−そもそも音楽活動をはじめたきっかけは?
 「高校一年生のとき卒業生に向けた学年の出し物として始めて曲を作りました。学年みんなに卒業生へ向けた手紙を書いてもらって、それを集めて実行委員で詩を書き、そして僕が作曲を。それから曲を書くのが楽しいなって思うようになってきました」

−どんなところで楽しさを感じたのでしょうか?
 「自分の作った曲をみんなが歌って、それを聴いた先輩たちが泣いている。僕が書いた曲のイメージがみんなのものになっていくという感覚がすごく気持ちよかったし、楽しいなって思いました。
 まず第一に自分の為に曲を書いています。自分が歌いたい、届けたいメッセージがあって、それを喜びや悲しみ、怒り、いろんなモチベーションの中で書いている。結局それが聞いた人の中で、その人自身を映す曲になっていくのが理想だなって思っています。
 ライブの中でお客さんが泣いている姿をみたり、私のことを歌っているかのような曲でしたって言われると、すごくやりがいを感じる。そういうことのために、音楽をやっていたいなって思います」

−まずは翼さん自身の感情を大切にしているんですね
 「音楽の中では絶対に嘘をつきたくないんです。
 小さい時、自分勝手なんだけど孤独を感じていたんだと思います。新潟にきて自分が受けれられる瞬間を感じて素直に自分の感情を気付き始めた。それまで、感情に嘘をつき続けてきた自分自身が僕のことを孤独にしていたんだと、新潟にきて改めて考えさせられました。
 僕の曲を聴いている人に対して、その人自身そのままでいて欲しいという思いがあります。その人の中で本当は芽生えるはずであった感情とか涙をぜったいに見逃して欲しくないし、そういうところにすっと手が届くような曲を書き続けたいです」

写真・文:村山亜沙美

※当記事は、2018年に作成したいわむロックFESTIVALと岩室温泉紹介冊子【on-magazine】より抜粋しています。アーティストの考えや目指す方向性は変わっている可能性があります。ご了承ください。

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