再愛なる聖槍
由野寿和 2022年
・あらすじ
・感想
今回の作品は、著者の由野寿和(ゆうやとしお)さんからご恵贈いただきました。ありがとうございます。貴重な経験で光栄です。
かれこれ3年間も本紹介のアカウントをやってきて、こういった経験は初めてでしたので、「ここまで続けてきて本当に良かった」と思いました。いつも見てくださる皆さんのおかげです。ありがとうございます!
この作品は親子で楽しく遊園地に行ったはずが、凄惨な観覧車ジャックに遭うというお話です。わずか1日で10人以上の人が命を落としました。その中で彼らの運命はどうなるのか?また、なぜ観覧車ジャックが起こったのかここにも焦点が当てられ、お父さんである「仲山」のかつての職場「警察」でのいざこざが原因であるということが描かれています。
12月24日はクリスマスイブです。子どもたちは家族と一緒のかけがえのない時間を過ごし、大人たちは最愛のあなたと、はたまたクリぼっちなど、良いのか悪いのかが分からないような日です。ですが、1年のなかで最もときめいている瞬間なのではないでしょうか。そんな時に起きた凄惨な事件。とても想像しただけでも、痛々しい話ですよね。
犯人の動機は、殺害された家族への復讐とのこと。警察も世間も残された遺族には「残念だね」の一言で片づけられてしまうような扱いを受け、次第に世の中への恨みをもつようになります。その結果、このようなことになったようです。
人や物への愛は本当に怖いものだと感じました。なぜなら、殺された家族を愛するところからこれは来ているからです。その人のことを想い、そのための行動であることは分かりますが、それを間違った方向へ拗らせてしまったように見えます。
この作品を読み終えたとき、最近の凶悪事件もこういったものが引き金になったものをいくつか思い出しました。「何かを好きになる、何かを愛する」その感情は、間違いなく素晴らしいものですが、それにそそぐ方向を間違ってはいけないということを感じることができました。
実はもう一作品、恵贈いただいております。
『アイアム・ハウス』という小説です。9/30に発売予定とのことで、この記事を書いている現在、まだ発売されていないようです。こちらについても、来月紹介したいと思います。