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酔いどれ卵とワイン

平松洋子 2024年

・概要

卵を一個、二個、三個……ほろ酔いが生む愉しみ。千倉の海で仕入れた旬のサザエで作る、憧れのカレー。冬のスタートはいつも、柿の白和え。今はなき味、懐かしい人、私たちの暮らしと味をジワジワ変える影も見つめながら「おいしい」を深く追う人気エッセイ。藤原辰史(京都大学准教授)との対話「戦争から『食』を考える」収録。

『酔いどれ卵とワイン』平松洋子 (2024) 文藝春秋 表紙あらすじ

・感想

一目見た時に「美味しそうなタイトルだな」と思ったので選んでみました。この作品はもともと、「週刊文春」で2021年9月から23年の5月まで発表された短編エッセイを、一冊の本に集約したものです。

食べ物に関する話題を題材にしたエッセイです。著者流のトーストの食べ方や、これまでに行った旅行先でのご飯のこと、料理の名称の由来など、食べ物に関する話題が多く、読んでいて食欲をそそられるような作品でした。

まず、サザエカレーの話から、この話は最初、想像がつかなかったです。「カレーにサザエ入れるの?」みたいな。ちょっと「ん?」となりましたが、この方のこだわりだということが分かってきて、ちょっとわかるような気がしました。具材としてマイナーな感じですが、これはこれで結構合いそうですよね。

次に「サクマドロップス」の話題。これは読んでいて、とても驚きました。サクマドロップスの製造元は、どうやら2023年の1月で廃業してしまったようです。以前、ニュースにもなっていたような気がしましたが、すっかり忘れていて、最初「えっ!」となりました。このドロップスといえば「火垂るの墓」のイメージが強いですよね。清太が節子にこれをあげている場面が思い浮かびました。最後はとても悲惨な終わり方ですよね。私も小さいころにDVDか何かで見たことがあります。

食べ物も、普段何気なく食していますが、そこには一つ一つに由来があって、またそれぞれの思い入れや食べ方などがあって非常に面白いと感じました。私はこういった由来を何も考えずに普段は食事をしているのですが、そこには先人たちの知恵や試行錯誤があるということを、この作品を通して知り、とても勉強になりましたし、楽しかったです。たまに「これって何でこんな形をしているんだろう」「何でこういう名前なんだろう」みたいなものもあるんですよね。この作品にもいくつかそういう食べ物があり、そういう由来を知ることができて面白かったほかに、もっとこういうことを気にしたり、調べたりして、目を向けていきたいと思いました。

・書籍情報

初版刊行:2024年3月10日
刊行元:文藝春秋
定価:本体680円+税
ページ数:272p
ISBN978-4-16-792192-7
備考
初出:「文藝春秋」2021年9月16日号~2023年5月4・11日号
本書は文庫オリジナルです。

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