見出し画像

バリ山行

松永K三蔵 2024年

・あらすじ

第171回芥川賞受賞作。古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。

会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000398207

・感想

9月の大学帰り、本屋に立ち寄ったときに、店頭に置かれていて気になったので買ってきました。ちょうど7月に芥川賞を受賞した作品で、こちらでも、以前名前だけは紹介したことがありましたが、実際には読んだことがなかったので。

題名は『バリ山行(さんこう)』と言います。読み方が分かりずらいかなと思ったので、一応書いておきます。

リフォーム会社に転職した若い主人公は、会社での付き合いを極力避けてきました。そんななか、会社の同僚に誘われて登山に行くことに、そこでの出来事を通して、仕事や人生に対しての見方が変わるお話です。

この作品の最大の特徴は、仕事や人生を山登りに例えながら、お話が展開されるところです。当たり前ですが、仕事も人生も平坦なものではありません。何かで失敗したり、困難に直面したり、それでも、努力して乗り越えたり、突然転機が訪れたりするものではないでしょうか。

この作品、半分は会社での仕事の様子が描かれていて、もう半分は休日の登山の様子が描かれています。これを読む限り、あまり整備されていなさそうな山なので、結構危険な場所である感じです。ロープをひっかけたり、一歩間違えれば滑落して死んでしまうかもしれないような場所を、ゆっくり、ゆっくり先に行ったり、工夫に工夫を凝らしているようでした。

こういったところに、仕事で大きなプロジェクトを任されたとか、何か大きなことをしようとしている私たちの姿にとても似ているように感じます。この作品が芥川賞に選ばれた理由は、人間との共通性にあるのではないかと感じるところです。

・書籍情報

初版刊行:2024年7月25日
刊行元:講談社
定価:1,760円(税込)
ページ数:168p
ISBN978-4-06-536960-9

備考
初出:「群像」2024年3月号

📚最後まで見てくださりありがとうございます。
「参考になったー☺️」と思ったら本屋で見返せるよう保存をお忘れなく🔖

いいね・コメント・フォローとても嬉しいです!
ぜひぜひ!

いいなと思ったら応援しよう!