外でコーヒー飲んじゃダメなの?
今年も猛暑の夏がやってきた。
まだ8月前だというのに、暑い、暑い、とにかく暑い。
本日は、諸事情にて表参道まで足を運ぶことになった。随分と久しぶりの訪問だったと思う。表参道は適度に洒落た街で、学生時代に頻繁に出入りしていた思い出がある。品のいい女性をナンパするには最高の場所だったのだ。
私は用事を済ませると、「パンとエスプレッソと」というカフェに入った。メインストリートに面した路地を道なりに進んでいくと、このカフェが見つかる。外観だけでなく、店内の雰囲気やフードサービスも素晴らしいお店である。
私は空腹だったので、クロックムッシュとヨーグルトドリンクをオーダーした。トーストの先端に食らいついた際の多幸感は何ものにも代え難い。さらに、店内を流れるジャズが疲れを癒やしてくれる。だが、こんな風にカフェでくつろいでいると時々思い出すことがある。
「500円も払って、外でコーヒーなんて飲んじゃいられないよ」
これはカフェに出掛けるたびに、父親が私に言い放っていたフレーズである。もはや脳裏にまで焼き付いている。コーヒーなんてインスタントで十分だし、自分で買ってきてお湯を注いだ方が、コストパフォーマンスに優れていると説明したかったのだと思う。確かに、間違ってはいない。がしかし・・・
「インスタントなんかよりも、豆を轢いた方が美味しいんだよ?」と、私は父にその都度反論していた記憶がある。無論、私の意見が不適切であったことは言うまでもない。視点がズレているからだ。つまるところ、父親の正論を打ち崩すには結構な労力を要したのである。付加価値の観点から説明しておくべきであったと今でも後悔している。
ところで、私たちは一体どのぐらいの金額をカフェに費やしているのだろうか? 例えば、お店を利用するごとに約1,000円程度(週3回)使用したとすれば、大体このような具合になる。ちなみに、週3回の利用はカフェ好きな人にとっては少ない方であると私は考えている。
このように、たった週3回のカフェ利用にもかかわらず、月に12,000円がコーヒー代に消えてしまう。父親が口うるさく咎めるのにも理由が存在するのだ。仮に一年間で14万円もの自由が新たに生まれるのであれば、何か他に有意義なお金の使い方ができそうだ。
実を言うと、私を投資の世界へと向かわせたのが、父親の反カフェ精神である。投資を始めたのは私がまだ20代半ばの頃。私はとにかく無駄な支出を抑制し、ヴァンガード社のETFをコツコツと買い続けた。勿論、人生を楽しめないほどに家計を切り詰めるようなバカな真似はしていない。異性とのデートにはお金を惜しみなく費やしていたし、欲しい物は適度に購入してきたつもり。努力したのは、あくまでも合理性の追求であるのは言うまでもない。
どんなことでも学びがあるのは嬉しいことだと考えている。時間を持て余し、退屈しのぎにカフェやらコンビニやらへと出入りしていた私にとっては、人生を変えるほどの価値観に巡り合うことができたと感謝している。無論、私は大好きなカフェ利用をヤメてはいない。
その後、間も無くしてまた別のカフェに入った。暑いので今度はさっぱりとした冷たいドリンクが飲みたくなったのである。入ったお店は「Mr. FAMER 表参道店」というところ。アイスティーをオーダーした。