ノーコードスタートアップ大全(157社)を公開します -前編-
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プログラミングができなくてもWebサイトやアプリが作れる「ノーコード(ローコード)」が日本でも注目を集めています。最近では日本経済新聞やNewsPicksでも紹介されたり、「Notion」をはじめとしたプロダクトが話題に上がるケースも増えている気がします。
©︎Google(日本における「nocode」の検索推移 過去5年間)
海外ではカオスマップも作成されており、情報が整理されていますが、日本ではまだまだ情報が少ない状態です。そこで、今回は海外メディア「NoCode Journal」が作成したカオスマップを参考に、海外ノーコードスタートアップについて調査してみました。ノーコードスタートアップの定義は以下としました(少し粗いですが)。
1. プログラミング作業を代替できる革新的なサービスであること
2. スタートアップであること(≒Crunchbaseに掲載がある、上場企業含)
なぜこんな調査をしたのかというと、起業のハードルをもっともっと下げていきたいからです。ノーコードを使えば、エンジニアの手を借りずに、プロダクトやWebサイトを作ることもできます。エンジニアの採用に困っているというスタートアップの話はよく聞きますので、実は ”武器” はその辺に転がっているということを知っていただきたいと思います。また、海外にはあるのに日本にはまだないプロダクトもあるかと思いますので、起業のヒントにもなるかと思います。
カテゴリ別にみるノーコードスタートアップ
調査した結果、ノーコードスタートアップは全157社、全15カテゴリありました(カテゴリ重複含む)。もちろん、全てを網羅できている訳ではないので、もし他にもあればTwitterにて教えていただけますと幸いです。
前編では全15カテゴリの内、TOP5のカテゴリおよび気になったプロダクトを紹介していきます。
1. Design(86社)
最も多かったのが、「Design」分野におけるプロダクト(86社)。もっとも、これは「Canva」のようなクリエイティブの制作に特化したものもあれば、「Webflow」のように機能の1つとしてデザイン業務を簡素化するものも含まれているため、自ずと多くなってしまいます。しかし、先日発表された「The Cloud 100」でも「Design」分野における選出数が増加していることから、いまもっとも注目を集めている分野かもしれません。
「Moqups」はルーマニアに拠点をおくスタートアップで、アプリケーションのワイヤーフレームやプロトタイプをドラック&ドロップで制作できるデザインツールです。アイデアをワイヤーフレームとして素早くアウトプットすることで、スピーディーな検証をチームで行うことができます。そのほかにもサイトマップやフローチャートを作ることも可能。「Adobe XD」や「Figma」などとも競合しそうですね。
©︎Moqups
デザインだけでなく、プロトタイプを作成することもできます。ここでUI/UX の見直しができるため、よりクオリティの高いプロダクトを制作することができます。デザイン業務は一人で完結する場合もあれば、チームで共同作業するケースもあるかと思います。また、ビジネスサイドやエンジニアからのフィードバックが必要なケースもあります。そのような場合でも、ツール上でリアルタイムにやり取りしたり、共同編集することも可能です。既存のアプリケーションを「Moqups」へアップロードし、リ・デザインできるのも便利な機能です。
アプリケーション以外にも、Webサイトのデザインが可能です。EC site や SaaS Landing Page など、テンプレートを豊富に用意しているため、非デザイナーでも、素早くWebサイトやアプリケーションを構築することができます。MicrosoftやAmazon、Intelをはじめ、多くのグローバルカンパニーで利用されています。日本企業ではソニーも利用しているようです。
同社は、2016年にAdi Geana氏らによって創業され、2019年9月にシードラウンドとして、Alchemist Acceleratorから資金調達(金額非公表)しています。創業から4年という若いスタートアップにも関わらず、これだけのナショナルクライアントを抱えていること、プロダクトのクオリティが高いことは驚きです。
2. Apps(59社)
続いて多かったのが「Apps」で59社。ノーコード でWebアプリやモバイルアプリが構築できるプロダクトがほとんどで、もはやレッドオーシャンとなりつつあります。日本の「Yappli」もこの分野に該当しますね。
「Bubble」は、コードが書けなくても簡単にアプリケーションを作れるプラットフォームです。HTMLやCSSのような言語が書けなくても、おしゃれでクールなデザインにすることができます。プロトタイプの作成はもちろんのこと、サービスのリリースまで「Bubble」で完結させることができます。もちろん、モバイルフレンドリーです。
©︎Bubble
上記のように、ドラック&ドロップで直感的に操作でき、画像や動画、地図なども挿入することができます。最大40名まで共同編集できたり、XDのようにピン留めしてコメントすることも可能。チームにおけるタスク管理も付いています。Stripeをはじめとした決済サービスと連携できるため、ECやクラウドファンディングのようなプラットフォームを作ることもできます。また、AirtableやBox、Calendlyなどのツールと連携できたり、ユーザーが構築したプラグインと連携することも可能です。
「デザインとかわからないよ〜」という人のために、テンプレート(一部有料)もマーケットプレイスにて展開しています。また、Academyと題して、ユーザーマニュアルやレッスンなどのコンテンツを拡充させるなど、エンジニアでなくても、簡単にアプリを構築できるようにしています。ノーコード では、ユーザーの「わからない」を解決するために、このような How to コンテンツを用意したり、コミュニティ作りがマーケティング戦略として重要かと思われます。
Bubble は、機能に応じて4つのプランが用意されています。無料プランでもアプリケーションの作成が可能となりますが、メールでのサポートや共同編集したい場合はアップグレードが必要です。ハイエンドプランでも月額5万円程度(年払いの場合)で利用できるのはすごいですね。約380億円資金調達したスタートアップや半年間でMRRが300万円に到達したスタートアップなどが利用しているようです。
Bubble Group は、プラダ社にてCEOのスペシャルアシスタントを務めていたEmmanuel Straschnov氏とKeywordSmart社の共同創業者兼CTOだったJosh Haas氏が共同創業した会社で、ニューヨークに本社を構えています。2019年6月にシードラウンドで資金調達を実施。SignalFireというVCをはじめ、複数の投資家から約6.6億円を調達しました。
3. Websites(57社)
ランディングページやWebサイトをノーコード で制作できるプロダクトも多いです。日本だと「STUDIO」や「ペライチ」などが該当しますね。海外ツールでも「Wix」や「Strikingly」は日本語に対応しているため、利用したことがある方も多いのではないでしょうか。
そのような中、特徴的なサービスを展開しているのが「Universe」。Webサイトを ”スマートフォン” からノーコードで構築できるのがユニークな点です。豊富なテンプレートを用意しているため、数分でWebサイトを作成し、自社ドメインで公開することができます。
©︎Universe
また、ECサイトとして商品を販売することも可能です。ドラック&ドロップで商品を追加できるほか、注文や在庫管理、顧客管理も簡単に実施することができます。決済機能も簡単に実装でき、現在はApple payとクレジットカードに対応。メール作成や通知、メーリングリスト管理やトラフィック分析など、マーケティングも簡単に実施することができます。ECサイト構築におけるオールインワンアプリといったところですね。起業家をはじめ、ミュージシャンやデザイナーなどのクリエイター、ブロガーなどの利用も想定して作られているサービスです。
同社は、2014年にJoseph Cohen氏によって設立され、ニューヨークのブルックリンに拠点を構えています。今年4月にシリーズAで、GVをリードとする資金調達($10M)を行い、累計調達金額は $17.3M(約18.2億円) となりました。2018年には Y Combinator からも調達($120K)を行っており、将来性が期待されていると言えます。
4.Automation(47社)
ワークフローを自動化する「Automation」は47社ありました。日本のスタートアップである「Anyflow」や Amazon Alexa などと連携させてスマートホームを実現する「IFTTT」を使っている方は馴染みが深いかもしれません。
パリに拠点を置く「Phantombuster」は、リードGen に特化したワークフローを自動化します。
©︎Phantombuster
FacebookやTwitterをはじめとするWebサイトから、氏名や役職、emailなどのプロフィール情報を抽出し、メール送信まで自動化することができます。全てノーコード で構築できるため、エンジニアの手を借りる必要はなく、24時間365日稼働させることができます。
具体的なユースケースをいくつか紹介します。Instagramにおいて、特定のハッシュタグを使って投稿しているユーザーへ自動的に「いいね」することで、フォローバックを狙うことが可能です。これはInstagramアカウントを運用している企業では有用かもしれません(スパム認定されないか心配ですが・・・)。Twitterでは、競合他社アカウントのフォロワーを抽出し、自動フォローすることで、フォローバックを狙うなんてこともできます。
Linkedinでは、プロフィール情報を自動抽出し、パーソナライズされたメッセージを自動送信することが可能です。また、抽出した情報はスプレッドシートにエクスポートすることも可能なため、ターゲットリストとして活用することもできますね。Linkedinなので、もちろん採用活動に利用することも可能です。GitHubからLinkedinアカウントを特定し、エンジニアへスカウトメールを送ることもできます。返信率がどの程度なのかは気になりますが、このような作業を手動で実施していれば、今すぐ導入を検討したいプロダクトですね。日本では代表メール(contact@xxx)に自動送信するツールは存在しますが、個人宛にパーソナライズされたメールを自動送信できるツールは聞いたことがありません。
すでに、12,000を超える企業が利用しているそうで、スタートアップからPinterestのような有名企業まで利用しています。プランは1日のツール稼働時間とアカウント数によって複数用意されており、最もポピュラーなプランでは、月額65ドル(年払いの場合)で利用することができます。
同社は、2016年にGuillaume Boiret氏らによって創業され、これまで2回の資金調達を実施。昨年5月にはシードラウンドにて€610K(約7,320万円)を調達し、累計調達金額は$758.3K(約7,960万円)となりました。抽出対象はオープンデータですが、個人情報保護にうるさいEU圏でどこまで成長できるか注目ですね。
5. Marketing(30社)
マーケティング分野では、ランディングページやチャットボットをノーコードで構築できたり、マーケティング業務を自動化するツールがありますが、今回紹介したいのはソーシャルプルーフをWebサイトに簡単に構築できる「Fomo」。
ソーシャルプルーフとは何か。直訳すると「社会的証明」、つまり、専門家や認定機関、そして、顧客から認められている(優れている)ことを示すものとなります。同社は、これをリアルタイムに表現するサービスを提供しており、ユーザーの購買状況をWebサイトに表示することができます。リアルタイムにユーザーの購買状況がわかるのは面白いですね(以下は「Leadpages」に実装されている事例)。
©︎Leadpages,Fomo
Webサイトのデザインに合わせてカスタマイズしたり、通知ルールを設定できます。機械学習により、そのWebサイトに最適なコンバージョンルールを設定できるのもユニークな点です。
スタートアップから大企業まで、すでに14,000を超えるサイトが Fomo を利用しているそうです。プランは、月間の合計通知数によって4種類用意されており、最も安いStarterプランでは毎月19ドルで利用することができます(通知数:25,000まで)。14日のフリートライアルができるので、試しに利用してみても良いのではないでしょうか。ただ、ある程度、トラフィックがあるWebサイトでないと寂しい結果になってしまうため、どちらかというと低単価なセルフサーブサービスやBtoCサービスに向いているかと思います。
前編は以上になります。後編では、TOP6-10まで紹介していきたいと思いますので、乞うご期待ください。
また、ノーコードスタートアップ 157社 をまとめたデータベースを「Airtable」にて公開したいと思います(下記イメージ)。
掲載項目
・プロダクト名
・企業名
・カテゴリー
・プロダクト概要
・資金調達シリーズ
・累計調達金額
・設立年
・本社拠点
・Website URL
・Crunchbase URL
もし、見てみたいという方がいらっしゃれば、本記事を購入していただければと思います。
注意事項
・Grit view(スプレッドシートのようなもの)のみとなります。
・閲覧のみとなります。編集はできませんが、コピーやCSVダウンロードはできます。
・ソートやグルーピング、フィルタリングすることが可能です。
・「Funding type」「Total Funding」は2020年9月時点のものになります。今後、当該情報を更新するかは現時点で未定です
・返金対応はしておりませんのでご注意ください。
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ノーコードスタートアップ大全(157社)
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