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オトナはサイコー!

4月27日、28日の2日間、エコキャップみちのくで行われたアラバキロックフェスに今年も妻とともに参戦した。今年は、翌日も休日ということもあり、2日目の終わりまでガッツリと轟音を浴び続けた。
今年、出演していたアーティストは、去年よりも若手が多い印象だった。新進気鋭の若手バンドのエネルギッシュな演奏を見て、「自分も頑張らねば!」と、力をもらった。

そんな中、特に印象に残ったバンドがあった。


1984年から活動しているベテランというよりも「老舗」という言葉が似合いそうなロックバンドである。
震災の頃、電気が通ってから音楽を聴き漁っていたとき、「オトナノススメ」という曲で知ったバンドであった。そのバンドの名前は「怒髪天」

アラバキ2日目、季節外れの日差しが照りつける磐越ステージに上ったボーカルの増子さんは、還暦近いにも関わらず、少年のような笑顔で歌い始めた。
味のあるダミ声とどこか懐かしいメロディーに合わせて私達は踊った。働く大人の気持ちに寄り添うような歌が特に多く、年齢は離れていてもなんとも言えない親近感を覚えた。
怒髪天は苦労の多いバンドである。1991年にメジャーデビューを果たすものの、1996年に活動を休止。いろんな仕事を転々とし、どうにか食いつなぎながら1999年に活動再開。それから少しずつブレイクしていき、様々なフェスにも出演するようになり結成40周年を迎えた今年、ベースを解雇した。
そんな酸いも甘いも知っている怒髪天のサウンドは、激しさの中にも温かさがあり、包容力を湛えた大人の魅力あふれるバンドだった。激しく踊りながらも、スッと肩の力が抜けていくような不思議な気持ちになった。

ライブ終盤、ドラムのリズムに合わせてみんなで手を左右に振った。あの曲が始まる。       
「オトナノススメ」

57歳、男のむき出しの魂をそこに見た。

人生も後半戦。おっかなびっくり燃えていた蝋燭の炎が、だんだん安定して燃えていくように、飾り気のない喜びも怒りも堂々とした歌にすべて込められていた。

自分をよく見せようといった見栄や、エゴといったものではなく、本気になってお客さんを笑顔にしようとする怒髪天のパフォーマンスにやられてしまった。
そんな人たちが
「オトナはサイコー!」
と言っているのだ。少し、年を取るのが楽しみになってきた。


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