見出し画像

【読む旅路👣】日本の世界遺産(ほぼ)踏破してみた!〈中編〉

【読む旅路👣】日本の世界遺産(ほぼ)踏破してみた!〈前編〉はこちら↓

(9)古都奈良の文化財[1998年記載]

種別…文化遺産
構成遺産
・東大寺〈奈良県奈良市〉◎
・興福寺〈奈良県奈良市〉
・春日大社〈奈良県奈良市〉◎
・春日山原始林〈奈良県奈良市〉
・元興寺〈奈良県奈良市〉
・薬師寺〈奈良県奈良市〉◎
・唐招提寺〈奈良県奈良市〉◎
・平城宮跡〈奈良県奈良市〉◎

日本の古都といえば京都が取り沙汰されがちな分、奈良は思ったより巡りやすいうえに、さらなる歴史の重みを感じる。
唐招提寺も構成遺産の一つ。奈良時代に唐僧・鑑真によって開かれた唐招提寺は、今もなお当時の金堂や講堂などを保存しており、国宝に指定されている。内部には本尊・盧舎那仏坐像を始めとする像が並び、世間に救いの手を差し伸べているよう。
木造の建築物は押し並べて滑らかな焦茶色を纏っていて、重厚さの中にも瀟洒な雰囲気を感じる寺院である。

唐招提寺 金堂

(10)日光の社寺[1999年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・二荒山神社〈栃木県日光市〉
・東照宮〈栃木県日光市〉◎
・輪王寺〈栃木県日光市〉◎
・日光山内〈栃木県日光市〉

清流に架かる橋・神橋の横を通ると、輪王寺に辿り着く。高さ8mの阿弥陀如来を下から見上げると物凄い迫力。
続いて日光東照宮へ。3匹の猿の横にいる上を見上げる猿は、「驕るな、上を見ろ」というメッセージだそう。豪華絢爛な陽明門、本殿にも圧倒される。

東照宮 神厩舎

(11)琉球王国のグスク及び関連遺産群[2000年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・今帰仁城跡〈沖縄県今帰仁村〉
・座喜味城跡〈沖縄県読谷村〉
・勝連城跡〈沖縄県うるま市〉
・中城城跡〈沖縄県中城村〉◎
・首里城跡〈沖縄県那覇市〉
・園比屋武御嶽石門〈沖縄県那覇市〉
・玉陵〈沖縄県那覇市〉
・識名園〈沖縄県那覇市〉
・斎場御嶽〈沖縄県南城市〉◎

琉球王国は国王が政治を、女神官である聞得大君(きこえおおきみ)が祭礼を司り、政祭一体となって統治する形を取っていた。その聞得大君の就任儀礼を行ったのが、琉球最高の聖地・斎場御嶽(せーふぁうたき)で、巨大な岩と鬱蒼とした森が厳かな雰囲気を醸し出している。神の島・久高島の遥拝所も設けられている。
また、グスクとは城のこと。特に中城城跡は城壁がよく残っており、琉球石灰岩を使った石垣によって異国の要塞のような見た目をしている。
ここには確かに、文化の異なる一つの王国が存在していた。それは尊重されなければならない歴史である。

中城城跡

(12)紀伊山地の霊場と参詣道[2004年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・吉野山〈奈良県吉野町〉◎
・吉野水分神社〈奈良県吉野町〉
・金峯神社〈奈良県吉野町〉
・金峯山寺〈奈良県吉野町〉◎
・吉水神社〈奈良県吉野町〉◎
・大峰山寺〈奈良県天川村〉
・熊野本宮大社〈和歌山県田辺市〉◎
・熊野速玉大社〈和歌山県新宮市〉◎
・熊野那智大社〈和歌山県那智勝浦町〉◎
・青岸渡寺〈和歌山県那智勝浦町〉◎
・那智大滝〈和歌山県那智勝浦町〉◎
・那智原始林〈和歌山県那智勝浦町〉
・補陀洛山寺〈和歌山県那智勝浦町〉
・丹生都比売神社〈和歌山県かつらぎ町〉
・金剛峯寺〈和歌山県高野町〉◎
・慈尊院〈和歌山県九度山町〉
・丹生官省符神社〈和歌山県九度山町〉
・大峯奥駈道〈奈良県吉野町〜和歌山県田辺市〉
・熊野参詣道中辺路〈和歌山県田辺市〜和歌山県那智勝浦町〉◎
・熊野参詣道小辺路〈和歌山県田辺市〜和歌山県那智勝浦町〉
・熊野参詣道大辺路〈和歌山県田辺市〜和歌山県那智高野町〉
・熊野参詣道伊勢路〈和歌山県田辺市〜三重県伊勢市〉
・高野参詣道〈和歌山県高野町〜和歌山県九度山町など〉

「紀伊山地の霊場と参詣道」は登録区域が広範にわたっているが、その構成資産は大きく以下の四つに分類される。
①吉野エリア②熊野三山エリア③高野山エリア④参詣道

①吉野エリアは金峯山寺が見所。飛鳥時代白鳳期、役行者によって修験道が開かれ、金峯山寺はその中心となった。ご本尊・蔵王大権現がご開帳されており、日本最大の厨子に収められた青い権現様は凄まじい迫力。
②熊野三山エリアといえば那智の滝。日本三名瀑の一角を占めるこの滝は、非常に落差が大きく豪快でありながら、糸が岩壁を伝って下りていくような優美さも兼ね備えている。
③高野山エリアは金剛峯寺が登録されている。安土桃山時代に豊臣秀吉が寄進した青厳寺が前身。その中には対を為す曼荼羅「金剛界曼荼羅」「胎蔵曼荼羅」があり、これこそが密教の世界観そのものなのだそう。
④参詣道でいちばんメジャーなのは中辺路。今回は熊野古道の一つである中辺路(なかへち)の一部、発心門王子から本宮大社までの約7kmを参詣した。集落の中を通る箇所もあれば、森の中を突っ切る箇所もあり、それぞれの香りに包まれながら、自然や俗世への思いを馳せる。

那智の滝

(13)知床[2005年記載]

種別…自然遺産
登録区域
・北海道羅臼町
・北海道斜里町


知床峠は、斜里町と羅臼町のちょうど中間にある。この峠からは、知床連山を望める。特に羅臼岳は大きな存在感を放っている。遠くには国後島の山まで見渡せるビュースポット。

羅臼岳

(14)石見銀山遺跡とその文化的景観[2007年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・銀山柵内〈島根県大田市〉◎
・代官所跡〈島根県大田市〉◎
・矢滝城跡〈島根県大田市〉
・矢筈城跡〈島根県大田市〉
・石見城跡〈島根県大田市〉
・大森・銀山〈島根県大田市〉◎
・宮ノ前〈島根県大田市〉
・熊谷家住宅〈島根県大田市〉
・羅漢寺五百羅漢〈島根県大田市〉
・石見銀山街道鞆ヶ浦道〈島根県大田市〉
・石見銀山街道温泉津・沖泊道〈島根県大田市〉
・鞆ヶ浦〈島根県大田市〉
・沖泊〈島根県大田市〉◎
・温泉津〈島根県大田市〉◎

最盛期には世界の産銀量の1/3を占めたという石見銀山。銀は交易品となり、初めて世界が繋がった果てに、現在がある。
龍源寺間歩(坑道)までは、鳥の囀りと川のせせらぎを聞きながらのんびり歩く。手掘りの坑道は迫力満点。付近には僅か1年半で打ち棄てられた製錬所も残っている。
龍源寺間歩から徒歩45分ほどで大森町に入る。小路の両側には江戸時代から残る建物が建ち並び、往時の石見銀山の繁栄が偲ばれる。
銀の積み出し港として利用されていたのは温泉津。鉄分の濃厚な温泉が湧いており、かつては銀山の鉱夫や運び手にとって癒しの場になっていたという。

龍源寺間歩

(15)小笠原諸島[2011年記載]

種別…自然遺産
登録区域
・東京都小笠原村

東京・竹芝港からフェリーで片道24時間。世界遺産の島々は、その大部分が世界遺産区域として登録されている。
中でも父島南西部にある南島は、船でしか行けない場所。島の高台からは、美しい扇形の入江・扇池や、父島の南側にあるジョンビーチ、ハートロックが見渡せる。
また、もとは海底火山であった父島に対し、南島は珊瑚礁だったものが隆起したり海に沈んだりを繰り返してできた島(沈水カルスト地形)。海とカルストのコンビネーションが印象的で、なかなか見られない光景だった。

南島 扇池

(16)平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群[2011年記載]

種別…文化遺産
構成資産
・中尊寺〈岩手県平泉町〉◎
・毛越寺〈岩手県平泉町〉
・観自在王院跡〈岩手県平泉町〉
・無量光院跡〈岩手県平泉町〉
・金鶏山〈岩手県平泉町〉

中尊寺にある覆堂の中には、全てが金色に輝き、美しい螺鈿の施された金色堂が存在感を放っていた。
松尾芭蕉が「五月雨の降りのこしてや光堂」と詠んだのも頷けるが、清衡の中尊寺造営後、平安時代の終焉とともに奥州藤原氏が滅亡したことを思うと、盛者必衰の理を感じさせられる。

中尊寺 松尾芭蕉像と記念碑

【読む旅路👣】日本の世界遺産(ほぼ)踏破してみた!〈後編〉はこちら↓

※写真は全て筆者撮影。
※世界遺産の登録件数は2023年時点。

参照サイト
・日本の世界遺産一覧(文化庁)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?