本州最北の半島には何がある?
本州最北の町・大間町。この町は津軽海峡に面した小さな港町ですが、その規模の割に知名度は高いでしょう。その理由は何と言っても「大間のマグロ」ブランドです。
この大間町が位置する下北半島は、青森市中心部からですら車で約3時間かかり、なかなか気軽に行ける場所ではありません。しかしそういういわゆる「行きづらい場所」にこそ、とんでもない体験は待ち受けています。
今回は私が下北半島を巡った中で、特に心を惹かれた場所を紹介していきます。
〈恐山〉境内の温泉
下北半島の中央部に位置する恐山は、「日本三大霊場」の一つと言われており、巫女が死者の御霊を呼んでメッセージを伝える「イタコの口寄せ」で有名です。
実際に恐山に訪れてみると、恐山菩提寺の山門が重々しく構えています。少し手前には「三途の川」があり、菩提寺を訪れる人はみんな、三途の川を渡ることになります。
正面の地蔵殿に参拝した後は、すぐ横に広がる地獄を彷徨ってみましょう。荒涼とした岩の世界が広がり、その岩から噴き出す温かいガスは岩の周りを黄色や青に染めています。
地獄の先にあるのは極楽浜。その白い砂浜の向こうには、淡い青色の透き通った湖・宇曽利山湖が広がっています。湖を覗くと、絶えず湖底からぽこぽこと気泡が浮かび上がり、ちょっと不気味です。
さて、無事に地獄から帰還できたら、参道の脇にある小屋を覗いてみましょう。その中にあるのは、なんと湯浴み場。入山料を納めていれば、誰でも自由に入ることができます。
シャワーはないので、桶でかけ湯をしてからいざ湯船へ。天然の乳白色温泉は堪りません。お湯はけっこう熱めで、硫黄の香りがたっぷりです。
窓は参道に面しており、地蔵殿も眺めることができます。境内で温泉に浸かるのは滅多にできない体験なので、恐山に来たらぜひお試しを。
恐山の映像はこちら↓
〈下風呂〉海峡の温泉
下北半島の北東岸を走る国道279号線を通って大間へ向かっていると、風間浦村という小さな漁村に巡り合います。ここを通過してしまうのはもったいない。なぜならこの村には素晴らしい温泉があるからです。
その名前は「下風呂温泉」。名前に風呂が入っている珍しい温泉です。今回は日帰り入浴施設「海峡の湯」を訪れました。
大浴場に入ると、大きな湯船が三つ。緑がかった乳白色のお湯は、体をカッと温めてくれます。地元の方もけっこう入っており、憩いの場としての役割も感じました。
また、この温泉は文豪・井上靖が浸かった温泉だそうで、実際に小説「海峡」の舞台の一つにもなっているそうです。窓の向こうには小さな港と津軽海峡。お湯だけでなく旅愁にも浸れるような、心に沁みる温泉です。
〈仏ヶ浦〉浄土なる奇岩
下北半島を巡るなら、もう一つ外せない場所が佐井村にある「仏ヶ浦」。半島の西岸に位置しており、大間や恐山のついでに行くには遠いのですが、わざわざ足を運んだ先にはこんな不思議な風景が待っています。
仏ヶ浦の楽しみ方は、船で海上から眺めるか遊歩道ですぐ側まで行くかの二つ。今回は遊歩道で行ってみることにしました。
崖の上の駐車場から、階段だらけの遊歩道を下って海辺まで歩くことになるので、徒歩20分といっても道程はなかなかハード。しかし遊歩道を抜けたときの期待感は凄まじいです。
砂浜に着いたら、白く巨大な奇岩の間を歩いてみましょう。少し見る角度を変えるだけで大きく表情を変える奇岩は、なかなか写真の撮り甲斐がありますよ。
また、透き通ったエメラルドグリーンの海もとにかく綺麗。極楽浄土ってこんな感じなんだろうか…という妄想も膨らみます。ちなみに海の向こう側には、青森のもう一つの半島・津軽半島を望むことができます。
仏ヶ浦の映像はこちら↓
まとめ・アクセスマップ
本州最北の半島・下北半島には何があるのか。その答えは恐山のような地獄、はたまた仏ヶ浦のような浄土なのかもしれません。
でも実際に行ってみた私が言いたいのは、「下北半島には旅愁がある」ということです。北の果てにあるあの侘しさを、ぜひしみじみと味わってみてください。
本記事で取り上げた場所のマップはこちら↓
①お食事処 かもめ
②恐山菩提寺
③下風呂温泉 海峡の湯
④仏ヶ浦
※写真は全て筆者撮影
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