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北限の離島に咲くエーデルワイス〈礼文島の記録〉

日本最北の街・稚内。稚内といえば、やっぱり日本本土最北端の宗谷岬でしょう。最近は近くに延びる「白い道」も有名です。

日本最北端の地モニュメント
天気が良ければサハリンが見える
「白い道」
ホタテの貝殻が敷き詰められている

あとは日本最北端の駅・稚内駅に寄って、ポテラーナ流氷まんじゅうなどのお土産を買い集めたいところ。ホタテラーメンソフトクリームも食べて…
1泊2日の旅程だとすると、これらを楽しんでいるうちに時間切れになってしまいます。特に稚内市街ー宗谷岬間は往復約1時間はかかるので、他の場所に立ち寄る余裕はあまりないかもしれません。

では、2泊以上稚内に滞在できるとしたら?
私は強くおすすめする場所があります。それが稚内の西に浮かぶ二つの離島、礼文島れぶんとう利尻島りしりとうです。

①稚内港
②利尻島
③礼文島

CraftMAP
http://www.craftmap.box-i.net/ken.php

どちらの島にも、稚内港から出発する「ハートランドフェリー」から行くことができます。日帰りも十分可能ですし、何よりそれぞれの個性には圧倒されるばかりです。
それでは今回は二つの離島のうち、礼文島に焦点を当てていきたいと思います。稚内から礼文島までは、2時間弱の船旅です。

ハートランドフェリー
「サイプリア」は礼文島に咲く花の名に因んでいる

ハートランドフェリー時刻表はこちら↓

〈岬・奇岩〉スカイ・スコトン・桃台猫台

礼文島の玄関口は香深港。香深という地名の正式な読みは「かふか」ですが、「かぶか」と読むこともあるようです。
さて、日帰りで礼文島を満喫するなら、宗谷バスのバスツアーがうってつけ。礼文観光のメインスポットには一通り連れていってくれます。バスツアーの実施期間は主に5月下旬〜9月末までなのでご注意を。

宗谷バスのバスツアーはこちら↓

さて、最初の目的地は澄海スカイ。まず目に留まるのはその海の青さで、珊瑚礁の海のように澄んだ青が印象的でした。また、岬の展望台からは入江が見えますが、その岩壁を構成する柱状節理※の険しさが、鮮やかな海とのコントラストを生み出していました。

※柱状節理
溶岩やマグマが冷却されてできる六角柱状の割れ目のこと。

澄海岬
ジオパーク好きには堪らない

続いてはスコトン岬。礼文島の最北端にあたる岬で、海の向こうにはかつて有人島だったトド島が横たわっています。
礼文島は日本国内の人間が住める離島のうち、(北方領土を除いて)最も北に位置しているため「日本最北限の離島」とも呼ばれます。つまりスコトン岬から見えるのは最北限の風景。そこにある寂しさは宗谷岬より濃厚かもしれません。

スコトン岬から見るトド島
上陸するのはなかなか大変そう

そして桃台猫台展望台。この展望台からは、巨大な岩が島に落下して一体化してしまったかのような「桃岩」や、海にひょっこりと潜む「猫岩」を眺めることができます。桃岩・猫岩だけでなく、急峻な地形が緑に覆われている風景も礼文島らしい大自然を感じられるので、なかなか爽快です。

桃岩
駐車場のバスと比べるとその巨大さがよくわかる

私は日帰りでバスツアーに参加する形だったので、礼文島の主要な観光スポットを巡るに留まりましたが、もし礼文島に泊まる場合は、トレッキングコースを歩いてみるのもよいでしょう。大自然を満喫できるコースが複数あるので、もしまた島を訪れる機会があれば、私もそのコースを歩いてみたいものです。

礼文島トレッキングコースはこちら↓

〈海の幸〉バフンウニと昆布巻き

礼文島を語るうえで外せないのがウニ。特にエゾバフンウニはウニ漁期間の関係で、6月中旬〜8月の限られた時期しか食べられないので、ここを狙って訪問しましょう。
ウニを食べられるお店は、香深港周辺に数店舗あります。私は「海鮮処 かふか」に入り、ウニといくらの二色丼を注文しました。そして出てきたのがこちら。

ウニといくらの二色丼
お値段は4,000円程度

ウニもいくらもたっぷり。見た目だけでも満足感たっぷりです。
まずはエゾバフンウニから。口に入れた瞬間、甘みととろとろ感が口の中に広がります。とてもまろやかで、ウニ特有の苦味もありません。もちろんいくらも濃厚で、旨味×旨味のダブルパンチ。唸らずにはいられませんでした。

また、お土産を買うなら「島の人 礼文島本店」。スコトン岬にぽつりと佇むお土産店ですが、利尻昆布をはじめ地元の海の幸がずらりと並んでいます。
中でも名物は「サーモン昆布重ね巻き」。いわばサーモンと昆布のミルフィーユです。こちらも旨味の相乗効果でとんでもない絶品となっています。
ちなみに「島の人」は新千歳空港にも直営店があるそうなので、北海道を訪れた方はぜひチェックしてみてくださいね。

サーモン昆布重ね巻き
このずっしり感も満足度が高い

〈花〉礼文に咲くエーデルワイス

礼文島を紹介する際、よく使われるキャッチコピーが「花の浮島」。実は礼文島にはレブンの名を冠する花がいくつかあります。
その代表格がレブンアツモリソウ。この花はなんと礼文島にしか咲いておらず、とても貴重な花です。香深港ターミナルでは礼文町れぶんちょうマスコットキャラクター「あつもん」が出迎えてくれますが、この子のモデルもレブンアツモリソウとなっています。

礼文町マスコットキャラクター・あつもん
本当にこういう花の形をしているらしい

ただし、レブンアツモリソウが咲くのは5月下旬〜6月中旬で、エゾバフンウニを食べられる時期とはずれています。ウニも楽しみたい、花も楽しみたい…そんな欲張りな方に朗報です。
6月〜8月も、礼文島では様々な花が咲き乱れます。その中でもぜひ観賞したいのが、レブンウスユキソウという花です。
レブンウスユキソウに出会うためには、礼文島トレッキングコース(礼文林道コース)を進んでいくことになります。ルートは整備されているので、爽快感を味わいながら散策できると思います。そしてしばらく歩いていると、「レブンウスユキソウ群生地」の看板が現れます。その周辺をよく見てみると…

レブンウスユキソウ
ウスユキソウという名前からして可憐

たしかに雪のように白く可憐な花が、至るところで小さく咲き誇っています。このレブンウスユキソウはエーデルワイスの仲間。エーデルワイスといえばアルプスに咲く高山植物です。
レブンウスユキソウをはじめ、礼文島では標高の低い場所でも高山植物が見られます。これは、礼文島の生態系が独自に発達してきたことを示しています。
レブンウスユキソウ群生地までは、香深港からだと片道で徒歩約50分。近くはありませんが、日帰りでも往復が可能です。天気が良ければ、道中はお隣の利尻富士も一望できます。

利尻富士
雲に隠れがちなので、頂上が見られるのはけっこう貴重

また、礼文島の夏は他にも花がたくさん。エゾカワラナデシコツリガネニンジンなど、様々な可愛らしい花々を愛でるのが礼文島の楽しみ方の一つです。パンフレットを持って写真と実物を見比べながら、「この花の名前はこれかな?」と観察してみると、素敵なひとときになりますよ。

エゾカワラナデシコ
綺麗な星形の花はけっこうよく見かける
ツリガネニンジン
まさに小さな釣鐘のような形をしている

花の一覧が掲載されたパンフレットはこちら↓
(礼文島花リーフ)

まとめ・アクセスマップ

帰りのフェリーまで時間に余裕があったら、礼文島温泉「うすゆきの湯」でちょっとゆっくりしていきましょう。お湯に浸かりながら、その日の思い出を反芻するのもいいかもしれません。
寂しさ漂う岬と澄み渡った海。甘くてとろとろなウニといかにも旨そうなサーモン昆布巻き。大自然の中で可憐に咲き誇る高山植物…
どれも個性的で、どれも魅力的。ついうっかり帰りのフェリーを逃したくなってしまうような、そんな離島が日本の北限にはあります。

本記事で取り上げた場所のマップはこちら↓

①香深港
②澄海岬
③スコトン岬
④桃台猫台展望台
⑤海鮮処 かふか
⑥島の人 礼文島本店
⑦レブンウスユキソウ群生地
⑧礼文島温泉 うすゆきの湯

⑤海鮮処かふか 
※2024.11.6現在は夜のみ営業

(その他ウニを食べられるお店はこちら)

⑥島の人 礼文島本店 
※本店は冬季休業。新千歳空港店は年中無休

⑦レブンウスユキソウ群生地

⑧礼文島温泉 うすゆきの湯

※写真は全て筆者撮影

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