屋根診断①スレート瓦
このブログでは、屋根診断、特にスレート瓦について触れています。
はじめに
家の屋根は、私たちの日常生活を風雨から守る重要な役割を果たしています。その中でも、スレート瓦は軽量でありながら耐久性が高く、日本の住宅に広く使用されている材料です。しかし、年月が経つにつれ、スレート瓦も劣化してしまうことがあります。今回は、スレート瓦の屋根診断の重要性と、具体的なチェックポイントについてご紹介します。
1. スレート瓦の基本知識
スレート瓦は、セメントと繊維を混ぜて作られた人工の瓦です。その軽さと強度から、多くの住宅で採用されています。新築から数十年は持つとされていますが、風雨や紫外線、酸性雨などの影響で、少しずつ劣化が進みます。
2.スレート瓦の主な劣化症状
スレート瓦の劣化は、外観だけでなく、内部構造にも影響を及ぼす可能性があります。以下の症状に注意しましょう。
色褪せ:紫外線や酸性雨の影響で、スレート瓦が徐々に色褪せることがあります。色褪せは美観に影響するだけでなく、劣化の初期兆候でもあります。
ひび割れ・欠け:スレート瓦は、風や衝撃によりひび割れや欠けが発生することがあります。この場合、雨水が侵入しやすくなり、内部の木材が腐食するリスクが高まります。
苔やカビの発生:屋根の北側や日陰部分では、苔やカビが発生しやすくなります。これらはスレート瓦の表面を損傷し、滑りやすくもなるため注意が必要です。
3.屋根診断の重要性
スレート瓦の劣化を放置すると、最悪の場合、屋根全体の交換が必要になることがあります。定期的な屋根診断を行うことで、早期に問題を発見し、コストを抑えた修繕が可能になります。
4.スレート瓦の診断ポイント
屋根診断士として、通常の点検以外にも、以下のポイントを重点的にチェックします。
①年数から診断
2004年からアスベストを含んだスレート瓦が禁止となりました。
1990年から2002年にかけてアスベストを含まない「ノンアスベスト屋根」のスレートがでてきました。この時期に発売された、アスベストを含まない屋根に関しては、メンテナンスや塗装の仕方など十分注意が必要となります。
②商品から診断
前述しましたアスベストを含まない屋根に関しては、ガルバリウム鋼板などでのカバー工法や、屋根材の張替を早めにしないと家屋の躯体にも影響がでてくるため、対処をご検討ください。
それでは、商品ごとにその特徴を挙げていきます。
A ニチハ社「パミール」
1996年から2008年に製造されています。
先端がはがれる、釘が錆びるといった症状がでています。
正直、スレート界の問題児です。
2012年に消費者生活センターが指導し、リコールとなりましたが、釘を無償提供するだけで、根本的な解決とはなっていないです。
落雪や台風等の被害でも火災保険が下りづらい(商品の劣化だと鑑定士も知っている)商品です。
B 松下電工社「レサス」
こちらは、先端がはがれるなどの症状が多発しています。
C クボタ社「コロニアルネオ」
ヒビ、欠けがかなり生じる屋根材です。
太陽光等で金具のビス留め時には、ほとんどヒビが入ります。
D クボタ社「アーバニーグラッサ」
割れやすいのが特徴です。
こちらも太陽光等で金具のビス留め時には、ほとんど割れてしまいます。
E セキスイルーフテック「セキスイU瓦」
軽くて台風や強風などの対候性に強く、紫外線からの劣化にも強く色褪せないため塗装いらずの屋根、と有名でしたが、とにかく割れる、人が乗っただけで割れるという屋根材です。
スレート材の被せ用として使っていると、さらに最悪です。
THE訪販屋根といわれるところです。(すべての訪問販売を否定するわけではありませんが・・・)
ちなみに太陽光をつける場合は専用の金具があります。
5.定期的なメンテナンスのすすめ
スレート瓦の屋根は、適切なメンテナンスを行うことで、より長持ちさせることができます。定期的な洗浄や、必要に応じた塗装を行うことで、美観と機能性を維持しましょう。
ハウスメーカーや屋根材メーカーの保証では、スレート瓦のヒビと割れは免責事項となっています。
ノンアスベスト屋根の改良版がでてきたのは、2011年くらいからとなりますので、今ではそこまで悪い印象をもつ方は減ったのではないでしょうか。
ノンアスベスト屋根は高圧洗浄に不向きとなっているため、遅くとも30年が経過する前には、葺き替えかカバー工法を検討したほうが良いと思われます。
まとめ
スレート瓦の屋根診断は、家を長く守るための大切なステップです。定期的に専門家による診断を受け、早期に問題を発見することで、大規模な修繕を避けることができます。もし屋根の状態に不安がある場合は、ぜひ信頼できる屋根診断士に相談してください。