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その拳を追いかける6

エース:(もらった……ッッ!!!!)

◯◯:(い、、、、まっ!!!)

ほとんど下段蹴りに近い足払いが当たる瞬間、いわゆる膝カックンの要領で◯◯は膝の力を抜き、曲げてインパクトの瞬間をズラした

正源司:ウッソ……

エース:(なっ!?クソッ!!)

平尾:すごっ!

もしこれが内腿側ではなく、外腿側だったら、あるいは意趣返しでダメージを与えるための膝関節部分狙いではなくちゃんと倒すための足首狙いだったら、だが……

◯◯:シッ!!

現実は、倒した後に突きをするため裏回しを受けたまま前に出られた勢いを利用し、◯◯は蹴り足を押されるがまま回転、転倒を回避、再度正対するだけでなく着地の勢いを反発させ互いに技を決められない距離まで接近する

エース:(小賢しいんだよっ!)

◯◯の想定外の動きに一瞬虚を突かれたが、そこはエースと呼ばれるだけの実力で、即座に反応し、バックステップで仕切り直しを図る

◯◯:(逃すかっ!!)

◯◯:(場外まで追い込んでやるっ!)

だが、それを◯◯は許さず、離れた分詰めてきて仕切り直せない

エース:(しつこいっ!)

エース:ェェェエエエイッ!!

エースは詰められはしたが、一瞬のチャンスを逃さず、スイッチバックをしつつ、前足とは逆の手で上段突きを放つ

◯◯:(やべっ!とま、ガーd)

審判:やめっ!!!!!!

ビシッ!っとエースの逆手の上段突きがピッタリ◯◯の眉間直前まで伸び、引き戻されると同時、審判が終了の声を上げる

エース:(クソッ!逃げ当てさせられたッ!!!)

◯◯:(ダメだったかぁ、狙いは良かったと思うんだけどなぁ…思ったより姿勢を崩されてたな)

審判の号令に合わせ、礼をしていく両選手

勝者はエースだったが、その表情はとてもではないが、勝者の表情には見えず

エース:(あの裏回し誘いだった、それにまんまとノせられて…クソが!)

◯◯に嵌められて恥辱を与えられた怒りで険しかった

◯◯:(ま、先輩の狙い通りにはならなかったし、多分嫌がる勝ち方だったろうしいっか)

一方の◯◯は勝てはしなかったが、エースの狙いを崩し、自身の狙い通りに進められたことで清々しく、側から見ると、どちらが勝者かよくわからない状態になっていた

平尾:すごぉ…よーこもこんな風にしていたの?

正源司:できるかぁっ!?かなりレベル高かったよ

正源司:…正直、裏回しの時に派手に投げられて終わると思っていたもん

平尾:確かに凄かったね、蹴られた力を上手に逃して回って…

正源司:………

平尾:どうしたの?

正源司:いや、なんでもない

平尾:なになに?気になるじゃんっ

正源司:なんでもないってば!

空手道部以外の生徒には◯◯が足払いを堪えたように見えていたが、正源司はそこに違和感を覚えていた

正源司:(まさか…ね?)

一方、正源司と平尾が喋っている間も部活動紹介は進んでいた

部長:以上が、伝統派空手の組手でした!

部長:続いて、は……?

本来の予定では、◯◯はその場に残ってエースだけ下がる予定だったが、◯◯も一緒に下がってきて困惑する部長

◯◯:ごめんなさい、帯とグローブ変えてきます

部長:ちょ、予定外

マイクに入らないよう離して小声でやり取りをする

◯◯:どうにか繋いでください、ごめんなさい

両手を合わせて形だけの謝意を伝え、そそくさと一旦裏に引っ込む◯◯

部長:えぇ〜、っと……準備をするので少々お待ちください

日向:(ほら、部長対応できなかったじゃん)

日向(◯◯早く戻ってこいよ〜)

次のために控えていた日向は、心の中で◯◯に呼びかけていた

_______to be continued

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