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初詣、君に一番会いたくて

◯◯:う〜、寒い…

時刻は12月31日の23時すぎ、幼なじみの莉奈に誘われて初詣に行くことに

この時間、普段は寝ていることもあり年越しで毎年起きているとはいえ眠い

◯◯:別に日中で良くねぇか?

そう思うものの既にOKを出した手前、断りづらい

莉奈:お待たせっ

◯◯:おせー……よ…





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大丈夫かな?おかしくないかな?

着慣れない振袖、履き慣れない草履で待ち合わせ場所まで急ぐ

莉奈:ハッ、ハッ__

少しでも可愛く見てもらいたくて、少し派手すぎる気もしたけどカラフルな物を選んだ

帯は逆にシンプルめに、だけどお正月らしく紅白っぽくしておめでたい感じに

せっかく誘えたし、新年はやっぱり好きな人に1番に会いたい

◯◯はどう思っているか分からないけど、同じように思ってくれていたらいいな

物思いをしつつ急いでいると待ち合わせ場所まですぐそことなっていた

莉奈:ふー…っ

1つ、大きく深呼吸をして息を整える

◯◯は辺りへの意識も散漫としていて眠いのかほとんど目も開いていない

莉奈:お待たせっ

◯◯:おせー……よ…

私が声をかけると◯◯はほとんど開いていなかった目を見開いて固まった

意表はつけたかな?

振袖は流石に自分で着ることができなくてお母さんに手伝ってもらったけど髪の毛は自分でしたし

……おかしくないかな?小走りできたし乱れていないか不安になってきた

◯◯:………

莉奈:………どう、かな?

莉奈:へ、変、じゃない?

◯◯:あ、いや、その…

莉奈:もしかして可愛くて見惚れちゃった?

莉奈:なんて

冗談めかしてそんなことを言ってみる

◯◯:ばっ……///

◯◯:ま、馬子にも衣装、じゃね?///

莉奈:………そっか、そうだよね

莉奈:見た目だけしても、ね……

いくら着ているものが可愛くても中身が可愛くなかったら、可愛くないよね……

◯◯:あ、いや、その……

やっぱり意識なんて

◯◯:か、かわいい!///

莉奈:え?

◯◯:だから!かわいい!///

◯◯:その、着物?とかよく分かんないけど、莉奈に似合ってるしすごい、かわいぃ……///

最後は尻すぼみだったけど

◯◯:正直、見惚れてた……///

可愛いって、言ってくれた

莉奈:……フフッ、ありがと///

そう言われたくて頑張って準備したけど…

いざ言われると嬉しさだけじゃなくちょっぴり恥ずかしいや

莉奈:行こっ

◯◯:あ、おいっ、コケんなよっ?

莉奈:大丈夫っ……キャッ

◯◯:っつ、とぉ〜……っぶな

ちょっとした段差に引っ掛かって転びそうになり、◯◯が咄嗟に腰を引き寄せて支えてくれる

大きめのサイズの洋服や着物越しで分かりにくいけど、ゴツゴツとした男の子の身体に少し、ドキドキする

◯◯:だから言っただろ

莉奈:ゴメン…//

◯◯:ゆっくり行こ?時間はあるし

冬休み期間でもうしばらく休みなのもあるんだろうけど、眠そうにしていた◯◯の気遣いに嬉しくなる

莉奈:うん…////

私に合わせてゆっくりと歩く◯◯の横顔を盗み見ながら神社に向かう

私の気持ち、気付いてくれたら嬉しいな

なんてことを思いながら





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◯◯:…久しぶりにきたけど変わらず凄いな

莉奈:ね……

すぐ近くの神社でも良かったけど、せっかくなら、と少し足を伸ばして一帯で1番大きい神社にきた

ここは参拝客も多く、年納めから元旦にかけて屋台が開いている

深夜も開いているのは今日だけだけど、3が日は日中にも屋台が開いている

◯◯:なに食おう…?

気付けば◯◯は屋台の食べ物を食べる気満々だ

どうやら軍資金は沢山もらってきたようで、その目は飢えた肉食獣並みにギラギラしていた

莉奈:アハハ…

一方の私は寒さに耐えることに手一杯だった

貼るカイロや温かいインナーとか色々防寒対策をしていたけど、どうやらまだまだ足りなかったみたい

◯◯:……コッチ

人混みの流れに従いながら境内までゆっくり進んでいたけど、急に◯◯に手を引かれて流れを外れる

莉奈:どうしたの?

寒さを堪えるのに必死だった私は手を引かれるがままにゆっくりできる場所まで連れてこられた

◯◯:ちょっと待ってて

私の質問には答えずに◯◯はそう言い残すとどこかへ行ってしまった

莉奈:……女の子を置いて行くなよ、バカッ

と思っていたけどすぐに戻ってきて

◯◯:忘れてた

私の首に自分が巻いていたマフラーをさらに巻いて、ポケットにいれていたであろうカイロを渡し

◯◯:じゃあ、本当に行ってくる…///

また1人でどこかへ行ったしまった

莉奈:……ばかっ

◯◯のマフラーに顔を埋めて、カイロを握りしめながら◯◯を待つ

こういうところがズルいんだよ

実際はそんなでもなかったかもしれないけど、私にとってはとっても長い時間が経った頃

◯◯:ゴメン、思ったより手間取った

◯◯が何かを持って戻ってきた

◯◯:はい、コレ

いつも見ている眩しい笑顔と共に紙コップを渡してきて

◯◯:それとコレ、一緒に食おうぜ?

レジ袋を掲げる

受け取った紙コップはほんのりと温かかった

莉奈:??

私の疑問を察したのだろう◯◯は中身を教えてくれた

◯◯:上で配っている甘酒、身体あったまるかな?って

私が寒さを堪えていることに気付いた◯◯の気遣いにさっきよりも嬉しさが込み上げてくる

ここで抱きつけたりしたら意識してくれるのかな?

なんて思いつつもそんな勇気はとうていないので

莉奈:ありがと…///

紅くなった頬を隠しつつお礼を言う

そして甘酒を一口

莉奈:おいしぃ…

冷え切っていた身体に、温かい甘酒が沁みる

まるで◯◯の優しさがそのまま沁みているようなその感覚に浸っていると

◯◯:それと、コッチも冷める前に食おっ?

◯◯:冷えた時は温かい飲み物と食べ物っしょ

◯◯が変わらぬ眩しい笑顔で、コッチの気持ちなんか無視して割り込んできた

自分の欲を隠しきれないその様子に可愛いな、と思いつつ返す

莉奈:うん、そうだねっ

◯◯が買って来たのは、割り箸に刺さったじゃがバターだった

だけど割り箸はそのジャガイモが刺さっている1本しかない

どうするのかと見ていると

◯◯:ほいっ、莉奈からどーぞ

そんなことを言いながらプラスチックのパックで受け皿を作りながら“あ〜ん”をしてきた

莉奈:え…?///

少し戸惑っていた私だけど

◯◯:食べないの?

その言葉に意を決して齧り付く

莉奈:い、いただきます…///

莉奈:ア〜ム、あちっ…///

どうやら蒸したてだったようで火傷しそうな程熱かったけど、正直”あ〜ん“をされた衝撃でそれどころではなかった

◯◯:どう?どう?

だけど、待て、をされている犬のような様子の◯◯に気恥ずかしさなどすぐにどこかへ行ってしまった

莉奈:ハフッ…おいひーよ

◯◯:そっか!

パァッ、と表情が明るくなった直後

◯◯:いただきますっ!

”あ〜ん“よりも衝撃的なことが

◯◯:アムッ、アフッ、アフッ

莉奈:ッ?!?!////

熱そうにジャガイモを頬張る◯◯は可愛いけどそれどころじゃない

か、かかか、”間接キス“、しちゃってるっ

いや確かに「一緒に」って言っていたしそれしか食べる方法ないけど……

”あ〜ん“の何倍も恥ずかしい

だって、好きな人だよ?意識しないほうが無理じゃん

そんな恥ずかしさと戦いながら”あ〜ん“(と”間接キス“)をされながら食べ進める

結局最後まで味はよく分からなかったけど、身体は温まった

……まぁ、甘酒とかとは別の理由だけど

そして再度人混みに紛れようとした時

「明けましておめでとーーーーっ!!!」

誰かが大声でそう言った

どうやら食べている間に新年を迎えたようで

◯◯はその声にすぐにスマホを確認するとすぐに

◯◯:莉奈、明けましておめでとう

◯◯:今年もよろしく

莉奈:明けましておめでとう

莉奈:コチラこそよろしく、ね?

新年の挨拶をする

ホントはもっとこう…厳か?なんか雰囲気がある感じで迎えたかったけど、すぎてしまったことはしょうがない

莉奈:………

◯◯:な、なんだよ…///

莉奈:別に、なんでもなーいっ

◯◯:絶対それ何かあるだろっ

莉奈:なにもないよー

なんか私たちらしい気もするしなにより

莉奈:(気付いたよー)

じゃがバターを食べている時、◯◯の頬も紅くなっていた

もちろん、寒さもあるだろうけど、それだけじゃない、って思うのは自惚れかな?

莉奈:(好きな人の一番になれますよーに)

せっかく新年1番早く会うことができたんだ、そしてそれ以上を望んでも別にバチは当たらないだろう

だって好きなんだから

境内まではまだ遠いけど、ひと足早くそうお願いしつつ、◯◯と初詣に来れた感謝も伝えた

__________Fin

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